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発酵と熟成にこだわる、醸造の町のイタリアンレストラン「BUKUBUKU」。

長岡の摂田屋(せったや)という地域は、昔から日本酒をはじめ、醤油、味噌の蔵元が集まり「醸造の町」として知られています。その摂田屋の近くに「BUKUBUKU(ブクブク)」というユニークな名前のイタリアンレストランがあります。いったいどんなお店なんでしょうか。オーナーの佐藤さんにお話を聞いてきました。

 

 

BUKUBUKU

佐藤 晶 Akira Sato

1981年上越市生まれ。大学卒業後、大型トラックディーラーで営業職を経験。その後はイタリアンレストラン、居酒屋などで飲食業の修行を重ね、2019年に長岡市で「BUKUBUKU」をオープンする。趣味は映画鑑賞や読書。お気に入りの映画はコーエン兄弟の初期から中期にかけての作品。

 

トラックディーラーの営業が肌に合わず、料理の世界へ。

——佐藤さんはどうして料理人になろうと思ったんですか?

佐藤さん:大学を卒業してから大型トラックのディーラーで営業をやっていたんですが、恐ろしいほど自分の肌に合わなかったんです(笑)。それで今度は真逆の仕事をやってみようと思って、料理の仕事を選びました。そんな単純な理由だったんです(笑)

 

——最初はどんなところで働いたんですか?

佐藤さん:イタリアンレストランです。スタッフの少ない店だったから、わりとなんでもやらせてもらえたのはラッキーでしたね。おかげでいろんなことを覚えることができました。最終的には店長としてお店を任せてもらえるようになりました。でももっと自分の幅を広げたいと思ったので、次に和食の仕事を経験してみたんです。

 

——それはまた大きく路線変更しましたね。どんなお店に行かれたんですか?

佐藤さん:居酒屋です。洋食から和食に変わって、仕事も調理からサービスに変わったので、最初は戸惑うことばかりでしたね。でもホスピタリティのしっかりしたお店だったので、接客サービスについてのしっかりと勉強をさせていただきました。この頃から具体的に将来のことを考え始めたんですけど、このまま新潟で修行を続けて独立しても、まわりにある他の店と変わらないだろうな、と思ったんです。

 

 

——なるほど。それでどうしたんですか?

佐藤さん:家族と実家に戻るタイミングで、私だけが単身、東京修業に行きました。

 

——おお。とても理解のある奥さんですね。

佐藤さん:そうですねー。本当に感謝しています。その分、僕も必死に修行してきました。ずっと新潟の飲食店で経験を積んできて、ひと通りの仕事はできるつもりだったんですけど、東京で働いてみたら比べものになりませんでした。それから、新潟には美味しいものがたくさんあると思っていたけど、東京にはもっと美味しいものがあったんです。自分が井の中の蛙だったと思い知りましたね。東京ではいろんな世界に触れることができたので、行ってよかったと心から思っています。

 

醸造の町に惹かれ、「発酵と熟成」をコンセプトにした店をオープン。

——ずっと気になっていたんですけど「BUKUBUKU」っていう店名には、どんな意味があるんですか?

佐藤さん:お店のコンセプトが「発酵と熟成」なんです。発酵するときの音をイメージして店名にしてみました。ロゴマークも発酵するときの気泡がぶくぶく上がる様子と、スキレットのイメージを重ね合わせたものになっています。

 

 

——なるほど、たしかにそう見えますね。でも、どうして「発酵と熟成」をコンセプトにしたんですか?

