希少なアクリルで、世界にひとつだけのアクセサリーを届ける「Cao。」
ものづくり
2021.10.31
燕市の廃工場をリノベーションした建物の中に、アクリル専門のアクセサリーブランド「Cao。(かお)」があります。ショップに入ると、白地の壁に飾られているアクリル板にまず目がいきます。どれも美しい模様をしていて、聞けばこれらは世界にひとつしかない希少なものだそう。今回は、アクリルの魅力に惹かれて「Cao。」を立ち上げた渡邊さんにお話を聞いてきました。

Cao。
渡邊 ふみか Fumika Watanabe
1991年加茂市生まれ。「国際トータルファッション専門学校」卒業後、アパレルの販売員として6年間働く。その後、仕事を辞め「桑沢デザイン研究所」にてプロダクトデザインについて学ぶ。在学中にアクリルアクセサリーブランド「Cao。」を設立。同校を卒業し、燕市の会社に勤めた後、2021年からフリーランスとして活動中。温泉とサウナが大好き。
世界に一枚だけのアクリル板から、一点物の商品を作る。
——とっても素敵な建物ですね。ここが「Cao。」のアトリエ兼ショップですか?
渡邊さん:はい、そうです。廃工場になっていた建物を自分たちでリノベーションして、今年の6月半ばに完成したばかりなんですよ。入り口側が「Cao。」、奥のスペースは一緒に活動しているカメラマンたちの撮影スタジオになっています。私は「写工場」というユニットに在籍しているクリエイターで、その「写工場」のメンバーと一緒にこの場所をシェアしているんです。
——まずは「Cao。」について、詳しく教えてください。
渡邊さん:アクリルを使ったアクセサリーや小物を製造・販売しています。使用するアクリルの仕入れから、デザイン、加工、販売まで、すべて私ひとりでやっています。陳列している商品だけでなく、オーダーメイドにも対応しています。
——ブランド名には、どんな意味が込められているんでしょう?
渡邊さん:「Cao。」のアクセサリーが「新しい『顔』の一部になる」という意味、それともうひとつ、「Creative Acrylic Object」の頭文字をとりました。


——アクリル専門のショップって珍しいですよね。
渡邊さん:ここまでアクリルにこだわっているお店は、他にないんじゃないでしょうか。私、アクリルが大好きで、とにかくアクリル素材の魅力を伝えたくて。アクリルは、「プラスチックの女王」と呼ばれていて、強度があって、どんなに使っても劣化しないんです。お肌に優しいので、金属アレルギーの方でもノンストレスで使っていただけます。いいところがたくさんある、とても優秀な素材なんですよ。
——どれもすごく重厚感がありますね。アクリルというより、高価な石材みたいな。
渡邊さん:「Cao。」で使用しているアクリルは、皆さんの身近にあるアクリルとはちょっと違って、とても希少価値が高いものなんです。ハンドメイドのアクリルアクセサリーって、いくつかのパーツをくっつけたり、レジンを使ったりして作るものが多いんですが、「Cao。」では、アクリルの板を仕入れて、その板をカットし、研磨して商品を作っているんです。
——アクリル板……ですか? 壁に飾ってある、あの板?
渡邊さん:はい。全部、職人さんが手作りしているもので、どれも世界にひとつしかないアクリル板です。日本では、職人さんが作ったアクリル板を手に入れられる場所がほとんどないんですけど、そこへ出向いて、気に入ったものを選んでいます。レコードを選ぶときみたいに、1枚1枚、板をめくってどれがいいか探すんです。
——へ〜、世界にひとつだけのものなんですね。
渡邊さん:しかも、切り取る場所によって柄が異なります。板をカットしてアクセサリーや小物にするので、どれも風合いが違う、一点物の商品になるんです。

ずっと見ていられるほど惚れ込んだ、アクリルの魅力を伝えたい。
——渡邊さんは、以前はアパレルの仕事をされていたんですよね。
渡邊さん:「国際トータルファッション専門学校」を卒業して、6年間アパレルの販売員として働いていました。今でもファッションは大好きですが、販売ではなくデザインに関心を持つようになったので、アパレルの仕事を辞めて、「桑沢デザイン研究所」という専門学校でデザインを学ぶために上京したんです。
——「Cao。」はいつ立ち上げたんですか?
渡邊さん:「桑沢デザイン研究所」に在学中の2018年に始めました。学校の制作課題でアクリルを使ったことがきっかけで、アクリルの魅力に惹きつけられたんです。美しいし、機能性も抜群だし「なんて素晴らしい素材だろう」って。課題では、アクリルで目薬のボトルを作ったんですけど、制作の過程で端材が出てしまったんです。でもその端材もとても綺麗だったので、アクセサリーを作ってネットショップで販売したら、とても反響がありました。それで「Cao。」を立ち上げることにしたんです。アクセサリー作りは、私にとって、アクリルの魅力を伝える手段ですね。

