自分らしいお酒の楽しみ方を提案。
老舗「本間酒舗」5代目の本間さん
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2026.01.28
明治7年創業の老舗「本間酒舗」。5代目の本間隆太郎さんは、時代に合ったお酒の楽しみ方を提案してくれます。今回は本間さんのこれまでのことやお店の変化、お酒の楽しみ方など、いろいろとお話を聞いてきました。取材後一刻も早くお酒が飲みたくなったのは、ここだけの話です。
本間 隆太郎
Ryutaro Honma(本間酒舗)
新潟市出身。高校卒業後、東京の大学へ進学し、その後は都内の酒販店で働く。2011年に家業である「本間酒舗」に入り、5代目としてお店に立つ。音楽が好きで、レコードを300枚以上持っているんだとか。お気に入りの1枚はTHE BLUE HEARTSの『THE BLUE HEARTS』。
創業は明治7年。
5代目の本間さんが、お店を継ぐまで。
――今日はよろしくお願いします。まず、このお店のことを教えてください。
本間さん:明治7年に創業しました。最初は下新ではじめて、今のこの場所に移ってからは150年くらいが経ちます。なんで酒屋をはじめたかははっきりしていないんですけど、代々お酒を販売しています。戦時中はお酒がなかなか手に入らなかったので、パンを売っていたこともあったようです。
――明治創業って、すごく歴史のある酒屋さんなんですね。本間さんはこのお店に立つまで、どんなことをされてきたのでしょう。
本間さん:高校を卒業してから、関東の大学に進学しました。卒業後は新潟に帰らず、関東の酒販店で働いていたんです。東日本で大きな震災があった頃、父の体調が悪くなったのもあり、新潟に戻ることにしました。自分のやりたいことは他にもあったけど、長男だったし、父と母の背中を見ていたし、「本間酒舗」を引き継ぐことを決めたんです。
――東京の酒販店では、どんなことを?
本間さん:販売の仕事ですね。一度、東京に出て、客観的な視点から新潟の日本酒を見てみたかったんです。味わいの違いや、位置づけは外に出ないとわからないですから。厳しい意見を持っている人もいれば、そうでない人もいて。いろんな人の考えが知れたし、県外のお酒も新しく知ることができてよかったなと思っています。
――その後「本間酒舗」で働きはじめて、本間さんが変えたことはありますか?
本間さん:商品のラインナップもお店のレイアウトも変えました。以前はお店に入ると大きなカウンターがあって、そこでお客さまに欲しいお酒を注文してもらうっていう方法をとっていました。でも私は、自分でお酒を手にとって眺めてから買いたいって思う方がいるんじゃないかな、と考えて、カウンターをなくすことにしたんです。

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「本間酒舗」だからできること。
人で選ぶ、さまざまなお酒たち。
――置いてあるお酒も、いろいろ変化があったのだとか。
本間さん:東京で働いていたときに、県外の日本酒のよさも知れたので、「本間酒舗」でも県外のものを置きはじめましたし、ウイスキーやクラフトビールも新しく取り扱いをはじめたんです。以前はウイスキーをあまり飲んでいなかったんですけど、コロナの感染が拡大したときに片っ端から飲んでみようと思って。まずはドラッグストアのお酒コーナーにおいてあるものから飲みはじめました。
――片っ端から(笑)
本間さん:商品棚の左から順に、みたいな(笑)。それがきっかけで、いろんなウイスキーを自分なりに飲みはじめるようになったんです。だんだんその美味しさに気づいて、ハマっていきました。今、お店には私が過去に飲んで美味しかったものや、他の酒屋さんではあまり見ないような、マニアックなものを置いています。
――量り売りで買えるものもあると、気軽にチャレンジできそうです。クラフトビールを置きはじめたのは、どんな経緯だったのでしょう。
本間さん:他の酒屋さんにはないものを置きたいな、と思ったのがはじまりですね。私が飲んで「いいな」と思ったものや、お取引のある飲食店さんから紹介してもらったブルワリーさんのものを置いています。取り扱いをはじめる前に、実際につくっているところを見学することもあります。
――そこには、どんな思いが?
本間さん:どのお酒を選ぶときにも、そのお酒に携わっている人のことを大事にしています。以前、私が尊敬しているお客さまが言っていた「お酒と仕事をしているわけじゃなくて、人と仕事しているんだ」という言葉がすごく心に残っているんです。ここでお酒を売るときも、つくっている人のことを知ってもらえるように、説明をすることもあります。
――お店の中には、お茶を販売しているコーナーもあります。
本間さん:以前はJRの「トッキー」で販売されていた「水上商店」さんのお茶を、ご縁があって販売しています。このお茶をめがけて、県内外から買いに来てくださるんです。お客さまの中には「一度飲むとやみつきになる」っておっしゃる方もいるんですよ。


