JR新潟駅や万代シテイの近くに「delica & liquor conne(デリカアンドリカー コネ)」という隠れ家みたいなお店があります。とても落ち着いた雰囲気の店内に入ると、迎えてくれたのはオーナーの長谷川さんご夫婦。お店のこだわりについてお話を聞きました。
delica & liquor conne
長谷川 健 Takeshi Hasegawa
1984年新発田市生まれ。ファッション専門学校を卒業してセレクトショップや創作居酒屋で働き、2014年に「delica & liquor conne」をオープン。マンガやアニメが趣味で、お気に入りの作品は「スラムダンク」と「シュタインズゲート」。
——長谷川さんはずっと飲食業界にいらっしゃったんですか?
長谷川さん:ファッション系の専門学校を卒業して、セレクトショップのスタッフをしていました。
——へぇ〜、ファッションに興味があったんですね。
長谷川さん:そうでもなかったんですけど、特にやりたいことがなかったし、ファッション関係の仕事は女の子受けするかもと思ったんです(笑)
——いかにも若者っぽい考えですね(笑)。では飲食業をするようになったのはいつ頃なんですか?
長谷川さん:23歳からお洒落な創作居酒屋で働きはじめました。
——アパレルショップから創作居酒屋へ転職したのはどうしてなんですか?
長谷川さん:その頃よく通っていたクラブの常連には、飲食店のオーナーが多かったんです。みんな楽しそうでかっこよかったので、そんな姿に憧れて飲食業をやってみたいと思ったんです。
——創作居酒屋ではどんなふうに働いていたんでしょうか?
長谷川さん:そのお店では誰でも作れるように、そんなに難しい料理を出していなかったんです。でも料理を勉強したいという気持ちが強かったので、本で調べたり、同業の先輩や市場の方に教わったりして学びました。市場にある魚屋さんは板場にまで入れてくれて、魚の捌き方を丁寧に教えてくれたんです。本当に感謝しています。
——その頃から独立も考えていたんでしょうか?
長谷川さん:どうなんでしょうね。30歳になったタイミングで自分の将来を考えるようになったんですよ。別な業界で働くことも考えたんですけど、自分の店をオープンすることを選んだんです。自信はぜんぜんなかったけど、挑戦してみようと思いました。
——どんなお店にしようと思いました?
長谷川さん:普通の居酒屋はたくさんあるので、洋食系の居酒屋がいいんじゃないかと思ったんです。イタリアンの店も多かったから、フレンチっぽいメニューの居酒屋をやってみようと思いました。手軽に非日常を味わってもらえるような店にしたかったですね。
——なるほど。お店をはじめるときにはどんな準備をしましたか?
長谷川さん:勉強のためにいろいろなお店を食べ歩きました。特に東京へはお腹を壊す覚悟で正露丸を持参して、ガイドブックを片手に行っていましたね(笑)。奥シブや代々木八幡のお店は、僕がやりたいと思っていたお店のイメージと重なったし、新潟にはないお店だったので参考にしました。ナチュラルワインを提供しているのもかっこよかったですね。
——店内もラフな感じで落ち着きます。
長谷川さん:木のぬくもりを感じられる、落ち着きのある雰囲気で作っていただきました。カウンターの下に木製パレットが使われていたり、ランプシェードがバケツだったりとユニークな発想で作ってもらえて気に入っています。テーブルは工事現場の足場板なんですよ(笑)
——全体的に使い込まれた感じが落ち着きますよね。器やお料理もお店の雰囲気に馴染んでいます。
長谷川さん:ありがとうございます。自家製のシャルキュトリーを使ったフレンチをナチュラルワインと一緒に楽しんでいただきたいですね。
——肉の加工品は自家製なんですね。どんなところに気を遣って作っていますか?
長谷川さん:美味しくなるように努力しています。
——(笑)。具体的にはどんな努力を?
長谷川さん:薫製を作る時間は気温や湿度で変わってくるので、燻煙のかかり具合や、肉の乾き具合を直接確かめながら作るようにしています。パテもできるだけ低温で焼きながら、火の入り具合を確かめるようにしていますね。
——自分の感覚を大切にして作るわけですね。他にも気をつけていることはありますか?
長谷川さん:ソーセージを作るときも、温度管理を徹底しています。肉だけじゃなく使う道具も冷たい温度で管理しているんです。そうしないと水と油がしっかり混ざり合わなくて、ボソボソになってしまうんですよ。
——ところで見慣れないワインボトルが多いような気がしますけど、どんなワインを置いているんですか?
長谷川さん:うちはナチュラルワインをたくさん置いているので、見慣れないボトルが多いんだと思います。ナチュラルワインを作っているのって、小さなワイナリーが多いし生産数も少ないんです。
——「ナチュラルワイン」って、農薬を使わずに栽培したぶどうで作るんでしたっけ?
長谷川さん:それだけじゃなく、熟成を安定させるための酸化防止剤とか余計なものを入れず、人間の手を極力加えずに作ったワインなんです。東京のお店で出会ったんですけど、ワインらしくない味わいが新鮮で、とっても飲みやすく感じたんです。トラディショナルなワインが好きな人から見ればNGなワインかもしれませんが、そのナチュラルワインを提供しているお店が素敵でかっこよく思えました。
——お店に来るのはどんなお客さんが多いんでしょうか?
長谷川さん:女性のお客様が8割ですね。オープン当初はがやがやと賑やかな店だったんですけど、コロナ禍を経て席数を減らしたり単価を上げたりした今では、落ち着いて食事する雰囲気の店に変わりました。
——10周年を迎えて、これからはどんなふうに営業していこうと思っていますか?
長谷川さん:お店の改装やテイクアウト販売を考えています。今までもテイクアウト販売には対応していたんですけど、ガラスケースに商品を並べてもっと利用しやすくしようと思っているんです。今後は店で食べない方々にも、うちの料理を楽しんでいただけたら嬉しいですね。
delica & liquor conne
新潟市中央区水島町3-23 八千代マンション1F
025-250-5466
火曜・第1月曜・第3水曜休(不定休有り)