新潟市万代にある「カフェ イタリア」は、世界でもめずらしいバラ盛りジェラートが食べられる専門店。また、同じスペースにあるイタリア料理店「トスカーナ料理 ルスティカ」では本格的なイタリアのトスカーナ料理を味わうことができます。「おいしくて、体にいいものを提供する」という信念を持つシェフの眞貝さんに、食の大切さを教えてもらいました。
カフェ イタリア
眞貝 明男 Akio Shinkai
新潟市生まれ。子どもの頃からイタリアに強く憧れ、勤めていた大手電化製品メーカーを辞めて、イタリア料理の世界に飛び込んだ。「食育」などの講習も行っている。いつまでも若くいたいので年は忘れるようにしている。「本物」にこだわる性格。
――よろしくお願いします!本日は、「カフェ イタリア」の魅力について教えてください。
眞貝さん:こちらこそ、よろしくお願いします。
――眞貝さんはいつからイタリア料理の道に進んだんですか?
眞貝さん:大手電化製品メーカーに就職し、営業をやってたんです。ただ、やっているうちに、サラリーマンよりも自分が打ち込めるものが他にあるのではないかと思うようになって、思い切って退職してイタリア料理の修業を始めたんです。
――イタリア料理を選ばれたのは理由があるのでしょうか。
眞貝さん:子どもの頃からイタリアという国に憧れていたんですよ。車にしても、ファッションにしても、デザイン性が高くて好きだったんです。会社を辞めようと考えはじめたとき「イタリアに関する仕事をしたい」と思いました。そこで、どんな仕事をしようか考えるためイタリアを旅行したんですが、料理を食べて感銘を受け、イタリア料理の店をやろうと決心したんです。
――なるほど。それでイタリア料理の道を目指したんですね。
眞貝さん:会社を辞めた後は、名古屋のイタリア料理店に勤めて、イタリア人グランシェフの下で5年ほど修業をしました。もともと本格志向なところがあったので、日本人ではなくイタリア人のシェフから料理を習いたかったんです。イタリアの料理はイタリア人に教わるべきだと思っていたので。
――まさに本格志向ですね。でも、言葉は通じたんですか?
眞貝さん:会社に勤めながら、イタリア語の勉強もしてましたから大丈夫でした。私個人の考え方なんですが、イタリアに行くならイタリアの言葉を使うのが礼儀だと思っているので。そのうち、グランシェフが退職したのをきっかけに、私もお店を辞めることにしたんです。
――その後すぐに自分のお店をはじめたんですね。
眞貝さん:いえ、その後はすぐに、妻とイタリアのトスカーナ地方に渡りました。
――ではそこで本場で料理の修業をしたと…。
眞貝さん:はい。料理の修業もしましたが、イタリア語やイタリア文化の勉強をするため、イタリア・トスカーナ州の「シエナ大学」に入学したんです。イタリア料理を作る上で、料理の作り方を学ぶことも大切ですが、それ以上に「イタリア人の心」を知る必要があると思ったんです。妻と一緒に行ったのも、一緒にお店をやって行く上で、イタリアのことを知っておいてほしかったからです。自分のお店をはじめたのは、帰国した2000年からです。
――それからオープンしたのが「ルスティカ」ですか?
眞貝さん:そうなんです。東京のお店から誘われたりもしたんですが、まず最初に新潟市の古町7番町に「トスカーナ料理 ルスティカ」をオープンしたんです。たくさんの人たちに食べてもらうためには、東京にお店を出せばいいんでしょうけどねぇ。私が見てきたイタリアでは地方都市がそれぞれ元気なんです。私は日本でもそうなるべきだと思い、新潟から東京に人が流れるばかりじゃなく、東京から新潟に人が来るようになってくれたらいいなという気持ちで、新潟でがんばってみることにしたんです。だから「この店でしか食べられないイタリア料理」を常に考えた、こだわりのあるお店になっています。
――なるほど。どんなところにこだわっているのでしょう?
眞貝さん:素材の味を引き出すことと、奥行きある味にこだわった、イタリアのトスカーナ料理と生ハムの専門店です。化学調味料は一切使っていません。また、厳選したエクストラバージンオリーブオイルを使って調理しています。減塩することで素材の旨みを引き出し、ヘルシーで繊細な料理を提供しているお店なんです。
――体にいいものを提供してるんですね。
眞貝さん:はい、生ハムやオリーブオイルなど、体にいい食材にこだわってます。あと、このお店の料理は本格的なイタリア・トスカーナ料理です。
――ジェラートを提供し始めたのは理由があったんですか?
