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人気ラーメン店から突如洋食店に変身した「ばるむ食堂」。

10年ほど前、いきなり閉店して、新潟のラーメン好きを騒がせた人気店がありました。新潟市西区にあった「ばすきや」。それからしばらくして「ばすきやが『ばるむ食堂』という名のハンバーグ店として、東区で復活していると」いう噂が飛び交いました。はたして真相はどうだったのでしょうか。今回は「ばるむ食堂」の店主・佐藤さんに直接お話をお聞きしてきました。

 

 

ばるむ食堂

佐藤 広之 Hiroyuki Sato

1963年新潟市江南区生まれ。金融系企業のサラリーマンを経験した後、新潟市中央区学校町で弁当と惣菜の店をオープンする。その後ホテル勤務を経て、新潟市西区でラーメン店「ばすきや」をオープン。閉店後の2010年に東区で洋食店「ばるむ食堂」をオープンする。猫と遊ぶのが楽しみ。

 

金融系企業のサラリーマンからお弁当屋さんに転身。

——佐藤さんにはいろいろと聞きたいことがあるんです。

佐藤さん:そうなんですか(笑)。私なんて話せるようなこと全然ないですよ。

 

——質問に答えていただければ大丈夫です。まず「ばすきや」についてお聞きします。西区で「ばすきや」を始める前はどこかのラーメン店で働いてたんですか?

佐藤さん:全然別な仕事をしてました。金融系企業のサラリーマンをやってたんです。でも自分でお店をやってみたいっていう気持ちがあったので1〜2年くらいで辞めてしまって、妻と二人でお弁当とお惣菜の店を学校町で始めたんですよ。

 

——ガラッと仕事を変えたんですね。どうしてお弁当とお惣菜の店を?

佐藤さん:面白そうだと思うとすぐ始めちゃうんですよね(笑)

 

——料理の経験はあったんですか?

佐藤さん:サラリーマンを辞めた後、しばらく居酒屋でアルバイトしてたんです。そのお店の料理長は割烹の料理人をしていた人だったので、料理についていろいろと教わることができましたね。

 

——なるほど。そこで勉強したんですね。そのお弁当とお惣菜の店はどうなったんですか?

佐藤さん:そのお店だけで生活していくのは大変だったので、閉めて別なお店をやろうと思ったんです。でも開店資金を作らなければならなかったので、ホテルに勤めてホールの仕事を始めました。

 

テレビで紹介されて大人気となった伝説のラーメン店。

——「ばすきや」はいつ始めたんですか?

佐藤さん:ホテル勤めの後です。資金も貯まったので始めることにしたんです。子供の頃からラーメンが好きだったし、ラーメン店をやってみるのも面白そうだと思ったんですよね。当時はまだ新潟にラーメン店もそんなに多くなかったんですよ。

 

——「ばすきや」っていう店名もインパクトがありましたよね。どんな意味があるんですか?

佐藤さん:ひとつはジャン=ミシエル・バスキアっていうアメリカの画家の名前です。自由で新しい画風が自分の目指すものに合うと思ったんです。もうひとつはこの場所を好きになってほしいっていう「場好きや」っていう意味もあるんです。「馬好きや」と勘違いしたお客様に「競馬が好きなんかね」って言われたり、焼きそば屋と間違われたりしましたね(笑)

 

 

——聞きなれない言葉でしたもんね。ところでラーメンの作り方はどこで教わったんですか?

佐藤さん:ラーメンの作り方が載っている本を山ほど買って読み漁りました(笑)。当時はインターネットもYouTubeもない時代ですからね。いろんなラーメン店の食べ歩きもして回りましたね。あとは自分で試作してラーメンと味噌ラーメンが作り上げました。

 

——最初はラーメンだけだったんですね。「ばすきや」はカレーのイメージもありますけど、カレーはいつから始めたんですか?

