発想を「買う」から「作る」へ。みんなのワークスペース「fabs market」。
ものづくり
2020.12.07
皆さんは家庭で使っている家具が壊れたらどうしますか? 新しく買い直すことが多いですよね。自分で直したり作ったりする人って、どれくらいいるんでしょう。もし「自分直したいけど道具や作業スペースがない」「技術や知識がない」ということなら……、それを解決できる場所があるんです! 新潟市山の下にある「fabs market(ファブスマーケット)」では、作業スペース、工具、工作機器などを貸してくれます。しかもスタッフさんが作り方のアドバイスまでしてくれるんです。今回は「fabs market」代表の小林さんと責任者の皆川さんに、いろいろとお話を聞いてきました。


株式会社ビバス
小林 浩二 Kouji Kobayashi
1979年長野県生まれ。代表取締役。新潟デザイン専門学校インダストリアルデザイン科卒業後、長野県の店舗設計会社に勤める。新潟に戻りそば屋で働きながら内装工事の仕事に従事し、2006年に独立して「株式会社ビバス」を立ち上げ、2020年に「fabs market」をオープンする。以前はスノボによく行っていたが、現在は映画や音楽が趣味。
株式会社ビバス
皆川 あゆみ Ayumi Minagawa
1991年阿賀野市生まれ。「fabs market」責任者。薬科大学卒業後、製薬会社の営業を経験。ものづくりへの情熱が捨てきれず「株式会社ビバス」に入社。製造スタッフとして働いて「fabs market」オープンとともに責任者となる。趣味は小物や服を作ることだったが、今ではそれが仕事になっている。
高校時代から「ものづくり」が好きだったふたり。
——早速ですが、おふたりは昔からものづくりが好きだったんですか?
小林さん:私は高校生の頃からものづくりが好きになりました。部屋のリフォームをする機会があって、建築系の仕事をしているおじさんに仕事を頼んだんです。そのとき手伝いながら一緒にやったことで、ものを作ることの楽しさを知りましたね。将来はインテリアや家具を作ってみたいと思って新潟デザイン専門学校のインテリアデザイン科で学びました。
皆川さん:私も高校生くらいからものづくりが好きで、小物や洋服を作っていました。と言いつつ薬科大学に行って製薬会社の営業になりましたけど……(笑)。でもやっぱり自分の好きなものづくりを仕事にしたいと思って、「株式会社ビバス」に入ったんです。

——おふたりとも学生さんのときにものづくりに目覚めたわけですね。小林さんはどういういきさつで「株式会社ビバス」を立ち上げたんですか?
小林さん:専門学校を卒業してから故郷の長野に戻って、店舗設計の会社に勤めたんです。でも、同じものを大量生産するような仕事が多かったので、ひとつひとつ手づくりがしたかった私は、違和感を感じて1年で辞めてしまったんです。その後は新潟で店舗設計の仕事をしたり、戸隠しそばの店に勤めてそば職人を目指したりもしましたね。
——そば職人も、ものづくりの仕事ですよね。
小林さん:そのとき、友人からアパレルショップや飲食店の店舗内装の仕事を紹介されて、そば屋と掛け持ちで手伝っていたんです。それで内装の仕事が増えてきたから、自分が必要とされてるんだったらと考えて建築の仕事に戻ることに決めました。それで27歳のときに独立して「株式会社ビバス」を立ち上げました。

「fabs market」は、ものづくりをしたい人のための作業スペース。
——「株式会社ビバス」ではどんな仕事をしているんですか?
小林さん:一般住宅の作り付け家具をはじめ、店舗の家具やカウンターやショーケース、商業施設やオフィスの什器のプランニングから制作までをやってます。でも、もっと一般のお客様からのオーダーを増やしたいという思いもあって、今年の3月にこの「fabs market」をオープンしたんです。
——「fabs market」はどんな場所なんでしょうか?
皆川さん:ものづくりをしてみたいけど広い場所がなかったり、ゴミが出るから自宅での作業ができなかったり、必要な道具がなかったり、作り方がわからなかったりする人たちに、工作スペースを提供して、作る楽しみを体験してもらえる場所です。「3Dプリンター」みたいに一般の人が持っていないような機器もご利用いただけます。
小林さん:世の中には安いものがいっぱいあって、「買う」のは確かに楽なんだけど、「作る」ということの豊かさももっと知ってほしいんですよ。例えば家族みんなでひとつのものを作ることで、家族のあり方が変わるかもしれない。それって、買って済ませただけでは生まれないものだと思うんですね。

——家族連れのお客さんってけっこう来られるんですか?
皆川さん:小さいお子様連れのご家族が多いですね。お父さんが中心になってダストボックスとかボックスを作っていきます。お子さんには簡単な作業をさせていますね。あとは女性のグループも多いです。楽しそうにトレイを作っていったりしますね。

ものづくりの魅力をこれからも伝え続けたい。
——おふたりにとって、ものづくりの魅力ってどんなところにあると思いますか?
小林さん:ものづくりって、空想のものを現実のものとして実現することができますよね。たとえば、子どもが流し台で手を洗うときの踏み台があったら……とか、ここにラックがあればいいのに……とか、ベンチがあれば一息つけて便利なのに……とか。そういうときに、みんなが「買う」っていう発想じゃなくって、自分たちで「作れる」っていう発想になってほしいんですよね。
皆川さん:売っているものって形が決まっちゃってますけど、作れば自分の好きな大きさや形のものができますよね。人とかぶらない自分だけのオリジナルが作れるのがものづくりの魅力だと思います。
小林さん:なかなかうまくいかないところも、また楽しいんですよね。

——これからどんなふうに作る楽しみを伝えていきたいですか?
小林さん:アメリカではDIYが盛んで、当たり前のようにものづくりをしているんですけど、日本では買って済ませる人が多いんです。だからもっともっと、ものづくりの楽しさが伝わるようにアピールしていきたいですね。以前、小学校のPTAが主催するイベントでワークショップをやったことがあって、とっても楽しかったんですよ。だからまた子どもと一緒にできるようなものづくりを進めていきたいです。

木の香りが充満する広いスペースには、家庭にはないような工具や工作機械がたくさんあって、それを眺めているだけでも「何か作ってみたい!」という気持ちになります。皆さんも「fabs market」で、自分だけの作品を手づくりしてみませんか? そのうち身の回りのいろいろなものを、なんでも自作できちゃうようになるかもしれません。
fabs market
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