大ベテランの職人がそばを打つ、胎内市の「そば処 みゆき庵」。
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2024.03.30
自然豊かな胎内市。その恵みを生かした美味しいおそば屋さんが、「ロイヤル胎内パークホテル」の敷地内にある「そば処 みゆき庵」です。3月の下旬になごり雪が降った朝、そば職人の富樫さんを訪ねて、雪化粧をしたお店にお邪魔しました。


そば処 みゆき庵
富樫 弘 Hiroshi Togashi
1955年胎内市(旧中条町)生まれ。15歳から東京のそば店で修業をはじめ、30歳で胎内市に戻りそば居酒屋を開店。閉店後は村上の和食店を経て、1999年より「そば処 みゆき庵」で手打ちそば職人として働く。以前はゴルフを楽しんでいた。
大変だった修業時代の思い出は、自転車を使ったそばの出前。
——富樫さんはいつ頃からそば職人をやっているんですか?
富樫さん:15歳で上京して、叔父がそば職人として働いていた店で25年間修業しました。
——15歳からそばを! 大ベテランですね。修業時代の思い出があったら教えてください。
富樫さん:当時は片手で肩にそばを何段にも担ぎ上げて、自転車に乗って出前をしていたんですけど、あれはなかなか大変でしたね。東京の冬は空っ風が吹いて寒いしねぇ(笑)
——いかにも東京のそば屋さんって感じですね(笑)。でも、おそばが倒れて落っことしちゃうことってないんですか?
富樫さん:いやぁ、ありましたよ(笑)。品川区役所のなかで盛大にそばを落としちゃったこともあるし、カレーそばや鍋焼きうどんをひっくり返して背中を大火傷したこともあります。もう恥ずかしいやら熱いやら……。

——他にも修業時代の思い出があったら教えてください。
富樫さん:「名店」といわれる老舗そば店から職人さんを迎えて、手打ちそばを教わったのはいい経験でしたね。そのときに手打ちそばの持つコシの強さに感動して、個人的にそば打ちを習いにいったりしたんです。
——じゃあそのときにそば打ちの技術を身につけたんですね。胎内市に帰ってきたのはどうしてなんでしょう?
富樫さん:胎内にいる友人から「そろそろ地元に帰ってきて、自分の店でもはじめてみたら?」と声をかけてもらったので、そうしてみようかと思って帰ってきました。昼はそば屋で夜は居酒屋、という店を4年間営業していましたね。

——「そば処 みゆき庵」で働くことになったのは、どんないきさつがあったんですか?
富樫さん:私の店の常連だったお客様に旧黒川村役場の職員がいて、その方から「そば処 みゆき庵」で働いてみないかと声をかけていただいたんです。
——どうして役場の方が?
富樫さん:「そば処 みゆき庵」は、町おこしの一環で旧黒川村が運営していたんです。2000年からは「ロイヤル胎内パークホテル」や「胎内スキー場」などと共に「株式会社 胎内リゾート」が運営を引き継いでいます。

手間をかけることで、香り豊かなコシの強いそばができる。
——富樫さんがおそばを作るときに心掛けていることってありますか?
富樫さん:とにかく美味しいそばや料理を作るということですね。
——シンプルですね。そのために気をつけていることがあったら教えてください。
富樫さん:ひとつひとつ手を抜かず作るようにしています。手を抜いてそれなりのものを作ることは簡単だけど、お客様にはそばや料理を通して伝わってしまうと思うんです。
——具体的には、どんなことにこだわっているんでしょう?
富樫さん:うちは製粉機ではなく、石臼を使ってそばを挽いています。機械とは違って熱をもたないから、繊細な香りが飛ぶことなく風味の強いそばができるというわけです。
——手間がかかる分美味しくなるんですね。そば打ちも難しいんじゃないですか。
富樫さん:そばは生き物ですからね。気温や湿度で状態が大きく変わってきます。手触りをもとにして勘や経験を頼りに打つしかないんです。そば粉を水と馴染ませる「水回し」がいちばん要になる作業ですね。このときの水加減が何よりも大切なんですよ。その水も山から引いている胎内川の伏流水を使っています。

——地元の恵みが感じられるおそばなんですね。
富樫さん:そばだけではなく天ぷらや薬味に使う山菜も、地元の山で採れたものを使っています。市外から観光で足を運んでくださるお客様も多いので、胎内市の美味しい食材を味わっていただきたいと思っているんです。
——いろいろなこだわりで作られているんですね。食べているお客さんの反応はいかがですか?
富樫さん:喜んで食べてくださっているのが見えると、手間をかけた苦労も報われますね。以前お客様にとっていたアンケートでも「美味しかった」とか「また来ます」とか書かれていて励みになりました。残念ながら現在は人手不足で、アンケートをお休みしているんですけどね。

——アンケートに厳しい意見はなかったんでしょうか?
富樫さん:ありましたよ。「そばつゆがしょっぱい」というご意見をいただいたことがあるんですけど、江戸前のそばつゆは味が濃いんですよね。お客様ひとりひとりの口に合うよう作るのは難しいので、ご理解いただけると助かります。
——では最後に、これからについて考えていることがあったら教えてください。
富樫さん:後継者を育てることを考えていますね。「そば処 みゆき庵」の味を受け継いでもらって、胎内市の魅力を多くの人たちに伝え続けてもらえたら嬉しいです。

そば処 みゆき庵
胎内市夏井1191-1
0254-48-3818
11:00-15:30
不定休
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