とことん生地にこだわった、阿賀野市「カンパーニュ」のパン。
食べる
2022.05.05
フルーツサンドやマリトッツォなど、最近ブームになったパンの商品はたくさんありますが、そんなブームを追うことなく、パン生地そのものの美味しさにこだわったベーカリーが、阿賀野市にある「パンの店 カンパーニュ」です。こちらのお店はチョコレート専門店「しょこら亭」の姉妹店で、本店と併設して営業しています。今回はシェフの平岩さんにパンへのこだわりを聞いてきました。


パンの店 カンパーニュ
平岩 悠 Yuu Hiraiwa
1984年新潟市東区生まれ。工業高校卒業後、弁当店でのアルバイト、建具店の工場勤務を経て、勤めたベーカリーでパン作りに目覚める。今は「パンの店 カンパーニュ」のシェフとして、パン生地と向き合う日々。食べることが好きだが、好きなものが多すぎて好物は選べない。
トレーラーとの交通事故が、運命を変えた。
——平岩さんはいつからパン職人の道に進んだんですか?
平岩さん:20歳のときにベーカリーで働いてからですね。もともと工業高校に通っていて、土木関係の仕事を志していたんですよ。
——それがどうして、ベーカリー?
平岩さん:高校3年生のときに交通事故に遭ってしまったんです。自転車に乗っていたところをトレーラーに轢かれて、股関節と骨盤を骨折しました。完治までに半年かかったので高校の卒業式も松葉杖でしたし、内定していた就職先も諦めたんですよ。そこから人生が変わりましたね。

——うわ……それは災難でしたね……。
平岩さん:けがが治ってからは弁当屋のアルバイトや建具店の工場勤務をして、それからベーカリーで働くことになったんです。母親がパンを売って回る仕事をしていたし、僕も朝食には必ずパンを食べていたので、パンに親近感を抱いていたのかもしれませんね(笑)
——ベーカリーでは製造を?
平岩さん:製造と接客の両方を担当していました。僕は自分の作ったパンを直接お客様に手渡したかったんですよ。わりと負けず嫌いな性格なので、みんなに負けないように早く仕事を覚えたかったんですけど、最初のうちはなかなか仕事を任せてもらえなくて悶々とした日々を送っていたんです。でも、新しく着任した工場長からいろいろな仕事を任せてもらえるようになって、最終的には店長にしていただきました。

——じゃあ工場長の厚い信頼を受けていたんですね。
平岩さん:働いている人たちの中では一番年下だったので、社長や専務からは反対されました。でもスタッフの皆さんに敬意を持って接していたので、やりにくいと思ったことは一度もなかったです。そのベーカリーでは10年近く働きました。
——その後はどうしたんですか?
平岩さん:仕事の幅を広げたかったので、次はお菓子作りの勉強をしたいと思ったんです。そこで知り合いの業者さんに相談して、紹介してもらったのが「しょこら亭」の社長でした。でもそのとき社長はベーカリーをはじめたいと考えていて、パン職人を探していたんです。僕はお菓子作りがやりたかったんだけど、社長からはパン作りをやってほしいと言われたんですよね(笑)。でも「しょこら亭」の系列店だったら、いつかお菓子作りを学ぶ機会もあるだろうと思ってお世話になることにしたんです。

ひとつひとつの作業に気をつけ、生地にこだわったパン作り。
——「カンパーニュ」では、どんなことにこだわったパンを作っているんですか?
平岩さん:僕も社長も同じ考えを持っていて、トッピングではなくて生地を食べたもらいたいんです。だから、うちの売り場ってあんまりカラフルじゃないんですよね(笑)

——シンプルなパンが多いということですよね?
平岩さん:そうですね。僕ひとりで作っているから、トッピングまでなかなか手が回らないというのもあるんですけど、パンそのものが美味しければ流行り廃りもないし、飽きも来ないんじゃないかと思うんです。だから毎日食べる食事パンにこだわっているんですよ。

——そう考えるようになったきっかけって、何かあったんですか?
平岩さん:修業時代、同じ配合やレシピで作っているのに、作る人によってパンの味が変わることに気がついたんです。それ以来、パン作りの奥深さや面白さに目覚めました。
——腕ひとつでパンの味が変わるんですね。平岩さんは美味しいパンを作るために、どんなことにこだわっているんですか?
平岩さん:すべてですね。材料はもちろん、生地をこねる時間や発酵させる時間、細かいところでパンの出来が変わってくるんです。だから、ひとつひとつ気をつけながら作っています。食べたときに派手な感動はないかもしれないけど、長く食べ続けてもらえるパンにするために生地と向き合っています。だからお客様に生地を褒められたときが一番嬉しいんですよ(笑)

——なるほど。お客様の感想って、とても励みになるんでしょうね。
平岩さん:そうですね。でも、今は売り場と工房が離れているので、なかなかお客様の声を聞くことができないんです。売り場スタッフからお客様の感想を聞くこともあるんですが、直接聞くのと間接的に聞くのとでは違うんですよね。自分のこだわりをお客様に伝えたい気持ちもあります。

——「しょこら亭」と併設して営業していることで、メリットはありますか?
平岩さん:「しょこら亭」で作っているクリームやジャムを使わせてもらったり、うちのパンを提供したりといった材料のシェアができるのはメリットですね。「しょこら亭」で周辺の酒蔵とコラボしたチョコレートを作っているように、「カンパーニュ」でも麒麟山酒造の吟醸酒や酒粕を使った「麒麟山吟醸生食パン」を作っています。今後も地元食材を使ったパンに挑戦していきたいと思っています。
パンの店 カンパーニュ
阿賀野市保田1398-1
0250-68-5370
9:30-18:00
月曜休
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