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和菓子も洋菓子も充実している鯛車商店街の老舗菓子店「まつ屋」。

「鯛車商店街」にある昭和5年創業の老舗。

新潟市西蒲区の「鯛車商店街」には、昭和5年に創業した老舗菓子店「まつ屋」があります。店内に入ると和菓子から洋菓子まで、想像していたよりもたくさん並べられているお菓子にびっくり。今回は女将の芳子さん、社長の潤之輔さん、その奥さんの真実子さんに、お菓子やお店に対する思いを聞いてきました。

 

 

まつ屋

徳井 芳子 Yoshiko Tokui

1939年新潟市西蒲区(旧巻町)生まれ。農家で生まれ育ち、20歳で結婚して以来、ずっとご主人と一緒に「まつ屋」を営業してきた。自家製の化粧水を使っていて、80代には見えない肌つや。教わったことはすぐに試してみる行動派。

 

まつ屋

徳井 潤之輔 Junnosuke Tokui

1965年新潟市西蒲区(旧巻町)生まれ。新潟市の「はり糸」で修業後、東京・目黒のケーキ店「MON-DORE(モンドール)」で特殊ケーキなどを担当。現在は「まつ屋」の社長としてお菓子作りを担当している。献血と映画鑑賞が趣味で、じつはお菓子屋よりも映画評論家になりたかったとか。よく婿に間違われる。

 

まつ屋

徳井 真実子 Mamiko Tokui

1967年新潟市西蒲区(旧岩室村)生まれ。短大卒業後に東京でOL生活。都会に疲れて地元の岩室に戻って早々、親戚の紹介で潤之輔さんと出会い、結婚。お店では主に接客を担当している。趣味は料理で、カレーや麻婆豆腐が得意。

 

老舗菓子店「まつ屋」創業のいきさつと現店主のこれまで。

——今日はよろしくお願いします。「まつ屋」さんは歴史のあるお店なんですよね?

芳子さん:うちは昭和5年に創業したんだけど、太平洋戦争の後は砂糖が手に入らなくてお菓子が作れなくなったから、お菓子屋を閉めて、進駐軍用にマドラスパイプを作る仕事をしてたの。でも進駐軍がすぐに引き上げて行っちゃったから、北海道でパイプを売ろうと思って駅まで行ったんだけど、そのとき思いとどまって、お菓子屋をまた始めたのよ。

 

——歴史が長いだけに面白いエピソードがいろいろありそうですね…。時は流れて現在は息子さんがお菓子を作っているんですよね? 潤之輔さんは以前どこかで修業をされてたんですか?

潤之輔さん:新潟市の「はり糸」と、東京の目黒にあった「MON-DORE(モンドール)」で修業しました。「MON-DORE」では細工を施した特殊ケーキを担当してたんです。その頃の仕事で印象に残っているのは、保育園の謝恩会のために作ったリトルマーメードのケーキかなぁ。畳一畳分もある大きさだったから、冷蔵庫に入れられないんですよ。だから食べる時間を逆算して作るしかなかったんですよね。あと東京ドームの竣工式のケーキも作らせてもらいました。

 

——それはすごいですね。どんなケーキだったんですか?

潤之輔さん:東京ドームの形をしたケーキです。屋根を外すとフィールドや観客席も再現してあったんです。大変でしたけど作っていて楽しかったですね。

 

——それってすごい技術ですよね? 今もそういうケーキを作っているんですか?

潤之輔さん:ウェディングケーキは作っていますが、体調を崩してからは特殊ケーキは控えめにしています。以前、ウェディングケーキを頼まれて披露宴会場に行った時、別の会場のケーキがスタッフのミスで入刀前に切り分けられてしまったことがあって、たまたま式場にいた私が頼まれて、よそが作ったケーキを入刀できる状態に成型し直したっていう出来事もありました(笑)

 

たまにできる100点よりも、毎日80点のお菓子を作る。

——和菓子から洋菓子からたくさんのお菓子が並んでますね。お菓子を作る時にこだわっていることってありますか?

