狐の嫁入り行列の町のお菓子店「きりん堂」。

阿賀町をイメージしたお菓子を作っているお店。

新緑鮮やかな5月3日に行われる阿賀町の恒例行事「つがわ狐の嫁入り行列」。その昔、阿賀町の津川では狐火が多く見られました。その狐火が行列の提灯に見えたことから、「狐の嫁入り」と言われるようになり、平成2年よりこの行事が始まりました。そんな「狐の嫁入り」を始め、阿賀町をイメージしたお菓子を作っている「きりん堂」。今回は「きりん堂」でパティシエとして洋菓子を作っている野潟さんにお話を聞いてきました。

 

 

きりん堂

野潟 澄孝 Sumiyuki Nogata

阿賀町生まれ。きりん堂 L.P.Sエグゼグティブパティシエ。新潟市の製菓専門学校卒業後、洋菓子店やバイキング料理店でのパティシエを経験し、実家のきりん堂に入店。洋菓子ブランド「フリー・スタイル・パティスリー L.P.S(エル・ピー・エス)」を立ち上げ、洋菓子の制作に腕をふるう。

 

「きりん堂」の名付け親は有名俳優?

——今日はよろしくお願いします。常浪川や城山が見えてとてもいい場所ですね。創業時からこの場所で営業してるんですか?

野潟さん:いいえ。昭和27年に、あるお菓子屋さんから独立して旧津川市内で開業しました。その頃は饅頭とかの和菓子を作って、地元の商店に卸していたそうです。

 

——最初から「きりん堂」っていう名前だったんですか?

野潟さん:いいえ。最初は違う店名だったんですが昭和54年に法人化した際、「きりん堂」という店名に変えたんです。これにはちょっとしたエピソードがあるんですよ。昭和53年に日本テレビで放送された「姿三四郎」というドラマがあって、その撮影を阿賀町でやったんです。姿三四郎のモデルになった西郷四郎は15歳まで津川に住んでいたということで、津川がロケ地に選ばれたんです。その撮影の合間、主演の勝野洋さんと竹下景子さんが来店して色紙にサインしてくれたんです。ところが店名を間違って、きりん堂」って書いちゃったんです(笑)

 

——(笑)。それで「きりん堂」になったんですか?

野潟さん:有名人が名付け親ということになるわけですから、お店にも箔がつくしいいかな〜と思ったんでしょうね(笑)。「きりん堂」として法人化した時に、今の場所に店舗を建てたんです。

 

菓子屋になりたくなかったのに今ではパティシエに。

——和菓子だけじゃなくて、洋菓子も作っているんですね?

野潟さん:私はずっとパティシエとして洋菓子を作ってきたので、お店に入ったタイミングで「きりん堂」でも洋菓子も作るようになったんです。今は親父が和菓子、私が洋菓子をそれぞれが作っています。洋菓子の方は「フリー・スタイル・パティスリー L.P.S」っていうブランドとしてやってるんです。

 

——「L.P.S」っていうのは何の略なんですか?

野潟さん:Libra Penseur Sumiyukiの略です。それぞれの意味としては、Libraが自由、Penseurが思想家、Sumiyukiは私の名前です。

 

——「自由な思想家・澄孝」ってことでしょうか?野潟さんは昔からお菓子作りの仕事を目指していたんですか?

野潟さん:いいえ。じつは菓子屋にはなりたくなかったんです。でも高校の進路相談の時に、先生から新潟市内の製菓専門学校を勧められて入学することになったんです。とりあえず専門学校でお菓子作りを学んだんですけど、あんまりやる気がなくって出席率も低かったんですよ(笑)。

 

——それがなぜお菓子作りの仕事をすることになったんですか?

