Things

自分と向き合える静かな間借りカフェ「Coffee Stand Me time」。

スマートフォンの普及によって、いつでもどこでも離れた人とつながれるようになりました。それは便利である一方、知らず知らずに私たちを疲れさせてしまっているときもあります。今回紹介する「Coffee Stand Me time(コーヒースタンド ミータイム)」は、ひとりの時間を楽しんでほしいという思いからオープンした、心落ち着くカフェ。期間限定で間借り営業をしている三社神社の社務所に、オーナーのみどりさんを訪ねました。

 

 

Coffee Stand Me time

みどり Midori

1986年新潟市東区生まれ。大学卒業後は教員として10年間勤務し、その後一般企業に転職。2023年に三社神社の社務所を間借りして「Coffee Stand Me time」をオープン。トロンボーン、ピアノ、フルートなどの楽器演奏が特技で、ジャズバンドでの音楽活動もしている。

 

神社の社務所でカフェをはじめた理由。

——こちらは三社神社の社務所ですよね。どうしてここでカフェをはじめることになったんですか?

みどりさん:以前からカフェをやってみたいと憧れていたんですけど、なかなか思い切ることができずにいたんです。それが、昨年受けた胃の内視鏡検査で初期の胃がんが見つかって手術を受けたことで、「ある日突然死んでしまうことだってあるかもしれない。やれるときにやりたいことをやっておかないと、後悔してしまうかもしれない」と考えるようになって、カフェをはじめることにしたんです。ただ、最初から店舗を構えるにはリスクが大きいので、間借りさせてもらえるところを探しました。

 

——それで神社の社務所を?

みどりさん:静かな場所でカフェをやりたかったんですよね。神社の社務所って普段は使っていないんじゃないかとひらめいて相談したところ「期間限定でイベント的にオープンする」という条件で許可をいただけました。ありがたいことに、こちらの神社は新しいことをはじめるときの「立身出世」や「心願成就」にご利益があるそうなんです。オープン日も縁起を担いで「一粒万倍日」を選びました(笑)

 

 

——オープンしてみて、お客さんの反応はいかがでした?

みどりさん:初日からインスタグラムを見たお客様がたくさん来てくれて、用意していた50杯分のコーヒーが完売してしまいました。ひとりでやる予定でしたけど無理だったので、神社の方に手伝っていただくことになってしまったんです。これも三社神社のご利益かもしれませんね(笑)

 

——さすがパワースポットですね(笑)。みどりさんは今までも飲食関係の仕事をされていたんですか?

みどりさん:大学を卒業してからは10年ほど教員をやっていました。でも部活動の顧問になってからは休む暇もなくなってしまって、挙げ句、心身に不調をきたして退職することになったんです。それからは一般企業に勤めて事務を担当してきました。

 

——そうだったんですね。じゃあ、カフェをやってみたいと思ったのはどうしてなんですか?

みどりさん:ひとつはお菓子づくりが好きだったからです。子どもの頃、お隣に住んでいたお兄さんがお裾分けしてくれる、手作りのお菓子がとっても美味しかったんです。あと、学校から帰宅したときに感じる、母の焼いてくれたマドレーヌの香りも大好きでした。そういう思い出があって、大人になってから自分でお菓子を作るようになって。周りの人にお裾分けすると、みんなが喜んで食べてくれるのが嬉しかったですね。

 

 

——じゃあお菓子作りがまずあったわけですね。

みどりさん:私にとってはお菓子作りが癒しの時間になっているんです。材料を混ぜるときにだんだんと色が変わっていくのを見るのも楽しいし、オーブンに入れて焼き上がるのを待つ時間も心地いいんです。疲れを忘れて没頭することができる幸せな時間ですね。

 

——ところで、コーヒーはお好きだったんですか?

みどりさん:好きでしたね。特に受験勉強のときに母が淹れてくれたミルクコーヒーが大好きだったんです。大人になってからいろいろなコーヒーを飲むうちに「珈琲豆 山倉」さんのコーヒーと出会って、その美味しさにますますハマっていきました。ミルやドリッパーを揃えて、いろいろな淹れ方を試してみて、自分好みの味を追求していましたね。

 

ひとりで過ごせて、ほっとできる空間。

——コーヒーやお菓子についてお話をお聞きしたいと思います。

みどりさん:コーヒーは「珈琲豆 山倉」さんの豆を使わせていただいてます。8月の営業日からは、いよいよオリジナルブレンドのコーヒーを提供させていただく予定なんですよ。「SANSHA BLEND 朔(サンシャブレンド サク)」といって、酸味が少なめでスッキリした味わいの浅煎りコーヒーになっています。

 

——「SANSHA BLEND」っていうことは、三社神社限定のコーヒーなんですか?

みどりさん:そうではないんですけど「Coffee Stand Me time」の原点ということで、三社神社のお名前を使わせていただきました。新月を意味する「朔」にも、新しくスタートする意味を込めてあります。パッケージデザインにも三社神社を象徴する「三」やカエルをあしらっています。

 

 

——オリジナルブレンドコーヒー、楽しみですね。ケーキや焼菓子はどんなこだわりで作っているんでしょうか。

みどりさん:主役はコーヒーだと思っているので、コーヒーがより楽しめるようなお菓子を心掛けています。私自身、甘過ぎるお菓子が得意じゃないので、甘さを控えめにしています。できるだけ身体に優しい素材を使うようにしているので、てんさい糖やきび糖を使うようにしていますね。

 

——見た感じ、シンプルで大人っぽいお菓子ですね。

みどりさん:ひとりで過ごせてほっとできる空間を提供したかったので、その時間を邪魔しないよう、できるだけ落ち着いた雰囲気を心掛けているんです。お菓子のかたちも丸いものより四角っぽい方が落ち着いて感じますし、コーヒーカップも落ち着いたトーンの色を選ぶようにしています。

 

 

——「ひとりで過ごせてほっとできる空間」というのがコンセプトになっているんですね。

みどりさん:「現代は人間関係が希薄になっている」と聞くことが多いですけど、実際には誰もがスマートフォンを持っていて、常に電話連絡が取れるしインターネットで誰かとつながっていますよね。でも、ときにはそうした人間関係を忘れて、ひとりの時間を楽しんでもらいたいんです。スマートフォンをバッグにしまって、コーヒーを味わったり、本を読んだり、物思いに耽ったりして、自分と向き合う時間も大切にしてほしいですね。

 

 

—— そういう意味でも、神社って場所がぴったりですね。

みどりさん:そうなんですけど、三社神社さんでの営業は8月中旬と9月中旬のあと2回だけになるんです。詳しい日程は今後インスタグラムでご案内いたしますので、よろしければチェックしてみてください。

 

——あらら……それは残念ですね。今後はどんなふうに続けていく予定なんですか?

みどりさん:しばらくはキッチンカーやイベント出店で続けていこうと思っていますし、間借り出店もどこかでやりたいと思います。そして、いつかは小さなカフェをオープンできたら嬉しいですね。そのときは自分時間を楽しみにきてくださいね。

 

 

 

Coffee Stand Me time

新潟市中央区三和町1-1 三社神社内

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
  • 部屋と人
  • She
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。


TOP