郷土の味と偶然の出会いを提供するカフェ&ダイニング「Dayis」
食べる
2019.08.24
高校生から高齢者まで。幅広い世代が集う開放的な空間。
一見、お洒落で都会的なカフェ&ダイニング。しかし中に入ってメニューを広げると、そこには「ガレット」「パスタ」「タピオカ」などに混じって「やまもち」や「おから」「そば粉」など、スタイリッシュなお店の雰囲気とは正反対とも思える文字列が。村上駅前の一角に店を構える「Dayis(デイズ)」は、地域に脈々と受け継がれてきた食材や家庭料理を今日にアップデートして提供し、高校生から高齢者まで、幅広い世代が集うお店になっています。そのコンセプトや取り組み、将来像などについて、店主の鈴木いづみさんにお話を伺いました。

Dayis
鈴木 いづみ Izumi Suzuki
1979年村上市大場沢(旧朝日村)生まれ。地元の道の駅「朝日みどりの里」に13年間務めたのち、村上駅前に念願の自店「Dayis(デイズ)」をオープン。実家は祖父の代から続く地元の名物豆腐店で、自店では実家の商品も料理やスイーツの素材として活用。ともに独立した2人娘の母でもあり、「いつまでも若々しい母親でいたい」とウォーキングを始めたものの、「歩き終えると達成感でビールがほしくなっちゃう」と頭をかく。最近は店で預かっているメダカの育成にも熱中。

消えゆく「実家の味」に光を。
――さっそくですが、この「やまもち」って何ですか?
鈴木さん:私の生まれ育った村上市朝日地区の郷土料理のひとつで、毎秋、収穫を祝って各家庭で山の神様にお供えする料理なんです。根菜やきのこ、鶏肉などを出汁で煮たものに、「半殺し(粒が半分くらい残るようにすりつぶすこと)」にした炊きたての新米のお団子を入れます。一番の特長は、すったクルミを加えて味に深みやコクを出すことですね。家庭料理なのでレシピはそれぞれの家で代々受け継がれていて、「のっぺ」のように各家庭で異なります。デイズの「やまもち」も、私が祖母や母から学んだ「実家の味」がベースです。

――ほかにも「実家っぽい」メニューが少なからずありますね。
鈴木さん:それが、お店のコンセプトのひとつでもあります。村上には、有名な「鮭」や「村上牛」以外にも、各地域や家庭で脈々と受け継がれてきた魅力的な食文化があります。それらにもっと光を当て、発信していくことで地元の食文化の伝承に貢献できればな、と。例えばこの「やまもち」も、近代化・核家族化によって少しずつ廃れつつあるのが現状です。世代をまたいで同じ台所に立つ、という機会が少なくなっていますから。私自身は幼い頃からずっと食べてきた「ごちそう」のひとつなので、ぜひ後世に残したい、と思ってメニューに加えています。
――「実家」といえば、鈴木さん自身の実家は豆腐店とのことで。
鈴木さん:そうです。祖父の代から地元の大場沢で続けています。実家の豆腐はデイズのメニューにも活かしています。
――具体的には?
鈴木さん:ウチの豆腐は「木綿」と「絹」のちょうど間で、風味が豊かで、もっちりしていて、適度な固さがあり簡単に煮崩れしないのが特徴です。その食感を存分に味わってもらおうと、「半丁まるごとマーボー」というメニューも提供しています。それ以外にも「あぶらげ」や、「豆腐寄せ」(おから)の飯寿し、小豆メーカーの方と共同開発した「豆乳ようかん」などもラインナップに加えていますね。
――もしかして…、店名も豆腐の「大豆」から?
鈴木さん:そうですよ。少し訛って「デイズ」に(笑)。また、「大事」や「毎日」という意味も込めています。「大事」も少し訛っていますけど(笑)
「タピオカ」から「やまもち」まで、コミュニケーションのきっかけに。
――そもそも、お店を開いたきっかけは?
鈴木さん:それまで働いていた地元・村上市朝日地区の道の駅にある施設「朝日みどりの里」では、物産販売のほか新商品の開発やイベントの企画運営などにも携ってきました。その仕事を通じて地元の名産品や伝統文化を見つめ直す中で、中にはすごいポテンシャルを秘めているのに、スポットライトを浴びないまま埋もれていきつつあるものが少なからずあって、ずっと気になっていたんですね。職員としても新商品やイベントの素材に採り上げるなどしてそれらに光を当てることで、次代へ引き継がれるきっかけとなるよう努めてきましたが、当事者としてより本格的に取り組みたいと独立することにしました。
――お店はオープンキッチンで、開放的な雰囲気です。
鈴木さん:地域ならではの魅力って、モノだけじゃなく、もちろん人やそのつながりにも宿ります。なので、飲食店であれば食べて終わりではなく、食やそれにまつわる情報をきっかけにコミュニケーションが活発になるような雰囲気作りに努めています。開放感だけでなく、店内にはコミュニケーションのきっかけになるネタをたくさん仕込んでいるといえるかもしれません(笑)。それは私たちスタッフとお客さんだけでなく、お客さん同士でも。実際、全く知らない方同士が盛り上がったり、別のグループに飛び入りで参加したり、そういう「偶然の出会い」がほかのお店よりも多いと思いますよ(笑)
――客層も高校生から高齢者まで幅広いですね。
鈴木さん:常連さんの中には、「今日も出勤しました」とか「ただいま」と言ってくれる方もいたり(笑)。ありがたいことです。おかげさまで、幅広い世代の方々にご愛顧いただいています。流行のタピオカを飲みに来る若者から、懐かしのやまもちを食べに来る高齢者まで(笑)。普段の生活ではあまり交わることのない方々が、このお店をきっかけに出会い、交流を深めてくれるのはとっても嬉しいことで、大きなやりがいのひとつです。

