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新潟ロケ撮影をサポートする「新潟県フィルムコミッション協議会」。

  • カルチャー | 2019.09.09

あれ?何か知ってる景色…人気映画に近所の信濃川やすらぎ堤が映ってた?

2017年に公開された「チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜」という日本映画をDVDで見ていたら、どこかで見たような風景が…。見れば見るほど、よく知っている場所に見えてくるんです…。それもそのはず、その舞台は新潟市の信濃川やすらぎ堤。このように、「実は新潟県内でロケされた」そんな映画やドラマが最近少しずつ増えてきています。今回は、映画やドラマのロケ撮影をサポートする「新潟県フィルムコミッション協議会」の櫻田さん、土田さんのお二人から新潟県内で撮影された作品についていろいろと話を聞きました。

 

新潟県フィルムコミッション協議会

櫻田 哲也 Tetsuya Sakurada

1973年 静岡県生まれ。静岡県に本社のある広告代理店に入社、新潟支社への転勤を機に新潟に移り住む。趣味は国内旅行。好きな映画は「STAR WARS」シリーズ。

新潟県フィルムコミッション協議会

土田 悠 Yu Tsuchida

1981年 長岡市生まれ。長岡観光コンベンション協会時代には長岡FC(フィルムコミッション)に所属していた。趣味は海外旅行。好きな映画は「天空の城ラピュタ」。

 

映画撮影のロケが生む経済効果とは

——今日はよろしくお願いします。「新潟県フィルムコミッション協議会」は一般の方にはあまり聞き馴染みのない団体さんだと思うんですが、いったいどんなことをしているのでしょうか?

土田さん:「新潟県フィルムコミッション協議会」は「公益社団法人 新潟県観光協会」の中にあって、新潟県で撮影がおこなわれる映画やドラマのサポートをする団体です。おもなサポート内容は、ロケ地の提案、宿泊先や弁当業者の紹介、撮影機材の手配、エキストラ募集、撮影ボランティアスタッフの募集などがあります。

 

——いろいろなサポートをするんですね。すべて手配するんですか?

土田さん:直接お手伝いする場合もありますけど、新潟県内に数ヶ所ある「新潟県フィルムコミッション協議会」会員のFC(フィルムコミッション)団体に紹介することが多いですね。FC団体には行政がやっているもの、民間でやっているものなど様々な団体があります。新潟市にある「新潟ロケネット」、長岡市にある「長岡ロケなび」は常時エキストラ登録をおこなっているので、エキストラを集めやすいんです。

 

——なるほど。ところでどうして新潟県観光協会では、映画やドラマロケのサポートをしているんですか?

土田さん:映画の撮影には100人以上のスタッフが参加します。新潟県でロケをおこなうとなると、それだけの人数のスタッフが新潟県にやってきて数日間過ごすことになるんです。その間の宿泊費、飲食費などを考えるとこれはたいへんな経済効果ですよね。それに映画公開後には映画の舞台をめぐる「聖地巡礼」をやるファンなどもいて、観光客の誘致にもつながるんですよ。

 

——なるほど。ロケ地を提供することにはそういうメリットがあるんですね。経済効果を上げるために他にやっていることってあるんですか?

土田さん:ロケ地になった地域のFC団体が、ロケ地マップを製作して劇場で配布したりしています。TVドラマ「下町ロケット」のロケが燕市で行われた際には、燕市の地元企業の金属加工技術を生かして、ドラマに登場する「佃製作所」社名入りスプーンなどのグッズを作って販売しました。

 

昔は「車を落とせる海」が新潟ロケの売りだった?

——ロケ地の問い合わせにはどんなものがあるんでしょうか?

土田さん:一番多いのは空きビルや廃病院、廃学校がないかというお問い合わせですね。特に実際の病院で撮影をおこなうことはまず無理ですから、廃病院を探すわけです。小学校は統合によって廃校になっている学校が多いので、比較的探しやすいんです。ところが、高校となるとなかなか探すのがたいへんなんですよ。だからといって、高校のシーンを小学校の廃校舎では撮影できないんです。小学校の設備というのは、小学生の身長に合わせて作ってあるので高校の設定では違和感が出てしまいます。あと、昔は新潟の売りというのが「車を落とせる海」というものでしたが、いまは他にそういう県も増えてきたようですね。

 

——車を落とせる海…(笑)。建物を探しているケースが多いんですね。自然のロケーションではどうでしょう?