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音楽×お酒。
自分らしいお酒の楽しみ方を。
――お店のInstagramではお酒とレコードを組み合わせて紹介されています。これをはじめたのには、どんなきっかけが?
本間さん:もともと、よく音楽を聞きながらお酒を飲んでいたんです。レコードで音楽をかけて、それに合わせてお酒を飲むっていう。ふと「ずっとこのスタイルで飲んでいるな」と思って、いつもの自分の飲み方を、そのまま発信してみようと思ってはじめてみたんです。
――レコードとウイスキーの組み合わせは、どんなふうに決めているのでしょう。
本間さん:基本的には、インスピレーションです(笑)。お酒の味わいやつくっている人、ラベルの色や雰囲気や、つくられた場所などから、パッと思い浮かんだレコードやCDを合わせています。考えすぎると嘘っぽくなっちゃうので、5分くらいで決めています。思い浮かばなかったら、無理に決めようとはしていないんです。
――例えば、どんな組み合わせ方をしていますか?
本間さん:そうですね……。少しクラシックで重みのある日本酒だったら、昭和っぽい、少し渋めの音楽を合わせるかもしれません。フルーティーで若い印象のあるお酒なら、アップテンポな曲がしっくりくるかな、と思います。あとは、そのお酒をどんなシーンで飲みたいか、で結びつけることもあります。じっくり座って飲みたいのか、友達と話しながら飲みたいのか。
――食事と合わせるように、音楽とお酒を選んでいるんですね。
本間さん:食事とのペアリングは、飲食店さんがバッチリ提案してくれていますよね。「自分には何ができるだろう」って考えたとき、音楽とお酒という組み合わせだったら、自分の中にずっとあったなと思って。食事よりも自由に考えられるし、その人なりの楽しみ方に広げやすいと思っています。

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「人」で選んでもらえるように。
老舗酒屋のこれから。
――変化し続けていた中で、ずっと変わらないものはありますか?
本間さん:ウイスキーやクラフトビールだけではなく、日本酒も大事にしたいんです。今までお取引させていただいているお客さまも大事にして、新しいものばかりを追いかけすぎないように、でも飽きられないように、このふたつのバランスは重視していますね。
――老舗だからこその視点です。
本間さん:「お酒」を買うより、「自分が販売しているお酒」だから買っていただけるように、続けていけたらいいな、と。音楽とお酒の組み合わせみたいに、自分だからこそできる提案をこれからも続けていきたいですね。
――本間さん的お酒の楽しみ方があれば教えてください。
本間さん:お酒は日常の中にあってほしいものなので、肩肘はらずに楽しんでもらえたらな、と思います。手軽に楽しめるものからはじめて、自分の好みを探りながら飲んだり、好みの飲み方を見つけて飲むと、より楽しんでもらえると思います。もちろん、お水もしっかり飲みつつ(笑)
――お話を聞いて、音楽とお酒を組み合わせてみたくなりました。
本間さん:そう言っていただけると嬉しいです。お酒の楽しみ方の幅が広がっていくといいな、と思っています。お酒に迷ったときには、味わいや飲みたいシーンを言ってもらえたら、いくつかお酒を提案できますよ。「本間さんから買うお酒は間違いない」って言ってもらえるように、これからも頑張りたいですね。


本間酒舗
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