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明るく楽しい雰囲気を大切にしている老舗洋食店「キッチン加山」。

40年以上前から新潟市中央区万代にお店を構えている「キッチン加山」。現在は二代目店主が奥さんと一緒に切り盛りしており、変わらない味を守り続けています。店主の加山さんを訪ね、料理やお店のこだわりについて聞いてきました。

 

 

キッチン加山

加山 雄一郎 Yuichiro Kayama

1977年長岡市生まれ。大工から料理人に転向し、百貨店のレストランで修業を積む。父親の経営する「キッチン加山」で2007年から働き、2010年に二代目店主となる。休日には子どもと一緒にスノーボードを楽しんでいる。

 

病に倒れた父に代わり、いきなり二代目店主になる。

——「キッチン加山」さんって、かなり前からありますよね。創業はいつ頃なんですか?

加山さん:横浜のいろいろな飲食店で料理人修業をした父が1979年に開業した店なんです。だからもう43年経つのかな。本当は鉄板焼きの店をやりたかったらしいんですけど、当時、新潟の人たちはあんまり牛肉に馴染みがなかったらしいんですよね。だから鉄板焼きをあきらめて、洋食屋をはじめたそうです。その頃の新潟にはまだチーズを扱っている業者もなくて、取り寄せていた時代だったそうですから……。

 

——加山さんは昔からお店を継ぐつもりだったんですか?

加山さん:いやぁ……継ぐつもりはなかったですね(笑)。だから最初は工務店で大工修業をしていました。でも、安く簡単に組み立てられる「ツーバイフォー工法」が流行して、昔ながらの工法で家を建てる大工は仕事が減ってしまったんですよ。そこで家業の「キッチン加山」をしばらく手伝っていたんですけど、百貨店のなかにあるレストランから誘われて、そこで7年くらい働きました。

 

 

——じゃあ、そのレストランで本格的な料理修業をされたんですね。

加山さん:そうですね。父の手伝いをしていたときは調理補助しかやっていなかったから。幸いレストランの親方から可愛がってもらえたので、楽しく働くことができました。和洋中なんでもやっていたので、いろいろな料理を勉強することができましたね。でも、30歳のときに父から「いい加減に戻ってこい」と呼び戻されて、「キッチン加山」で働くことになったんです。

 

——親子で一緒に働くのはいかがでしたか? 遠慮なく言いたいことが言えて、気を使わずに仕事ができそうですけど。

加山さん:いやぁ〜、ぶつかりますね(笑)。言いたいことなんて言ったら、100倍くらいになって返ってきますから……。でも俺が「キッチン加山」で働きはじめて3年経ったときに、父がくも膜下出血で倒れてしまったんですよ。いきなり代替わりすることになったんですけど、わからないことが山ほどあって最初は大変でした。でもやらなければしょうがなかったので、無我夢中でしたね。だからその頃の記憶はほとんどないです(笑)

 

料理の基本をしっかり守って、美味しい洋食を提供。

——代替わりされてから、お客さんの反応はいかがでした?

加山さん:最初は「味が変わった」と言われることもありました。でも、父がいた頃から俺が作っていたので、ちょっと不思議に思っていましたけどね(笑)。味っていうのは、イメージによって変わって感じられるのかもしれません。

 

——料理をするときには、どんなことにこだわっているんですか?

加山さん:料理の基本かもしれないですけど、熱いものは熱く、冷たいものは冷たく提供するために、料理ができたらすぐにお客様の元へ運ぶよう心がけています。あと、リーズナブルな値段で食べてほしいけど、材料が値上がりしててねぇ……。

 

——いろいろなことに気を使っているんですね。そんな料理のなかで、人気があるものを教えてください。

加山さんオムライスが人気ですね。オムレツ、オープンオムレツ、ご飯を包むオムライスを、期間限定メニューも含めて常時7〜8種類提供しています。

 

 

——「キッチン加山」さんのデミグラスソースにはどんな特徴があるんですか?

加山さん:1ヶ月以上、朝晩火にかけて作っています。甘さや辛さ、酸味といったいろいろな味が混ざり合った、豊かな味わいになっているんじゃないでしょうか。

 

——かなり手間暇かけて作っているんですね。ところで、お客さんはどんな方が多いですか?

加山さん:昔は全席喫煙可能だったから、近所の会社員が昼休みに喫煙がてら来ていて、男性客が9割を占めていました。でもリニューアル後は全席禁煙にしたので、今では女性客が8割くらいになって逆転しましたね(笑)。紙エプロンやブランケットを用意して、女性に喜んでいただける店作りを意識しています。

 

明るく楽しい雰囲気は、スタッフやお客さんに伝わる。

——お店を営業する上で、心掛けていることってありますか?

加山さん:夫婦でお店をやっているから、なるべく夫婦喧嘩しないようにするってことかなぁ……。

 

 

——夫婦喧嘩ですか(笑)

加山さん:いや、でも冗談じゃなく、そういう雰囲気ってスタッフやお客様に伝わっちゃうんですよ(笑)。楽しくやっていくことでスタッフもお店のことを好きになってくれて、お店が良くなるよう積極的に働いてくれると思うんです。そういうムードはお客様にも伝わりますからね。クチコミを見ていてスタッフが褒められていると、料理を褒められるより嬉しいです。

 

 

 

キッチン加山

新潟市中央区八千代1-2-10

025-247-0967

11:30-14:00(L.O.13:30)/18:00-21:30(L.O.21:00)

水曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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