佐藤さん:長岡で店を始めることに決めたんですけど、僕は上越の人間なので長岡のことをよく知らなかったんです。だからまず長岡のことを知りたいと思って、図書館に行っていろいろ調べたんですよ。それで「摂田屋」という醸造の町があって、昔から日本酒、味噌、醤油を作っているということを知りました。それで実際に摂田屋を町歩きしてみたら、とってもいい雰囲気の町だったので、ぜひここで店をやりたいと思ったんです。それで醸造の町でやるんだったら「発酵と熟成」をコンセプトにしようと思いました。

 

——そんなに摂田屋という町が気に入ったんですね。

佐藤さん:はい。でも摂田屋に住んでいる人たちには全員から反対されました(笑)。「摂田屋で飲食店なんかやっても、夜なんて人が来ないからやめておけ」って言われて……。でも僕は、文化や歴史のあるかっこいい町だと思ったので、自分の考えを貫いて摂田屋のすぐそばに「BUKUBUKU」をオープンしたんです。

 

どんなふうに「発酵と熟成」にこだわった料理を作っているの?

——具体的にはどんなふうに「発酵と熟成」にこだわっているんですか?

佐藤さん:日本酒や酒粕、味噌、醤油、糀といった蔵元のアイテムを、イタリアンというかたちに落し込んで料理を作っています。そうすることで摂田屋に目を向けてもらえるきっかけになればと思っているんです。

 

——なるほど。そういえば自家製の生ハムもあるんですよね?

佐藤さん:自家製の生ハムは、1年で1回しか仕込みのチャンスがないので、失敗しないようにとても気をつかいますね。

 

——生ハムは作るのが難しいって聞きますよね。他にも自家製の食材はあるんですか?

佐藤さん:ハムやサラミも自家製です。その時々で気温や湿度が違うので、年間を通して同じものを作るのが難しいんですよ。1日〜2日タイミングがズレただけでも味が大きく変わってしまいます。あと使う豚肉の個体差でも変わってしまいますからね。美味しい食材を提供してもらうためにも、生産者や問屋との信頼関係を大事にしています。

 

 

——食材を扱うのってデリケートなんですね。心がけていることとか、ありますか?

佐藤さん:食材のいいところを引き出すようにしています。そのためにも使う魚や野菜の下処理をしっかりとやったり、どの食材と組み合わせたら味が引き立つかを考えながら作るようにしているんです。

 

——発酵させるものといえばワインもそうですよね。そちらのこだわりもあるんでしょうか。

佐藤さん:イタリアンワインは味にバラツキがあって整っていないんですよ。でも料理と合わせることでお互いに補い合って、相性よくまとまるんです。そんな面白いワインをたくさん用意しています。

 

お客さんにゆったり過ごしてもらえる店づくり。

——それにしても、ゆったりした店内で居心地がいいですね。

佐藤さん:ありがとうございます。料理だけじゃなくて、お客様にも発酵してもらえる店にしたかったんです。

 

——お客さんが発酵するっていうのは……?(笑)

佐藤さん:「発酵」っていうのは食材と微生物が合わさって、新しいものが生まれることなんですよね。それと同じように、お客様同士がお話しすることで新しいものが生まれたり、このお店の料理と出会うことで新しい価値観が生まれたりしてくれたらうれしいんです。だからお客様にはゆったりと過ごしてもらえるよう、席の間隔を広くとったり、座り心地のいいイスを選んだりしました。

 

——では最後に、今後やってみたいことがあったら教えてください。

佐藤さん:オープン時から考えていたことがあるんです。摂田屋の醸造元の蔵を使って、イタリアンのケータリングをやってみたいんですよ。日本酒とイタリアンのペアリングをやってみたりとか……。みんながもっと摂田屋の歴史や文化に目を向けて誇りに思ってくれるように、町づくりのお手伝いをしていきたいと思っています。

 

 

「醸造の町」摂田屋の歴史や文化、そして雰囲気に惹かれ、「発酵と熟成」をコンセプトにしたユニークなイタリアンレストランを始めた佐藤さん。美味しく熟成した食材や発酵食品を使ってイタリアンを作り続けています。皆さんも「BUKUBUKU」の料理で発酵食品の美味しさに触れてみてはいかがでしょうか。同時に、摂田屋という町の魅力にも気づくかもしれませんよ。

 

 

BUKUBUKU

新潟県長岡市宮内3-12-36

0258-77-6223

11:00-14:30/18:00-22:00

水曜休

 

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