野潟さん:専門学校の紹介で洋菓子店に就職したんです。その後2軒目に勤めた人気洋菓子店「LUTÉCIA(ルーテシア)」で、お菓子作りに対しての意識革命が起こったんですよね。生クリームの泡立て方ひとつに至るまで、作業の全てにすごいこだわりがあったんです。「LUTÉCIA」での経験は今のお菓子作りでも影響を強く受け続けてますね。

 

——では、野潟さんのお菓子作りに対するこだわりを教えてください。

野潟さん:大前提として、自分が美味しいと思えるものだけを作っています。それから思いついたイメージは、いろんな問題があっても諦めず、お菓子として形にしたいと思っています。あと、見た目も味のうちですから、お菓子はもちろん、パッケージも美しく作るように心がけています。常に新しいものを作り続けていきたいですね。

 

高速道路のサービスエリアとコラボした「小町レモン」。

——「きりん堂」でイチオシのお菓子ってどれですか?

野潟さん:今一番オススメしてるのは「小町レモン」というレモンケーキです。2年前から磐越自動車道の阿賀野川サービスエリア(下り)とコラボしているお菓子なんです。そのサービスエリアにある売店の名前が、以前は「おみやげ小町」だったので「小町レモン」と名付けました。売り場にない色を探してみたら、圧倒的に黄色の商品が少なかったんです。当時はレモンケーキがブームだったこともあって、レモンケーキを選びました。新潟県産の米粉を使っていて、レモンの他にゆずも使っているので、柑橘系フルーツの相乗効果が楽しめます。

 

 

——お店だけじゃなく、サービスエリアで売っているお菓子があるんですね。

野潟さん:「小町レモン」は阿賀野川サービスエリアの下り限定ですけどね。その他、「道の駅 阿賀の里」や阿賀町の旅館でも「きりん堂」のお菓子を売っています。

 

——どんなお菓子が人気なんですか?

野潟さん:まず「狐の嫁入もなか」。少し塩味を効かせた白あんに、大納言小豆の豆と黒ごまが入っているもなかです。豆とごまの食感も楽しめます。阿賀町産のえごまを使った「えごまクッキー」も人気があります。つぶつぶ食感で軽めのクッキーです。あと、おみやげに買って行く人が多い「幻想マドレーヌ」。新潟県産米粉とアーモンドの粉末が入っていて、香ばしい風味としっとりした味わいになってます。阿賀町の伝統行事「狐の嫁入り行列」をモチーフにしたかわいいパッケージも好評ですね。

 

お菓子に込めた阿賀町発信のプライド。

——こうして見ると阿賀町を題材にしたお菓子がたくさんありますね。

野潟さん:やはり観光地ですからね。阿賀町を代表する行事「つがわ狐の嫁入り行列」をはじめ、麒麟山、阿賀野川、地酒など、地元の観光資源とのコラボは意識しています。あと、阿賀町という場所から発信しているというプライドをお菓子に込めているところもありますね。

 

——そんな阿賀町の魅力を教えてください。

野潟さん:自然そのものといったところですね。サルが当たり前のように国道沿いのガードレールに座っていたり、日常的に自然を感じることができるんです。

 

——オススメスポットも聞いていいですか?

野潟さん:かのせ温泉にある「赤崎荘」は高台に建っていて、そこから見る風景は絶景です。ぜひ見てほしい景色ですね。あと個人的に好きな景色は、磐越自動車道上り車線を走っていると、時間によっては「道の駅 阿賀の里」の上あたりで夕日が綺麗に山へ沈む光景が見られるんです。そのイメージを元に「夕景バウム」というケーキを作ったほど、好きな光景なんです。

 

 

阿賀町の名物を題材とした和菓子と、新しい感覚の洋菓子で人気の「きりん堂」。イメージのヒントは自然豊かな阿賀町の眺めなどにあるようです。みなさんも温泉やスキーで阿賀町を訪れた際には、「きりん堂」に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

 

 

きりん堂

〒959-4402 新潟県東蒲原郡阿賀町津川93

0254-92-2403

8:30-19:00

不定休

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