長岡の住宅街にある白い一軒家。こんにちは、って玄関を開けると、そこはベーグル専門店「INDIGO BAGELS(インディゴベーグルズ)」。玄関の一部をリノベーションしたカウンター越しに、オーナーの平河さんからベーグルのこだわりや、お店を開いたキッカケなどを聞いて来ました。
INDIGO BAGELS
平河 理恵子 Rieko Hirakawa
1980年長岡市生まれ。長岡大手高校卒業後、上京。子どもの成長をタイミングにベーグル専門店「INDIGO BAGELS」をオープン。ひとりでフラッと飲みに出歩くのが好きなお母さん。
――長岡でベーグル専門店ってめずらしいですね。どうしてベーグルに特化しようと思われたんですか?
平河さん:ベーグル専門店をはじめるまでには紆余曲折があって、そもそも長岡で暮らしてすらいなかったんですよ。
――紆余曲折ですか。気になりますね。ぜひ教えてください。
平河さん:そもそも昔から長岡が好きじゃなかったんです。暑いし、寒いし、子どもながらにここは住む土地じゃないなって思っていて。それで、高校を卒業したら東京に行こうと決めていて、そそくさと上京したんです。
――ん~、かなり辛口のコメントですね(笑)
平河さん:上京してからはいろいろな仕事をしていて、長岡に帰るなんてお盆ぐらい。そういう生活をずっとしていました。それで、保育園の待機児童問題が取り上げられていた時期に子どもができたんです。本当に保育園が見つからない現実。そんな先が見通せないとき、たまたま出会ったのがベーグルでした。
――ほう、ベーグルに。
平河さん:ちょうどベーグル専門店のブームがあったときで。なんとなく「ベーグル」というもののイメージはあったけど、まだよくわからなくて、食べ歩きが好きだったからいろいろな専門店を食べ歩いてみたんですよ。そしたら、同じベーグルでもお店によって味も食感もまったく違っていて…衝撃を受けました。
――ベーグルってそんなに違うんですか?
平河さん:大げさかもしれないけど、別物といってもいいぐらいです。それから興味を持って、クックパッドで「ベーグル」を検索して。すぐさま自分でベーグルを作ってみました。思いのほか上手にできたんですよ(笑)
――ベーグルって、そんなに簡単じゃないですよね? 作ったことないから想像ですけど(笑)
平河さん:レシピを探したくせに、アレンジを加えて作ったのが正解だったんですかね(笑)。その後も何回か作ってみたら、理想のベーグルができちゃって。自分で食べる分…誰かにお裾分けする分…もしかして販売できる量も作れるんじゃない?となって、「保育園を頑張って探して再就職するなら、起業しちゃえ」と、ベーグル専門店をはじめることにしました。
――ベーグル専門店は東京ではじめたんですか?
平河さん:いえ、長岡です(笑)
――え? 長岡から飛び出したのに戻ったんですか? 嫌いなはずじゃ…。
平河さん:そうなんですよ(笑)。実家は長岡の北側にある宝という町工場が多い地域です。もちろん、実家も町工場。だから車庫とか、使っていない場所がいろいろあって。一画をリノベーションしたらベーグルを作る場所ぐらいは確保できるので、戻ってきちゃいました。今ではむしろ長岡が好きだし、微力ながら地域の活性化のお手伝いができたらなって思っています。
――町工場に突然、ベーグル専門店が現れたんですね(笑)
平河さん:はじめはネットショップをしていたんです。赤ちゃんを寝かせてから仕込みをして、一晩寝かせた生地を朝から焼く。そんなルーティンでやっていました。しばらくして近所の人たちも買ってくれるようになってからは玄関に棚を作って、ベーグルを並べて、さらにはのぼりもだしてみて。お店として「INDIGO BAGELS」のスタートですね。
――その後は、どうして今の場所に?
平河さん:子どもが小学生になるタイミングで、もうちょっと立地のいい場所へ移転を考えたんです。主人も「ふらっと飲みに行ける場所とかいいね」と乗り気で。それで市の空き家バンクで見つけたのがこの物件でした。
――今の物件は、どんな所が気に入ったんですか?
平河さん:元々は大工さんが教材用に建てた家で、昔ながらの木造住宅でありながら風通しがいいし、なにより玄関を入った瞬間「ここにカウンターを作ったら、対面販売できる」ビジョンがいきなり見えたんです。もうここしかないなって。だから玄関を入るとすぐにベーグルが買えるカウンターがあるんですよ。
――それではベーグルについて聞かせてください。「INDIGO BAGELS」のベーグルはどんなベーグルですか?
平河さん:ベーグル専門店をしているけど、私、めちゃくちゃご飯党なんです(笑)。だから、「INDIGO BAGELS」のベーグルは味がどうこうよりも、食感にオリジナリティーを求めてしっかりと噛むベーグルになっています。ちょっと食べてみてください。
――もぐもぐ。ん~噛み応えのあるベーグルですね。
平河さん:でしょ。自分でベーグル専門店をするなら、自分が好きなベーグルを提供したいと思って、とにかく食感にこだわりました。めちゃくちゃおいしいより、気軽に何も考えないで食べられるベーグル。それが「INDIGO BAGELS」のベーグルです。
――なるほど。ちなみに、どんなシーンで食べてもらいたいですか?
平河さん:可愛いラッピングだと捨てられないタイプなんです、私。だからベーグルをあえてラップで包んでいます。そうすると運転中でも、どんなときでもパッともぐもぐできちゃうんです。いつでも食べやすくて満足感があるから、やっぱりおにぎり的な存在。だからおにぎりを食べるシーンで、ベーグルを食べてもらいたいですね(笑)
いちじく+バルサミコハニー+クリームチーズ 380円
INDIGO BAGELS
新潟県長岡市赤町2-2-9
080-3608-4770