学生との連携にも注力。「成長し合う場」としての店へ。
――最近は、地元の学生との連携にも力を入れているとか。
鈴木さん:そうですね。地元の村上中等教育学校の生徒さんのデザインを、お土産用コーヒーのラベルに採用したりしています。地域学習で地元の学生が地域活性化のアイデアを考案して発表するのって今やどこでもやっていると思うんですけど、いぜんある学生さんから「大人は自分たちにアイデアを発表させるだけで満足していて、決して形にはしない」と言われて、「確かに」と頷かざるを得なくて。ならば私の店で実現させてあげよう、と思ったのが始まりです。アイデアを出すだけと具体的な形にまでするのとでは身の入れ方が俄然違い、学生にとっても将来の貴重な糧になると思います。これは今後も続けていきたいですね。
――職場体験も積極的に受け入れているそうですね。
鈴木さん:障がいのある子どもたちの作品展をお店で開いたのがきっかけで、地元の特別支援学校に通う生徒さんの職場体験を受け入れました。これはむしろこちらが目から鱗の体験で、今後はより本格的に「模擬カフェ」のような取り組みもしたいと考えています。
――目から鱗とは、具体的には?
鈴木さん:来てくれた生徒さんたちは本当に仕事が丁寧で、接客の根源的なところを見せてくれたというか、自分たちの接客を改めて見つめ直す良い機会を与えてくれました。純粋な「人の役に立ちたい」「相手を喜ばせたい」という気持ちが見えて、心を打たれましたね。また、障がいの有無は白黒はっきりしているものではなく、どんな人にも得意不得意があるように、とてもグレーで、私たちと全く変わらないんだな、と実感しました。お客さんを含め、このお店がお互いに認め合い、学び合い、成長し合う場になればいいな、と思っています。
――なるほど。最後に今後の展望を伺おうと思っていたのですが、先を越されましたね。
鈴木さん:すいません(笑)。お店としては今後も「地産地消」をベースに、健康や美容なども絡めながら地域の隠れた魅力をどんどん発信していきたいと思います。また今回話してきたように、お店が人とモノ、人と地域、人と文化、また世代を超えた人同士をつなぐ架け橋になれば・・・。娘2人もようやく自分の手を離れたので、これから今まで以上にガンガンいきたいですね。

持ち前の明るさとチャレンジ精神で、みどりの里職員時代から性別や世代を問わずファンの多かった鈴木さん。独立後もその姿勢は変わらず、新たな取り組みに意欲的です。村上にお立ち寄りの際には、ぜひデイズで地域に伝わる郷土料理や「偶然の出会い」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
山もちランチ 928円
半丁まるごとマーボーランチ 1080円
そば粉ガレットランチ 1296円
タピオカドリンク 490円
ロイヤルスウィートバニラ(ソフトクリーム) 453円
ロイヤルブリュレパンケーキ 680円
豆乳すいーつ 324円
三角あぶらげ 324円
デイズの大海 432円
そば粉ロールガレット 648円~
やまもち(単品) 1玉324円~
豆乳ボロネーゼ 1080円
パスタ各種 972円
ガパオライス 864円
日替りドリア864円 など
ソフトドリンク&アルコール 各種
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