働く人を応援したい。満腹食堂&大衆酒場「晴れときどき鶏」。
食べる
2023.02.14
昨年5月、新潟市西区に「晴れときどき鶏」というお店がオープンしました。どうやらチキン料理をメインにした食堂兼居酒屋のようです。店長の石垣さんからお話を聞くためにお邪魔した店内は、波板の壁に安全看板が貼られたりヘルメットが掛けられたり……まるで工事現場の詰所のようでした。


晴れときどき鶏
石垣 賢一 Kenichi Ishigaki
1976年東京都生まれ。大学中退後しばらくバックパッカーとして暮らし、就職を機に2000年から新潟市で生活をはじめる。会社勤めをしながら飲食店のアルバイトを続け、2011年に調理師免許を取得。居酒屋や定食屋で料理経験を積み、2022年5月に「晴れときどき鶏」をオープン。旅行が趣味で、ペルーで見たマチュピチュやナスカの地上絵が印象に残っている。
工事現場の詰所みたいな内装のお店。
——とても綺麗なお店なんですけど、なんだか工事現場の詰所のような……。
石垣さん:働く人たちを応援したいという思いではじめたお店なので、こういったイメージの内装にしました。もちろん建設業に限らず、すべての方々を応援しているんですけど、工事現場のイメージにすることで「労働」をわかりやすく表現したんです。

——どうして、そういうコンセプトのお店になったんですか?
石垣さん:鈑金業をやっているオーナーが、現場で働く人たちがコンビニ弁当で昼食をとっているのを見て「もっとしっかりした食事をしてほしい」と思ったんです。そこで、昼はがっつり食べてもらえる食堂、夜はリーズナブルに楽しんでもらえる居酒屋として「晴れときどき鶏」をはじめました。
——なるほど。店名から察すると、鶏肉料理がメインのお店とか?
石垣さん:まったくその通りです(笑)。昼は唐揚げ、夜は焼鳥が看板メニューですね。
——それぞれ、どんなこだわりで作っているんですか?
石垣さん:唐揚げは2種類の醤油をブレンドして、にんにくや生姜、隠し味のだしを効かしているので、ご飯のお供にぴったりな唐揚げです。揚げてから時間が経ってもカリッとした食感を保てるよう、3種類の粉をブレンドして衣にしています。いつも同じ味になるよう、計算して仕込みをしているんですよ。

——聞いているだけでも美味しそうですよね。焼鳥はいかがですか?
石垣さん:国産鷄を下処理をしてから、一本一本自分で串を打っています。少しでもお安く提供できるように、できることはなるべく自分でやっているんです。自家製のタレを継ぎ足しながら使っているんですけど、まだはじめてから間もないですからね……(笑)。このタレが何年物にもなるよう続けていきたいですね。
——焼鳥も美味しそうですね。
石垣さん:ありがとうございます。でも鶏肉料理だけじゃなく、魚料理にも力を入れているんですよ。毎日市場に立ち寄って、新潟産を中心とした新鮮な魚を仕入れてきています。ただ、鶏肉料理を看板にしているから最初は誰も注文してくれなかったんですよね(笑)。でも最近では、常連さんのほとんどがお刺身を食べてくれます。
——それは意外な人気メニューですね。それにしても、定食のご飯は盛りがいいですね。
石垣さん:ランチメニューのご飯は、200g、300g、400gから、食べたい量を選んでいただけます。食べきれない場合は、ケース無料でお持ち帰りいただくこともできます。
——がっつり食べたい人にとってそれは嬉しいですね〜。
石垣さん:お腹いっぱい食べてほしいんですよ。ご飯に使うお米にもこだわっているんです。専属契約させていただいている「前田農園」さんのコシヒカリを使って、ガス釜でふっくらと炊き上げています。季節に合わせてお米を炊く水の量も変えているんです。
——いただいてみると、確かにめちゃめちゃ美味しいご飯ですね。
石垣さん:ありがとうございます。おかげさまで、皆さんが残さず綺麗に食べてくれるので、とても嬉しいんですよね。

会社員と飲食店アルバイトのダブルワーク。
——石垣さんは東京の方なんですよね。どうして新潟に来られたんですか?
石垣さん:24歳のときに勤めた会社の営業所が、新潟市南区にあったんです。新潟に住みはじめて困ったことは、住んでいる地域に電車の駅がなかったことですね。あわてて自動車を買いました(笑)
——東京から来られたら不便に感じますよね(笑)。そのとき勤めていたのは飲食関係の会社だったんですか?
石垣さん:飲食業とはまったく関係のない会社でした。僕はどうしても飲食業がやりたかったので、昼は会社員として働いて、夜は定食屋でアルバイトするっていうダブルワークをはじめたんです。

——それはまた大変ですね。でも、どうしてそこまでして飲食店で働きたかったんですか?
石垣さん:東京にいた頃によく通っていた、夫婦で経営している焼鳥屋さんがあったんです。小さいけれどとてもあたたかい雰囲気のお店で、僕もいつかそんなお店をやってみたいと憧れていたんですよ。
——そのお店が飲食業の原点になっているんですね。いつまで会社員とアルバイトのダブルワークをしていたんですか?
石垣さん:35歳のときに調理師免許を取ったことで、会社を辞めて飲食業ひと筋で生きていく決心をしたんです。それからは居酒屋や定食屋で経験を積ませていただきました。
——その経験が「晴れときどき鶏」のベースになっているんですね。
石垣さん:そうですね。「晴れときどき鶏」をはじめることになったのは、オーナーと出会ったのがきっかけです。僕が店長として勤めていたお店のパートさんから、弟さんを紹介してもらったんですが、その弟さんは飲食店をはじめたいけど、自分では料理ができないので料理人を探しているということだったんですよ。僕は「働く人を応援したい」という気持ちに共感して、その弟さんと共同経営というかたちで「晴れときどき鶏」をはじめることになったんです。

憧れていた焼鳥屋さんの雰囲気をリスペクト。
——石垣さんはどんなことに気をつけて、お店を営業しているんですか?
石垣さん:食べ物を扱うお店ですから作業場を清潔に保つということと、料理に手を抜かないということですね。間に合わないときはむしろお断りして、中途半端なものはお客様に出さないようにしています。手を抜いた料理って、お客様にはわかってしまうものなんですよ。

——食べる相手のことを大事に考えていることが伝わってきます。
石垣さん:あと、お客様とのコミュニケーションを大切にしていますね。会社員だった頃はエンドユーザーの顔が見えない仕事をしていたんですけど、飲食店ならお客様の顔を見ながら仕事ができますよね。ここは小さなお店だから、お客様との距離も近いんですよ。
——では石垣さんが昔から憧れていた、夫婦の焼鳥屋さんみたいなお店が実現できているわけですね。
石垣さん:リスペクトしていますね。僕もお客様に話しかけますが、お客様同士も仲良くなりやすいお店なんですよ。だからカウンター席が人気で、その次がカウンターに近い席なんです(笑)
——お客さん同士が仲良くなれるっていうのは、お店がいい雰囲気だからなんでしょうね。
石垣さん:ありがとうございます。お客様同士でおごり合いがはじまるので、僕もそこに参加してしまうんです(笑)。僕はもともと人にサービスするのが大好きなんですよ。本当はもっともっとサービスしたいんですけど、ついやり過ぎて、一緒に働いている奥さんやスタッフから叱られてしまうんです(笑)

晴れときどき鶏
新潟市西区立仏98
090-1431-8080
11:30-14:30/17:30-24:00(L.O.23:00)
月曜休
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