潤之輔さん:100点のお菓子を作ろうとするよりも、毎日80点のお菓子を作り続けたいと思っています。味にムラが出るんだったら、同じ味で同じ品質のものを毎日きちんと作りたいんです。毎日食べてる人にはすぐにわかってしまいますからね。でも簡単そうでいて、とても難しいことなんです。

 

——材料に対してのこだわりはあるんでしょうか?

真実子さん:材料はできるだけ添加物を使わないで、できるだけいいものを使うように努力してますね。自分たちが美味しいって思えないものは人に勧められないですからね。

 

芳子さん:笹団子に使っているよもぎは、朝の3時か4時に、犬や猫も入らないようなところに、きれいなものを採りに行くんですて。

 

これからの暑い季節におすすめの「葛シャリバー」。

——それでは、おすすめのお菓子をいくつか教えていただけますか?

真実子さん:はい。まずは看板商品の「まき小町」です。「巻のお土産にできるようなお菓子を作ろう」ということで生まれました。レモンチーズクリームが入ったおまんじゅうで、和洋どちらのテイストも味わえるお菓子になってます。これからの暑い季節は冷やして食べるのもおすすめです。

 

 

——なるほど。他にもお土産におすすめのお菓子はあるんでしょうか?

芳子さん:「鯛車商店街」ですから「鯛車クッキー」「鯛車サブレ」っていう鯛車をモチーフにしたお菓子も作っています。パッケージの絵なんかも知り合いの画家の方に描いていただいたんですて。いろんなご縁に助けてもらってます。あと「元祖イチゴ大福」。品名に「元祖」って文字がついてるでしょ?「イチゴ大福」は昭和59年にうちが一番最初に始めたんですよ。

 

 

——これからの季節におすすめの涼菓はありますか?

真実子さん:「葛シャリバー」は人気がありますね。その名の通り葛を凍らせた氷菓なんです。アイスキャンデーは溶けると液体になってしまいますけど、葛を凍らせているので溶けてもゼリー状のまま液体にはならないんです。だからもう1度凍らせて食べることができます。半分溶けた状態でシャリシャリ感を味わってもらってもいいですね。

 

——へー、溶けてもまた食べられるって新鮮ですね。「葛シャリバー」はけっこういろんな種類が並んでますね。

真実子さん:17種類あります。中でもパイナップル、ぶどう、ソーダが人気ですね。ソーダにはいちごで作った金魚が入ってて涼しそうでしょ? あと近所の生産者から仕入れた「ボイセンベリー」っていう、ラズベリーとブラックベリーの掛け合わせたものも使ってます。いろんな種類を楽しみたいっていうお客様が30本くらいまとめ買いしていくこともあるんですよ(笑)

 

転んでも起こし合う、助け合いの精神を大切にしたい。

——今までどんな思いでお店をやってきたんでしょうか?

真実子さん:こんな一方通行の不便なとこまで、わざわざ新潟市の北区とか魚沼とかから足を運んでくださるお客様もいて、ほんとに感謝してます。だから来てくださったお客様には満足していただきたいですね。

 

芳子さん:お店には何千個ものだるまが飾ってあるんだけど、最初は私たちの新婚旅行で買ったのが始まりなんですよ。それからずっと集め続けて、今は息子たちが引き継いで集めてくれてます。「あなたが転んだら私が起こす。私が転んだらあなたが起こす」っていう助け合いの精神でお店を続けていきたいと思ってますて。

 

 

お母さんから何度もいわれた「自慢や苦労話は書かないでね」という言葉が強く印象に残りました。人間は助けられて生きているし、気の持ちようで幸せにも不幸せにもなると、この取材を通して教えられました。本当にその通りだと思いました。みなさんも「鯛車商店街」に行った際には「まつ屋」に立ち寄って、お土産にお菓子を買ってみてはいかがでしょうか?

 

 

まつ屋

〒953-0041 新潟県新潟市西蒲区巻甲2945

0256-72-3305

9:00-19:00

 

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