40年以上前にオープンしたという、燕市分水の「クレープショップ フランボワーズ」。ずっと奥さまがひとりでお店を切り盛りされていましたが、定年を迎えたご主人が加わって、今ではSNSの発信なども積極的になったそう。地元の常連さんだけでなく、海外からお店を訪れる人もいるという人気の理由を聞いてきました。
クレープショップ フランボワーズ
本田 則夫 Norio Honda
東京の大学を卒業し、就職。奥さんの実家である食品問屋を継ぐために分水に移住。金融機関などに勤務し、7年前に定年を迎えてから「クレープショップ フランボワーズ」で働く。
——事前に調べてから取材に伺ったのですが、ずいぶん前から営業されているクレープ店だそうですね。
本田さん:妻の実家が明治から続く食品問屋でして。私たち夫婦は、そこを継ぐために分水に引っ越してきたんですけど、時代の流れもあって個人のお店がやっていくのは難しかったんですね。新潟に来て1年半くらいして廃業したんです。その頃に妻が店の一角でクレープを焼きはじめたのが今でも続いているんです。40年以上続いているんだから、ありがたいですよね。
——ということは、1980年代にオープンしたんですね。
本田さん:知る限り、新潟で1番か2番目の古株クレープ店だと思いますよ。最初は、趣味の世界からはじまったようなもので、長らく妻がひとりで店を切り盛りしていました。定年後は私も店のスタッフとして加わって、メニューのPOPを作ったり、Instagramをやってみたり、いろいろと営業活動をしています。
——本田さんのこれまでの経験を生かして役割分担されているんですね。
本田さん:私が店に入ってから、ローカル局の深夜番組で新潟のアイドルグループとお笑い芸人さんがロケに来てくれてね。そのご縁でアイドルグループのミュージックビデオにうちの店が登場しまして。いわゆる「聖地」としてファンの皆さんに広がって、お客さまが爆発的に増えたんですよ。
——ということは全国からお客さんがいらっしゃる?
本田さん:それどころか海外からもいらっしゃいますよ。アイドルグループのファンの方がYouTubeなどで映像をご覧になるんでしょうね。先日は、台湾、韓国、アメリカから来たという方もおいででした。
——タイミング的にはご主人がラッキーを呼び込んだみたい。
本田さん:ただの偶然ですけど、私はそう思っています(笑)。でも、その前までずっと妻がひとりでお店を守り続けて、地元の皆さんを中心に口コミが広がっていたんですね。昔はお祭りくらいでしかクレープが食べられませんでしたけど、この町にはクレープショップがあって。来てくれていた子どもたちが、親になって、おじいちゃん、おばあちゃんになっても通ってくれています。
——取材中も続々と電話注文が入っていますね。
本田さん:ご近所さんは、電話で注文して時間になったら取りに来てくれるんですよ。そうやって分水の地に馴染んできました。
——どうして奥さまは「クレープのお店」をはじめることにしたんでしょう?
本田さん:実家が食品問屋だったから仕入れはできるし、私の母が東京で喫茶店だとかを営んでいたので、東京のトレンドを知っていたんですよ。「原宿にクレープのお店があって、流行っているみたいだからやってみたら?」と妻に言いました。合羽橋でしか道具を売っていなかったから、そこで一式揃えてはじめてね。
——それにしてもメニューがたくさんありますね。
本田さん:300種類くらいはあるんじゃないかなと思うんですけど、どうでしょう(笑)
——「クリスピータイプ」っていうクレープもあるみたいですが。
本田さん:生地をじっくり焼いてパリパリした食感を楽しめるクレープです。時間が経つと水分を含んで柔らかくなるから、パリパリとモチモチ、ふたつの食感が楽しめますよ。最近は流行りのクレープ店でも、2種類の食感が味わえるクレープっていうのがあるみたいですけど、うちはずっとずっと前から「クリスピータイプ」のクレープっていうのを販売していたんですよ。おかず系のクレープにぴったりです。
——人気メニューはどれでしょう?
本田さん:「クリスピータイプ」だとピザクレープ。レギュラーメニューは、やっぱり定番の生クリームに苺かバナナをトッピングしたクレープですね。
——厨房からクレープの焼けるいい匂いがしてきて、たまりません(笑)
本田さん:うちのクレープは、生地もクリームもオリジナルレシピの手作りです。生クリームは、良質な材料を配合したもの。生地はモチモチふわふわ。添加物や保存料は一切使っていない優しい味です。妻が試行錯誤した独自の味だから、ずっと愛されているんでしょうね。
——お母さんの手作りクレープみたいですね。
本田さん:そうそう、そんな感じのいくらでも食べられるクレープですよ。生地にはクリームとフルーツをたっぷり乗せているので、食べ終わりまでずっと、生地とクリームと具材の合わさった美味しさを感じていただけます。それもうちの自慢ですね。
——若いスタッフさんは娘さんですか?
本田さん:いえいえ。彼女は、小学生の頃からのうちのファン。今は一緒に働いてもらっています。スタッフさんがいるからメニューの数も増やせるようになりました。若い方の意見は大切ですよね。店内に「撮影OK! かわいくとってね」ってPOPを貼っているのは彼女たちのアイディアです。
——本田さんにとって、「フランボワーズ」さんで働くのはいわば第二の人生ですよね。
本田さん:クレープ作りはできませんけども、メニューを考案したりホームページを更新したり、娘に教わってInstagramにチャレンジしたり、いかにコストをかけないで営業するか考えています。お客さまと関わると若くいられますね(笑)。オフィスにこもっているのとは違って、頭が軽くなる感じがします。
——最後にオススメの最新作を教えてください。
本田さん:苺と求肥を使った新作クレープがありますよ。モチモチ苺クレープを基本に抹茶、小倉、チョコソースをトッピングできます。苺は農家さんと年間契約していて、いつでもフレッシュなものを仕入れています。今は苺の美味しい時季なので、「苺のお花クレープ」もオススメですよ。
クレープショップ フランボワーズ
燕市分水大武2-1-11
tel 0256-97-3156