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芳醇な香りと複雑な旨味。本場の味を追求した四川料理店「風雅」。

中央区愛宕にある「中国酒家 風雅」は、本場の味を忠実に再現した汁なし麺「燃麺(らんめん)」や、「白酒(ばいぢゅう)」という中国の蒸留酒のコレクションなど、本格的な四川料理がいろいろと楽しめるお店です。「新潟でも本場の味が食べられるお店があると知って欲しい」というオーナーの永澤さんにお話を聞いてきました。

 

中国酒家 風雅

永澤 徹 Tetsu Nagasawa

1970年新潟市生まれ。新潟調理専門学校を卒業後、日本一周バイクの旅を経て、「イタリア軒」中華部へ就職。3年間勤めて、今度はオーストラリア一周の旅へ。帰国後、新発田市の四川料理店「長江」、旧ミナミプラザ内の「四川飯店」で腕を磨き、2005年に「中国酒家 風雅」をオープン。当初の店舗は内野だったが、2007年に愛宕へ移転。

 

日本とオーストラリアをバイクで一周した料理人。

——まず、永澤さんが料理人を目指したきっかけを教えてください。

永澤さん:高校3年生のときに「これからどうしようか」と考えていたところ、バイト先の店長から「調理師の専門学校へ行ってみたら」と言われて料理に興味を持ったことがきっかけです。それで「新潟調理専門学校」へ進学して、卒業後3ヶ月間バイクで日本一周の旅をしてから「イタリア軒」に就職しました。

 

——日本一周バイクの旅! いいですね。

永澤さん:その頃は、自分のやりたいことのために働いて、めいっぱい遊ぶのが当たり前の時代だったんです。「仕事なんて、なんとでもなるでしょ」という感覚がありました(笑)

 

——旅で思い出深いエピソードはありますか?

永澤さん:5月に北海道で吹雪に見舞われたことですね。ガソリンスタンドを見つけるたびに「あたたまらせてください」とお願いして。4月は沖縄にいたので、あまりの天候の違いにびっくりして「日本はとても広いなぁ……」と感じました。

 

中華料理に魅力され、その奥深さを知る。

——貴重な体験をされたんですね。それで、日本を一周してから「イタリア軒」の社員として働き出す、と。その頃から中華だったんですか?

永澤さん:最初は洋食を希望しましたが、人員の都合で中華部門に配属になりました。でも、すぐに中華料理の魅力に引き込まれましたね。美味しいし、庶民的なメニューからハイエンドなメニューまで、幅広いバリエーションがあることがおもしろいと思いました。それにその頃、香港発祥の「ヌーベルシノワ」というスタイルが浸透しつつあったんです。現在進行形でいろいろな文化が取り入れられているところにも惹きつけられました。

 

——「イタリア軒」で勤めた後はどうされたんですか?

永澤さん:3年間勤めて、今度はオーストラリア一周の旅に出かけたんですよ。再びバイクで4ヶ月ほど。英語はほとんど分かりませんでしたが、「とりあえず行ってしまえ」と(笑)。帰国してから、新発田市の「長江」で働いたんですが、そこでつまづいてしまいまして……。「イタリア軒」はチーフが台湾出身だったので、台湾系ベースの江南(上海)料理でしたが、「長江」は四川料理だったんです。同じ中華でも、味のつけ方や仕込みのやり方などが全然違って、経験を生かせず参ってしまいました。

 

——へ〜、そんなに違うものなんですね。

永澤さん:「長江」で半年ほど働いてから、今度は旧ミナミプラザにあった「四川飯店」で10年以上修行して、それから独立してこのお店をはじめました。

 

——「四川飯店」って、たしか陳建民さんのお弟子さんがやっていたのでは……。

永澤さん:えぇ、その通りです。日本の四川料理は、陳建民さんの味からきていると言えるかもしれませんね。とても影響力が強い。市販のレトルト食品も、回鍋肉や麻婆豆腐、青椒肉絲、エビチリなどは四川料理がベースですしね。陳建民さんは、私たちに馴染みのある味を作った方ですね。ちなみに「長江」のチーフも陳建民さんの愛弟子だったんですよ。

 

フレッシュさが格段に違う花椒。本場の味を再現した「燃麺」など、ここでしか味わえない四川料理。

——「風雅」のベースも四川料理ですよね?

永澤さん:本場の味を再現した四川料理です。四川料理の原点に戻ってみることをモットーに、何度も中国に足を運びました。特に、花椒にはこだわっています。どれも、現地の農家さんで収穫したものや直接仕入れたものばかりです。

 

——いろんな種類がありますね。

永澤さん:「漢源貢椒」といって、貢ぐという字が使われている通り、皇帝への貢物として扱われた品種もあります。バラのような香りがするものや、柑橘系の香りがするもの、痺れ感が強いものなどもあります。これだけの種類があるところは、県内では当店だけだと思いますよ。使う量だけ取り出して、香りが飛ばないように真空パックで保存しているので、フレッシュさが全然違うんです。

 

 

——本当に芳しい香りがしますね。特におすすめのメニューは?

永澤さん:花椒を楽しんでいただくには、麻婆豆腐や担担麺などですね。コースの担担麺には「追い花椒」をして、味と風味の変化を楽しんでもらいます。それと「燃麺」という汁なし麺には特にこだわりました。中国のたまり醤油と「芽菜」という高菜のような漬物をアクセントに、ナッツやネギなどをトッピングした麺料理で、四川省で流行っているメニューです。本家の味を知りたかったので、宜賓(イービン)の本店まで行って研究しました。

 

——おお、どれも本格的ですね。その他にもたくさんのメニューがありますが。

永澤さん:これでもまだ少ないと思っていて、もっといろいろなメニューを提供できるだろうと考えているくらいです。ただ、私ひとりで店の切り盛りをしているので、食べたいメニューがたくさんある場合や、大勢でお越しの場合などはご予約いただけると嬉しいです。

 

 

——あの……、ちょっと脱線するのですが、家庭で美味しい中華を作るヒントを教えていただけないでしょうか。

永澤さん:野菜の水分が出ないように一度に炒める量を少なくするといいですよ。それから、野菜の水分で麺を蒸すようにして焼きそばを作ると、野菜はシャキシャキ、麺はふわっとモチモチになります。野菜の上に蓋がわりに麺を乗せて、しばらくしたら酒か水を軽く振って、付属の調味料をかけるだけです。

 

——ありがとうございます。早速、やってみます。さて、最後に今後の展望を教えてください。

永澤さん:なるべく旬を生かしたメニューをお届けしていきたいですね。今も寒い時期には、鳥屋野潟の鯉を使ったメニューを出しています。鯉は、独特の臭みがあると思われがちですが、冬場の鯉にはまったく臭みがありません。本来、四川料理は淡水魚を使うものなので、地元の旬の食材を生かして四川料理を提供できることが嬉しいんですよね。四川料理は、そもそも日本人に馴染みやすい味はありますが、普段食べることが多い「日本風」中華ではない、本場の味を新潟の皆さんにもっと知ってもらえるよう、これからも精進します。

 

 

 

中国酒家 風雅

中央区愛宕2-7-11

TEL 025-210-7969

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