地域をつなぐ、力強い音。
今年で45周年を迎えた「飛燕太鼓」

カルチャー

2025.12.04

text by Ayaka Honma

燕市を拠点に活動している「飛燕太鼓保存会」。会の創設から今年で45周年を迎え、来年は記念公演が開催されます。今回は練習の時間にお邪魔して、副代表である西山さんに「飛燕太鼓」のこと、公演のことなど、お話を聞いてきました。

Interview

西山 千鶴子

Chizuko Nishiyama(飛燕太鼓保存会)

1973年長岡市出身。「飛燕太鼓保存会」副代表。子どもが「少年飛燕太鼓」をはじめたのをきっかけに、自身も「飛燕太鼓」をはじめる。趣味は食べ歩き。

地域に根ざした、郷土芸能を。
西山さんに聞く「飛燕太鼓」のこと。

――早速ですが、「飛燕太鼓」について教えてください、

西山さん:燕市の青少年の健全育成と地域の魅力づくりを目的に、新作郷土芸能を作ろうという声かけのもとで、「燕市民祭実行委員会」の話し合いからできたのがこの「飛燕太鼓」です。1980年に創立されたので、今年で45周年を迎えました。今は子どもから大人まで、幅広い世代の20名で活動しています。

 

――演奏されている楽曲は、オリジナルでつくられているんだとか。

西山さん:いちばん最初は柏崎の「日本海太鼓」の作曲家である、竹田満先生に曲を作っていただきました。そこから「飛燕囃子」のような地域をテーマに取り入れた曲ができて、今ではメンバーが自ら作った曲や、コラボした方に作ってもらった曲もあります。

 

――皆さんが作った曲もあるなんて。

西山さん:「やりたいことをやってみる!」が曲づくりのはじまりです。これらの曲は、毎年行われる「飛燕夏祭り」や地域のイベントで披露しています。

 

――過去には海外でも演奏されたことがあると聞きました。

西山さん:燕市の姉妹都市であるウィスコンシン州シボイガンで、独立記念日のパレードに参加してステージ演奏をしたことがあるみたいです。最近だと東京オリンピックのときに、燕三条駅で行われた聖火リレーの出発式に出演しました。そのときは本成寺の鬼踊りとコラボしてパフォーマンスをさせていただいたんです。地域に根差しながら、世界中に「飛燕太鼓」を知ってもらえるように、いろんなところで活動をしています。

 

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20年のベテラン。
きっかけは、子どもが持ってきたチラシ。

――西山さんが「飛燕太鼓保存会」に入られたきっかけは?

西山さん:結婚をして燕市に住みはじめたときに「飛燕太鼓」のことを知りました。妹が和太鼓をしていたのもあって、もともと太鼓にはご縁を感じていて。以前、妹と一緒に佐渡の「鼓童」の公演を観に行ったとき、未経験だけど「和太鼓っていいな」って感じました。でも、そのときは子育てが忙しくて、自分がやるっていう具体的なイメージは持てなかったんです。

 

――ふむふむ。

西山さん:でも、子どもが小学生のときに、学校から「少年飛燕太鼓」のチラシを持ち帰ってきたことがあって。子どもは乗り気じゃなかったんですけど、「一緒にやらない?」って誘って入会することにしたんです。一緒に、とは言ったけど、子どもを先に入会させて、私は後から入ったんです。

 

──それはどうしてだったんでしょう。

西山さん:どんな雰囲気かわからなくて不安だったのもあるし、入ってすぐやめるようなことはしたくなかったんです。だから子どもをダシにして(笑)、しばらく様子を見ることにしました。そしたら、子どもは楽しそうに続けているし、練習の空気もわかってきたので、私も入会することにしました。気づいたら、入ってから20年ほどが経ちました。

 

――20年ですか、もうベテランさんですね。

西山さん:私は、まだまだだなって思っているんです。太鼓を叩いているうちに、「あれもやりたい、これもやりたい」って、考えが浮かんできて。やりたいなって思うだけでは、何もできないので、まずは学んでみるんです。篠笛の教室に通ったりとか、太鼓を習いに石川まで行ったりとか。

 

――行動力がすごいです。

西山さん:私ひとりじゃなくて、会のみんなと一緒に活動しているからこそできていることだと思っています。作曲をするときも、自分じゃ気づかない他の人の考え方から、自分のやるべきこととか、やってみたいことが浮かんできて。本当にみなさんのおかげだなって、実感しています。

 

この日練習に集まった、「飛燕太鼓保存会」の皆さん。燕市外のメンバーも在籍しているそう。

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45周年を迎えた「飛燕太鼓」。
記念公演のこと、聞いてみました。

――「飛燕太鼓保存会」は今年で45周年を迎えます。

西山さん:これまでお世話になった地域の方たちへ感謝の気持ちをかたちにしようと、来年の3月に記念公演を開催します。感謝とともに、自分たちのこれまでの歩みを振り返って「飛燕太鼓」をこれからどう見せていくかも、皆さんにお見せできる公演になればいいな、と思っています。

 

――記念公演では、どんな楽しみ方ができるでしょう。内容をわかる範囲でおしえてください。

西山さん:公演は3部構成になっていて、「飛燕太鼓」の代表曲や、メンバーが作った新しい曲も披露する予定です。さらに今回はピアノやドラムなど、和楽器以外のアーティストの方々もゲストに招いて、一緒にパフォーマンスをします。世界で活躍されている方々と、和太鼓以外のいろんな音を取り入れた表現をお見せできればと思っています。

 

――公演当日は、太鼓を体験できる機会もあると聞きました。

西山さん:開演前にぜひ、太鼓を体験していただきたいんです。例えば、地域のお祭りのとき、太鼓は欠かせない存在だと思うんです。だからといって無理やりさせるのも違うと思っていて。まずは太鼓のバチを持って、叩いてもらう機会をたくさん作って、太鼓の楽しさを感じてもらいたいですし、そこから、お祭りの後継者が増えて、地域の活性化につながると嬉しいです。

 

――それをきっかけに、飛燕太鼓をはじめる方がいるかもしれません。最後に、西山さんのこれからの目標を教えて下さい。

西山さん:まずは記念公演を成功させることですね。大きなホールで「飛燕太鼓」を観てもらえる貴重な機会ですし、この公演を観て皆さんに興味を持ってもらえるように練習を頑張っていこうと思います。実は今、歌を作っていて。曲は先にできたんですけど、歌詞をつくるのに苦戦していて……(笑)。でも、この公演に間に合うように、これも頑張ります。

 

西山さんの楽しそうに太鼓を叩いている姿が、とても印象的でした。

 

45周年の記念公演が来年3月8日に燕市文化会館で開催されます。公演前には和太鼓を叩ける体験イベントも行われます。また、公演中にコーラスをしてくれる方も募集中なんだとか。和太鼓やゲストのアーティストと共演できるこの機会、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

 

一意奮闘 情熱の融合

飛燕太鼓45周年記念公演

 

2026年3月8(日)

全席自由席

前売 チケット

大人 : 2,000円

小・中学生 : 1,000円

飛燕太鼓保存会

お問い合わせ先:hiendaikohozonkai@gmail.com

 

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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