Things

リピーターで賑わう隠れ家、創作料理居酒屋「折紙」の気づかい。

新潟市西区小針の大堀幹線沿いにある開業11年目の居酒屋「折紙」。繁華街にあるわけでもなく、駅が近いわけでもない。それでも毎日リピーターで賑わい、地元の人やツウな人がみんな知っている、いわゆる隠れ家的な名店です。その人気の秘密は、料理が美味しいことと、そしてリーズナブルなこと。亭主でオーナーの金子さんに、お店のことについて聞いてきました。

 

和心癒酒屋 折紙

金子 光宏 Mitsuhiro Kaneko

1980年新潟市江南区生まれ。服部栄養専門学校卒業後、東京や新潟の和食料理店で修業をかさねた後、折紙で店長を務め独立。最近の趣味はネットフリックスでアニメを見ること。

 

先輩に怒られるのが当たり前の、過酷だった東京下積み時代。

――「折紙」さんはいつ頃からやってらっしゃるんですか?

金子さん:2009年の8月にオープンしました。

 

――その前はどこかで修行されていたんですか?

金子さん:これまでいろいろなお店で働いてきたけれど、最初の店が一番大変でしたね。東京の品川駅前にあった和食料理店で、ふぐ、あんこう、うなぎとかを出すお店で。すごい厳しいところでした。朝8時に店に入って夜中1時まで働くようなところでしたね(笑)。先輩も10人いて、いろんな人がいろんなこと言うんです。最初はそれに慣れるまで大変でしたね。

 

――マンガで読む料理人の修行みたいな世界ですね(笑)

金子さん:料理を覚えるっていうより、メンタルを鍛えるような場所だったかもしれないです(笑)。そこでは追い回し(雑用)を学びました。先輩に言われたことを、いかにすぐやって終わらせるかとか。あとはどうせ怒られるなら、食材を触って手を動かしてから怒られたほうがましだって思うようになって。触るなって言われてる食材にも手出したりしてました(笑)

 

 

――じゃあそのお店ではかなり貪欲に料理を学んでいたんですね。

金子さん:すべてが通過点だと思って、挑戦してました。どんなに忙しくても、仕事がないよりはあるほうが楽しかったですし。とにかくいろいろ経験して覚えてやるっていう気持ちでやってました。そのかわりずっと怒られてましたけど(笑)。そんな最初の修行時代でしたね。

 

「包丁だけは意地でも離さない」新潟へ戻り、さらに修行を重ねる

――そのお店の後はどうされたんですか?

金子さん:結婚を機に新潟に戻ることにしたんです。2年間修行をさせてもらったんですけど、絶対無駄にはしたくなかったので、包丁だけは意地でも離さないぞって思って帰ってきました。

 

――戻ってきてからは?

金子さん:古町にある日本料理屋さんで働かせてもらったんです。そこでは食材を無駄にしない仕事の仕方を学びましたね。個人店だったので食材の量を多く使えないんです。ミスをした分だけ原価が上がっちゃいますからね。その経験は今のお店でも活かすことができていて、例えば、魚は鮮度が落ちる前に団子にしてお通しとして出すとか、とにかく食材の無駄を出さないようにする技術が身につきました。

 

――個人経営だと特にシビアになるところですね。

金子さん:その後は、新潟駅前にあるお寿司屋さんで働きました。魚をおろす技術には自信あったので、あとは握りを覚えさせてもらいたかったんですね。

 

――いろいろなお店で明確な目的を持って働かれてたんですね。

金子さん:それでもまだ自分には足りないものがあると思ったので、その後は先輩のつながりで万代にあるホテルで約2年間働かせてもらいました。自分の中では仕上げっていう意味合いが強かったですね。先輩がマンツーマンでしっかり教えてくれたので、そこで学べたことは今でも財産になってます。その後、知人から誘われて「折紙」に来たようなかたちになります。

 

 

――そこで独立されたんですね。

金子さん:最初から独立していたわけではなくて、もともとは雇われ店長でした。前の社長は異業種の会社も経営している人だったんですけど、チラシは全部自分たちで配ったり、ペンキも自分たちで塗ったりとか、ほとんど初期投資をしないでスタートした感じでしたね。最初はお客さんの入りも悪かったから、まず認知してもらうために「ドリンク5円」のキャンペーンとかもやって、そこできてくれた人に手書きのDM送ったりしながら……かなりアナログ式で頑張ってました(笑)

 

――ドリンク5円……すごいインパクトのあるキャンペーンですね(笑)

金子さん:最初の1年はそんな感じで大変だったんですけど、少しずつ売上が上がっていったんです。最初はお酒の種類も全然知らなかったからバイトさんに聞きながらやったり、かなり手探りでしたけどね。

 

「和の気持ちを大事に」という想いのこもった店名。

――折紙って名前が気になっているんですけど、由来はあるんですか?