土田さん:一般的に新潟県には「雪景色」というイメージがあるので、広い雪原のリクエストが多いです。新潟県よりも北海道の方が広い雪原があるんですが、首都圏から移動するには遠すぎるんです。新潟県だったら関越自動車道やJR上越新幹線でくることができますからね。「雪景色」のリクエストのときは南魚沼を紹介しました。あと「夕日の沈む海」や「稲穂の広がる平野」もリクエストが多いです。「夕日の沈む海」のリクエストには出雲崎をおすすめしました。

 

——それは新潟っぽいですね。これまで、どんな作品にロケ地を紹介してきたのでしょうか。

櫻田さん:現在公開中の「ダンスウィズミー」は新潟市でロケを行っています。万代テラス、エコスタジアム脇の道路、新潟市内の海岸、万代シティ…だったかな。万代シティは繁華街なのに通行止めにできるので、けっこう人気があるんですよ。あんまり、そういうところはないみたいなんです。「チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜」では、新潟市内の廃高校、信濃川やすらぎ堤、朱鷺メッセ。「ある船頭の話」では阿賀町の千畳岩でロケをしてもらいました。

 

——へ〜、いろいろな作品に新潟の風景が映っているんですね。新潟オールロケみたいなのってあるんですか?

土田さん:オールロケじゃないんですが、来年公開予定の「峠 最後のサムライ」は主人公・河井継之助の故郷が長岡市ということもあって、長岡市をはじめとした新潟県内でかなりのシーンをロケしています。この作品ではロケ地を探すロケハンにも同行し、エキストラ、弁当、宿泊先の手配もしました。あと、エキストラの人数が多く、メイクや衣装などのスタッフも足りなかったので、ボランティアスタッフを募集してメイクや衣装の講習会を開き、にわかスタッフを増員して対応したりしました。

 

——関わりの深い作品だったんですね。では、お二人がおすすめしたいロケスポットを教えてください。

櫻田さん:「賭ケグルイ」で使った新潟県政記念館、「ミッドナイトバス」でロケしたカーブドッチポルテ、みなとぴあ、福島潟、星峠とかの棚田、あと豪農の館などかな。

 

土田さん:尖閣湾とか佐渡もおすすめです。

 

櫻田さん:学校では新発田中央高校が協力的ですね。電車ではときめき鉄道がいろんな景色の中を走るのでおすすめかな。

 

ロケ地選びから撮影サポートまで苦労も多い?

——ロケ先を選ぶ際に大変なことってありますか?

土田さん:ロケ地のリクエストの際にときどきイメージのズレがあるんです。新潟市内にはそんなに雪って積もらないじゃないですか。でも県外の人の中には、新潟市内でも雪が大量に積もっていると思っている人もいて。あと、こちらがイメージに合うと思ってすすめた場所でも反応がいまいちで、まったくノーマークだった場所に決まることもあります。

 

——ロケ地の紹介も大変ですね。撮影に立ち会うことはあるんですか?

土田さん:もちろんあります。映画の撮影は早朝から深夜まで長時間に及ぶことも多いんです。でも、冬の新潟って厳寒じゃないですか。屋外の撮影では寒さが身にしみて長い待ち時間がこたえましたね(笑)あと、雪が積もってるシーンを撮りたいのに雪が積もっていないことがあって、雪を持ってきて屋根に乗せて撮影し、終わったらまた溶かしたこともありました。

 

櫻田さん:私が撮影現場で大変だったのは、車両を通行止めにする際、誘導員をやったことです。車の運転手に文句をいわれたりして、メンタル的に辛かったですね(笑)

 

新潟県を網羅するような作品に関わりたい。

——今後、どのように映画と関わっていきたいと思っていますか?

土田さん:来年公開予定の「峠 最後のサムライ」のように1年もかけてロケハンに付き合ったりして、そこまで連携できた映画は新潟県で初めてだったんです。県内の市町村があんなにたくさん出てくる作品もあまりないと思います。今後もこのように新潟県を網羅するような作品に関わっていけたらいいなと思います。そして、映画を見て感動した人たちが新潟をたくさん訪れてくれたらうれしいですね。

 

 

新潟で撮影した映画が思ったよりいろいろあって驚くとともに、その裏には「新潟県フルムコミッション協議会」をはじめ、さまざまなFC団体の協力があることを知りました。最近は新潟で撮影されるロケも増えてきたということで、今後もますます新潟が映画やドラマで盛り上がってくれたらうれしいです。

 

 

新潟県フィルムコミッション協議会

〒950-8570 新潟県新潟市中央区新光町4-1 公益社団法人 新潟県観光協会内

025-283-1188

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