——専門学校を卒業されてからは?
渡邊さん:新潟に戻って、燕の家具メーカーでデザイナーとして働きました。その頃は実家の自分の部屋で「Cao。」のアクセサリーを作っていたんですけど、「切断したアクリルの粉まみれ」という劣悪な環境での作業だったんです。とにかく作業場が欲しいと思っていたら、「写工場」のオーナーでもある宗村亜登武さんに出会って、他のメンバーと一緒に燕の小池にスペースを借りて作業場としていたんですが、その場所は半年ほどで移らなければならなくなって、改めて今の場所を借りたんです。
じっくりお客さんと向き合い、その場でオリジナルの作品を提供。
——「Cao。」専業になったのはいつ?
渡邊さん:フリーランスになって、「Cao。」だけを仕事にしたのは、今年のはじめです。東京から戻ってからまだ数年ですが、仕事を辞めてフリーになったり、「写工場」のメンバーとの出会いがあったり、いろいろなことがありましたね。
——「Cao。」は予約制のようですが?
渡邊さん:コロナ禍の対応という面もあるんですが、お越しいただいたお客さまとしっかり向き合うことができるので予約制にしています。オリジナルリングを作る場合だったら、好きなアクリル板を選んでもらって、その場でサイズを測って加工し、完成品をお渡しするところまでご予約の時間内に行なっています。「愛鍵」という商品名のキーリングも、その場で好きな文字を掘って、商品をお渡しすることができます。ご予約いただいている時間は、じっくりお客さまとお話しできるので、私にはしっくりくる方法なんです。

——その場で商品を作ってもらえるなんてロマンティック!
渡邊さん:アクリルは丈夫な素材だし、金属のリングと違って、洗い物をするときも外さなくて大丈夫ですし、温泉に浸かっても変色しないんですよ。「Cao。」のターゲットには女性を想定していたんですけど、男性のファンも多くて、カップルでペアリングを作りに来てくださる方が増えました。金属のリングだと契約的な意味合いがあるというか、ちょっと重い感じがしますけど、アクリルだったら気軽ですし、ファッションとしてもおしゃれですよね。
——なるほど。リング、キーリング以外には、どんな商品がありますか?
渡邊さん:ピアスやコースター、箸置き、表札などがあります。アクセサリー以外のプロダクトも増やしたい気持ちが強くなって、「あれも、これも、アクリルで作れそう」と考えることが面白いですね。お客さまの要望がアイディアの源になることが多いんです。私、髪が短いから思いつかなかったんですけど、お客さまから「アクリルのヘアアクセサリーは作れない?」と言われて、リングの端材をヘアアクセサリーに生かしました。素材が無駄にならないし、素晴らしいアイディアのヒントをいただきましたね。

若者が活躍できる町、燕の新スポットを生み出す。
——お話を聞いていると、ここは燕の新しいデートスポットになりそうだ、と思いました。
渡邊さん:最近、近所に新しくできたラーメン店さんから「Cao。」に来てくれたお客さまもいましたね。商店街に新しいお店ができたり、シェアオフィスができたり、古着屋さんができたり、燕の若い人がいろいろな分野で活躍しているので、ここも燕の寄り道スポットになったら嬉しいですね。
——これからやりたいと思っていることは?
渡邊さん:いつもは予約制なんですが、先月から金曜日の夕方にフリーオープンの日を設けたところ、予想以上にお店が賑わったんです。なので、これからはフリーオープンの日に、カフェみたいな感じで楽しんでもらえるような工夫をしても良いかなと考えています。それから、隣の棟も借りているので、そこを改装してギャラリースペースにしたいと思っています。燕にはギャラリーがないんですよ。だから、「写工場」のメンバーだけでなくて、いろんな人が自分の作品を展示できるギャラリーがあったらいいな、と。

——素敵な構想ですね!
渡邊さん:それともうひとつ。加工する前のアクリル板を撮りためて写真集を作りたいですね。どれも2度と手に入らない一枚ですから大切にしたいんです。
Cao。
燕市水道町2-1-1
080-1140-4761
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