金子さん:最初は「わさび」にしようと思ってたんです。でも前の社長に何ができるか聞かれて「和食が得意です」って答えたら、「じゃあ和の気持ちを大事にしよう」っていうので「折紙」になりました。自分は折紙なんて全然できないんですけどね(笑)。最近、箸置きだけは折れるようになりましたけど。

 

 

――お店のコンセプトはどういったものだったんですか?

金子さん:自分が和食6年、寿司2年やってきていたので、リーズナブルな本格日本料理をやって、女性が入りやすい居酒屋っていうのが最初のコンセプトでしたね。

 

――運営する上で気をつけていた部分とかはありますか?

金子さん:飽きられないための努力と、小さな気づかいですかね。「小さな気づかいが大きな利益につながる」って前の社長に良く言われてました。でもその気づかいがわざとらしいと逆に居心地悪くなると思うので、お客さんにも気づかれないように気を使うようにしていますね。あとはお客さんの声も大事にしています。しょっぱいときはしょっぱいって言ってくれるお客さんとかは嬉しいですね。何食べてもおいしいって言ってもらえるのも嬉しいですけど。

 

――料理ではどんなことを大事にしていますか?

金子さん:リーズナブルな価格設定なんですけど、そのなかでも手間を忘れないことです。盛りつけの飾りだったり、仕込みだったりと一品一品大切に。あとは季節感とか旬は大事にしていて、これからだと山菜、ホタルイカ、サクラダイ、新わかめとか、そういった旬を楽しんでもらえれば嬉しいなと思ってやっています。

 

料理は手間を惜しまず、ひとつひとつ丁寧に作る。

――イチオシのメニューとかありますか?

金子さん:やっぱりだし巻きたまごですかね。だし入れて強い火加減で巻くので、茶碗蒸しに近いものを狙って作っているんですけど。だし巻たまごって一番むずかしい料理って言われていて、ようやく納得ができるかなって思ってるんです。最初は下手だったんですけど、それが悔しくて。弱点の克服ってやっぱ最高じゃないですか。それで頑張って、今はうちのイチオシメニューかな。

 

――季節ものだと、これからの時期どんなものですか?

金子さん:今の季節だと、あんきも。臭くて苦手な人も多いと思うんだけど、うちのはお客さんが食べて逆に克服してくれる人が多いですよ。あんきもは薄皮とって塩水の氷水につけると、臭みが外に逃げて塩が中に入ってくるんです。生臭くないあんきもは、お客さんにはよく驚いてもらっています。

 

 

――そういった手間のひとつひとつが、10年以上もにぎわっている理由ですね。

金子さん:手間はかけるだけなら時間を使えばいいだけなので(笑)。来店してくれたお客さんが「美味しかった」って言ってもらえるなら嬉しいですね。

 

 

――これまでを振り返って、何か思い入れのある料理などはありますか?

金子さん:最初に勤めた和食料理店で、自分がはじめてやらせてもらった仕事が、大根1本とつまようじだけで刺身を盛り付ける桜花大根だったんですね。先輩が作ってるのを見て、こんなの良く作れるなって思いながら見ていたので、できるようになったときは嬉しかったですね。これを作ると初心に戻る感じがします。日本食では飾り切りとか「剥きもの」って言うんですけど、「剥きもの」はこの頃からずっと好きでしたね。

 

――今後の目標はどんなことになりますか?

金子さん:お客さんの声を大事にしながら、季節ごとにメニューを作ったり。手間を惜しまずマンネリ化しないように工夫しながらこれからも続けていければと思っています。

 

 

和心癒酒屋 折紙

〒950-2022 新潟県新潟市西区小針7-24-15

Tel 025-231-0047

火、水: 17:00~翌1:00 (料理L.O. 翌0:30 ドリンクL.O. 翌0:30)

木~日、祝日、祝前日: 17:00~翌1:00 (料理L.O. 翌0:00 ドリンクL.O. 翌0:30)

定休日:月曜日

  • She
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード


TOP