夏の終わりにさしかかり、田んぼの稲が黄金色に色づきはじめてきました。そんな田園風景のど真ん中に、「五左エ門」という古民家をリノベーションしたカフェがあります。少し前まではレストランとして営業していたお店ですが、どうしてカフェにリニューアルしたのでしょうか。オーナーの椎谷さんにお話を聞いてきました。
五左エ門
椎谷 一繁 Kazushige Shiiya
1961年新潟市西蒲区(旧西川町)生まれ。配送業やバイク店などを経て新潟交通株式会社で路線バスの乗務員として勤務。その傍ら、革加工品の職人として修業を重ね、2014年に「カナーズジャパン株式会社」を創業。2020年より「古民家レストラン五左エ門」をオープンし、2022年にはカフェとしてリニューアルオープンする。
——こちらは以前、古民家レストランでしたよね。この古民家は椎谷さんの持ち家だったんですか?
椎谷さん:ここには母親の実家があって、叔父が管理していたんです。高齢ということもあって管理が大変になってきたので、「好きなように使ってもらっていいから、この土地を守ってくれ」ということで譲り受けたんです。最初は私がやっている革製品加工業「カナーズジャパン」の工房として、あちらにある別棟だけを使っていて、こちらの建物は物置として使っていたんです。
——どうしてレストランをはじめることになったんでしょうか?
椎谷さん:私の息子は老舗料亭の「小三(こさん)」で料理人をしていたんですが、平成31年に閉店してしまったんです。それで、ちょうど物置のなかの道具も片付いてきたこともあって、この建物で飲食店をはじめることにしたんですよ。ちなみに店名の「五左エ門」は母親の実家の屋号なんです。
——改装はどのように?
椎谷さん:知り合いの大工さんに協力してもらいながら、できるところはほとんど自分たちでリノベーションしました。壁をぶち抜いて部屋を広げたり、天井をぶち抜いて吹き抜けにしたりしたんです。途中3回くらいぎっくり腰になったんですけど、サポーターで固定しながら作業を続けて、1年くらいかけてリノベーションしましたね。
——じゃあ大変な苦労の末にお店ができたんですね。そうしてスタートしたレストランですが、一度お休みしていますよね?
椎谷さん:レストランの中心だった息子が結婚したんですよ。それもお寺の婿になったので、住職としてお寺を継ぐことになって。そこで一度「五左エ門」の営業をお休みしたんですが、せっかく店舗があるのに営業しないのはもったいないということで、奥さんと娘が中心になって「古民家カフェ」として復活することにしたんです。
——なるほど、そういうことでした。調理していた息子さんがいないわけですが、お料理は以前のように提供できるんでしょうか?
椎谷さん:息子が残してくれた料亭仕込みのレシピがあるので、そのなかから料理を選んで提供しています。ときどき息子がやって来て料理のチェックをしていくんですよ(笑)
——どんなメニューがおすすめなんですか?
椎谷さん:テイクアウトにも対応しているカレー味の半身揚げや唐揚げがおすすめです。ランチメニューのカレーやラーメンも人気があるけど、なかでも「昔ながらのナポリタン」が飛び抜けて人気メニューですね。
——親しみやすいメニューが多いんですね。
椎谷さん:いろいろな年齢層のお客様がいらっしゃいますから、誰にでも親しみやすい料理を提供しています。ただ、性別でいうと圧倒的に女性のお客様が多いんですよ。だから、今後はスイーツを充実させていきたいと思っているんです。あとヘルシーメニューにも力を入れていきたいですね。
——ヘルシーメニュー、今はどんなものがあるのでしょうか。
椎谷さん:「叶寿茶(かなづちゃ)」という、熊笹、柿の葉、どくだみ、ブラックペパーミントをブレンドして作っているオリジナルの健康茶をご用意しています。
——へ〜、材料を聞くだけで身体によさそうですね。スイーツやヘルシーメニュー以外で、これから力を入れたいメニューってあるんでしょうか。
椎谷さん:来年からはピザにも力を入れていきたいですね。でも窯はあるんだけど、スタッフの体制が整っていないんですよ。
——ところで古民家カフェなので和風なのかと思っていたんですが、アジアンテイストのインテリアなんですね。
椎谷さん:レストランのときは和風でしたが、元々アジアンテイストの店にしたかったので、リニューアルを機にイメチェンしたんです。
——今気づいたんですけど、庭木の葉っぱがハートのかたちに見えますね。あれはわざと?
椎谷さん:この敷地にはお稲荷様の社があるんです。そのせいか、このお店を訪れた後に縁談に恵まれるお客様が多いんですよ。そこで「縁結び」のパワースポットとして、庭木を使ってハートのモニュメントを作ったんです。下の方にもふたつのハートがあるんですよ。
——それはすごいですね。私もお参りさせていただきたいです(笑)
椎谷さん:ご自由に参拝していただけますので、よかったらお参りしていってください(笑)
——ありがとうございます(笑)。これからやってみようと思っていることってあるんですか?
椎谷さん:今までは店内で毎月イベントを開催していたんですが、新型コロナの自粛もあって開催が減っていたんです。感染症の様子を見ながらイベントの数を増やしていけたらと思っています。あと敷地内の空いているスペースに窯を作って、ピザを焼いたりバーベキューができるイベントも開催したいですね。もっと人が来てくれるような仕掛けをしていきたいです。
五左エ門
新潟市西蒲区升岡161-1
0256-77-8118
11:00-16:00
日月火水曜休