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自然豊かな環境でのびのびと健康な鶏を育む「五頭山麓ひよころ鶏園」。

空気や水の綺麗な五頭山の麓で、鶏を放し飼いで育てている養鶏場が「五頭山麓ひよころ鶏園」です。烏骨鶏(ウコッケイ)や名古屋コーチンをはじめとした6種類の鶏達と番犬のわんこに出迎えられ、オーナーの川内さんから養鶏のこだわりについて聞いてきました。

 

 

五頭山麓ひよころ鶏園

川内 寛之 Hiroyuki Kawauchi

1979年福島県生まれ。北海道の大学を卒業した後に新潟へ移住し、スーパーマーケットの精肉部勤務を経て、2008年から阿賀野市で「五頭山麓ひよころ鶏園」をはじめる。狩りが趣味で猟友会に所属している。

大学時代にはじまった食物アレルギー。

——川内さんが新潟に来たいきさつを教えてください。

川内さん:北海道の大学で妻と出会って、卒業と同時に妻の実家がある阿賀野市へと移住してきたんです。

 

——北海道の大学では何を勉強していたんですか?

川内さん:環境保護について学びたかったんですけど、いつの間にか畜産に興味を持つようになっちゃってました(笑)

 

——どうして畜産に興味を?

川内さん:生命を食べることに関わる仕事が尊く感じられたからです。

 

——畜産のなかから鶏を選んだのは、どうしてなんですか?

川内さん:僕自身が食物アレルギーを発症してしまって、牛や豚、羊といった動物の肉が食べられなくなってしまったんです。でも鶏だけは大丈夫だったので、養鶏場をはじめることにしました。

 

 

——えっ、突然食べられなくなっちゃったんですか?

川内さん:最初はカニやウニからはじまったんですよ。当時は北海道に住んでいたので、毛ガニやウニが安く手に入るんですよね。そこでよく食べていたんですけど、そのうちカニやウニを食べるとアレルギー反応でじんましんが出るようになってしまったんです。

 

——好きだったものが食べられなくなるっていうのは辛いですねぇ……。

川内さん:そうなんですよ。ジンギスカンも好きだったんですけど、同じようにじんましんが出るようになってしまったんです。働いていたスーパーを退職した頃からは、動物の肉がほとんど食べられなくなってしまいました。

 

——スーパーで働いていたこともあったんですね。

川内さん:精肉についての知識を身に付けたかったので、スーパーの精肉部で3年間働いていました。おかげで捌き方をはじめ、いろいろなことを学ばせていただきました。

 

飼料にこだわり、放し飼いや平飼いで鶏を育てる。

——ずいぶんたくさんの鶏が外に出ていますけど、鶏舎から逃げたわけじゃないんですよね(笑)

川内さん:うちはすべての鶏を放し飼いしていて、鶏舎の中も平飼いが基本なんです。狭いケージで飼う方が生産性は上がるんですけど、ストレスから病気になりやすく品質も落ちてしまうので、自然豊かな環境でのびのびと生活させているんです。

 

 

——確かにストレスがかからなそうですね。ちなみに何種類育てているんでしょうか?

川内さん:名古屋コーチン、軍鶏(シャモ)、烏骨鶏、岡崎おうはん、にいがた地鶏、あずさの6種類です。なかでも名古屋コーチンとあずさは育てるのがとても難しいんですよ。

 

——錚々たるメンツじゃないですか(笑)。鶏もたくさんいるけど、犬もたくさんいるんですね。

川内さん:全部で16頭いるんだけど、半分ずつ出しています。

 

——交代制なんですね(笑)。やはり番犬なんでしょうか?

川内さん:そうなんです。イタチやキツネ、ハクビシン、カラスなんかに鶏が狙われるので、警護してもらっています。おかげで被害がなくなりました。

 

——それは心強いですね。鶏を育てる上でこだわっていることを教えてください。

川内さん:安全で美味しい鶏を育てるために、飼料には特にこだわっていますね。自分自身が食物アレルギーを抱えているので、添加物を一切使っていません。あと、とうもろこしは与えず飼料用に栽培してもらっているお米を与えているので、臭みがなく甘みのある鶏肉になるんですよ。

 

——へぇ〜、そういうものなんですね。それにしても、生きものを育てる仕事は難しいのでは?

川内さん:生きもの相手の仕事ですから、1日でも休むわけにはいかないんですよ。毎朝起きたときと夜寝る前には、必ず鶏の健康状態をチェックしています。そのせいか病気はほとんど出ません。ただ、自分の思うような卵や肉にならないことが多いですね。

 

採卵鶏も最後は責任を持って、食肉としていただく。

——こちらで採れる卵には、どんな特徴があるんでしょうか?

川内さん:臭みがなく、濃厚というよりも味に広がりのある卵なので、さっぱりした味わいを楽しんでいただけると思います。個人、飲食店のどちらからも注文をいただいていて、銀座にあるカフェや新潟県内の洋菓子店へ納めていますね。

 

 

——材料にこだわっているお店が多そうですね。鶏肉はどんなところから注文があるんでしょうか?

川内さん:県外の焼鳥店から注文をいただくことが多いですね。今までは肉質が硬めの品種が多かったので、県内のお客様にはあまり喜ばれなかったんです。でももっと新潟の方々に食べていただきたいので、これからは肉質が柔らかい名古屋コーチンに力を入れていこうと思っています。

 

 

——餃子やハンバーグの種まで商品になっているんですか?

川内さん:採卵鶏はひき肉にして餃子やハンバーグの種として販売しています。手間はかかるんですけど、最後まで責任を持って食べてあげなければと思っているんです。ネット通販をはじめ、道の駅や産直市場で販売しています。

 

——そういうところにも、川内さんの「食」に対する考えが反映されているんですね。

川内さん:他の生きものの命を食べながら生きていることと向き合い、感謝をしながら大切に食べていきたいと思っています。

 

 

 

五頭山麓ひよころ鶏園

阿賀野市大室3002

0250-61-3333

10:00-16:00

土日曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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