佐藤さん:他があんまりやってないことをやってみたかったので、ラーメン店でカレーを出してみました。一人で作っているのでメニューが増えると大変なんですが、カレーは作っておけるので大丈夫なんですよね。

 

——「TVチャンピオン」っていうバラエティ番組で紹介されたことがありますよね? 私、その放送を見てました。

佐藤さん:そうですか(笑)。あのときはすごかったですね。確か新潟では日曜のお昼に放送してたんですよね。放送が終わったくらいの時間からお店の前に行列ができて、最後尾が見えないくらい並んだんです。

 

ラーメン店がハンバーグ店に姿を変えて復活したわけ。

——では、私が一番知りたかった質問をさせてもらいます。あんなに人気があった「ばすきや」を閉めたのはどうしてなんですか?けっこう急だった印象があるんですが……。

佐藤さん:母親が体調を崩したので、できるだけ実家に近い場所で営業したかったんですよ。でも「ばすきや」を閉める少し前に貼紙はしてたはずなんですけどね(笑)

 

——SNSで、新潟のラーメン好きが集まるコミュニティが騒然となった記憶があります。しかも復活したと思ったら「ばるむ食堂」ていうハンバーグ店になってるし(笑)

佐藤さん:(笑)。「ばすきや」のときからラーメンとのセットでハンバーグを作ってたんですよ。それでハンバーグの店をやってみたくなったんです。ただ、最初はラーメンも一緒にやる予定だったんですよ。

 

 

——どうして出さなかったんですか?

佐藤さん:目の前にラーメン店があったこともあって、仁義を通したといいますか……。でもお客様アンケートを見るとラーメンのリクエストがとても多かったから、オープンしてしばらくした頃にそろそろ解禁してもいいかなと思って、ラーメンとカレーラーメンを始めました。でも手が回らなくなってしまったのでラーメンはやめてカレーラーメンだけにしたんですよ。

 

——そうだったんですね。ところで「ばるむ食堂」っていう店名にはどんな意味があるんですか?

佐藤さん:ハンバーグの語源はドイツ語の「ハンブルグ」なんです。だから店名もドイツ語にしようかなと思って「あたたかい」「心のこもった」っていう意味がある「Warm(バルム)」から「ばるむ食堂」ってつけました。店名に負けないような料理を作っていきたいですね。

 

牛肉の味を楽しめるハンバーグと、野菜をふんだんに使ったカレーラーメン。

——ハンバーグの肉汁がすごいですね!どんなふうに作ってるんですか?

佐藤さん:うちのハンバーグはほとんどパン粉とか牛乳とかのつなぎを使ってないんです。だからこの肉汁は肉本来のものですね。牛肉を味わってほしいから、調味料もできるだけ使わないようにしてます。その分、牛肉には徹底的にこだわってますね。肉屋さんにリクエストを繰り返して、自分の納得できる肉が来るようになるまで随分時間がかかりました。値段が高くて美味しい肉ならいくらでもあるんですが、安くて美味しい肉って難しんですよね(笑)。いつも美味しい牛肉を届けていただいている肉屋さんには本当に感謝してます。

 

 

——牛肉そのままのハンバーグって感じですね。カレーラーメンについてもお話をお聞きしていいですか。

佐藤さん:鶏ガラとトンコツをベースにダシをとったスープに、ふんだんに擂り下ろした野菜と18種類のスパイスで作ったカレーを合わせてます。とろみは野菜からでるとろみだけなんです。麺は「東京浅草開花楼」から仕入れている中太麺を使ってます。

 

——今後、新しく作ってみたいメニューってあるんですか?

佐藤さん:新しいメニューを増やすっていうより、ハンバーグとカレーラーメンをもっと美味しくレベルアップしていきたいですね。今でも少しずつマイナーチェンジしてるんですよ。これからもお客様に満足していただけるような料理を作っていきたいと思ってます。

 

 

斬新で自由なバスキアのアートは佐藤さんの生き方にも通じるように感じました。そして、その斬新で自由な生き方はハンバーグやカレーラーメンの味にも通じているのではないでしょうか。みなさんもぜひ「ばるむ食堂」でその味を確かめてみてください。

 

 

ばるむ食堂

〒950-0843 新潟県新潟市東区粟山1-22-1

025-277-1075

11:30-15:00(L.O. 14:30)/18:00-21:30(L.O. 21:00)

水曜休(祝日の場合は翌日)

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