眞貝さん:私は市内小学校PTAに向けたスローフードの講習会などもやっていて、「食育」についても話したりしていたんですが、イタリア料理店だけですと、お子さんはなかなか来れないんですね。ジェラートだったらお子さんにも来店してもらえますから。添加物や香料を使っていないものを実際に食べてもらうことで、体にいいものを知ってもらう。それが私の考える「本物の食育」なんですね。お子さんにも体にいいものを食べてほしいという思いから、ジェラートの提供をはじめたんです。
――ジェラートはいつから提供していたんでしょうか?
眞貝さん:最初はイタリア料理だけ提供してたんです。2010年に今のこの場所(万代シティ)に「カフェ イタリア」を新しくオープンしたんです。その時に「トスカーナ料理 ルスティカ」10周年記念の新事業として、何か新しいことをやってみようということになって、ジェラートを提供することにしたんです。その後の2012年には、古町にあった「トスカーナ料理 ルスティカ」を万代の「カフェ イタリア」と1箇所にまとめました。
――ジェラートの味には、どんな特徴がありますか?
眞貝さん:乳脂肪が少ないので後味がさっぱりしてます。あと、2種類まで一緒に盛り合わせて食べることができます(Lサイズのみ3種類)。組み合わせて自分好みの味を楽しむことができるんです。イタリアのジェラートでは、それが当たり前なんですよ。
――ジェラート作りには、本物を追求するこだわりがありそうですね?
眞貝さん:先ほどもお話しした通り、保存料、人工着色料、人工香料などの添加物を使わず、新潟県産のオーガニック素材を使って作っています。また、食物アレルギーにも配慮して、小麦粉やアルコール類も使っていません。砂糖は通常のジェラートに使われている半分以下に抑え、健康のことも考えています。つねに旬の食材を使っているので、季節ごとにジェラートも変わり、四季折々の味を楽しむことができます。
――そんなこだわりが、おいしいジェラートを作るんですね。
眞貝さん:おかげさまで、カフェが開店して間もない2010年の11月に「イタリアンジェラートコンクール」で入賞することができました。おしくも最優秀賞は逃しましたが、全国からエントリーした約90人の中から、私も12人の入賞者に選ばれたんです。新潟県では私だけでした。
――90人中12人ってすごいですね!あと、すごいといえば花のような盛り方も見事ですよね。
眞貝さん:バラの花に見立てた「バラ盛り」と呼ばれるものです。はっきりはわからないけど、世界でも20店くらいしか提供しているお店がないと思います。うちの店でも奥さんしかできません。私はできませんので(笑)この「バラ盛り」も、「新潟に来なければ食べられないものを。」と考えてはじめたんです。
――エクストラバージンオリーブオイルも並んでますね。
眞貝さん:「カフェ イタリア」ではイタリア産の低酸化エクストラバージンオリーブオイルのみを取り扱っています。体の老化や不調を引き起こす原因にもなっている酸化しにくいオリーブオイルなんです。一般的にエクストラバージンオリーブオイルというと低酸度が0.6%以下なんですが、「カフェ イタリア」で扱っているのは0.3%以下のものばかり。
――どれがいいのか迷っちゃいますね。
眞貝さん:試食してから買えますので、気に入った味のエクストラオリーブオイルをご購入いただけます。あと、「どの料理にどんなオリーブオイルが合うのか?」「どんな風に使ったらいいのか?」など、わからないことはなんでもお教えします。日本でも、なかなか売っていないオリーブオイルを扱っていますので、県外からも買いに来る人がいますよ。
――それってすごいですね。体にいいものに対するこだわりの成果でしょうか。
眞貝さん:「おいしくて体にいい料理を作ってお客さんに提供するのが当たり前」ということを、修行先のイタリア人シェフからいわれてきましたから。食べ物が体と心を作るわけですから、安心して食べれる食を提供していきたいですね。
――これからも新潟を元気にしていってください。
眞貝さん:オープンのいきさつでも話しましたが、東京に人が流れるだけではなく、新潟にも東京など県外から人が来るようになったらいいなと思うんです。そのためには、新潟の人たちが地元をもっと誇りに思って、いいものをどんどんアピールしていく必要があると思います。「カフェイタリア」でも、ここでしか食べられないもの、ここでしか売っていないものを提供することで、新潟に人が来るきっかけになればと思っています。
イタリアに憧れる眞貝さんが作る本格イタリア料理や無添加食材のバラ盛りジェラートで、地方都市・新潟がさらに元気になってくれたらいいですね。今回の取材で「食の大切さ」を学ばせたいただきました。眞貝さん、ありがとうございました。