皆さんの地元には、長く愛され続けている「ソウルフード」ってありますか? 久しぶりに食べると懐かしい気持ちになったり、ほっと安心できたりしますよね。JR巻駅そばにある「CAFE BAR 風待(かぜまち)」では、地元の人々から愛されているふたつの「ソウルフード」を味わうことができます。今回は店長の松本さんにお会いして、ふたつの「ソウルフード」をはじめとしたお話を聞いてきました。
CAFE BAR 風待
松本 元樹 Motoki Matsumoto
1976年宮崎県生まれ新潟市西蒲区(旧巻町)育ち。大型トラックの運転手として働いた後、両親の経営する喫茶店「風待」を手伝いはじめ、2002年、「CAFE BAR 風待」としての移転リニューアルを機に店長となる。美味しいものを食べることが好きで、好物はラーメンや寿司。
——今日はよろしくお願いします。早速ですが、松本さんが「CAFE BAR 風待」をはじめたいきさつを教えてください。
松本さん:私は高校を卒業してからお弁当の配達や大型トラックの運転手をしていたんですが、父親が体調を崩して入院したので、両親がやっていた「風待」という喫茶店を手伝うことになったんです。
——じゃあ、もともとは松本さんのご両親が経営していたお店だったんですね。
松本さん:そうなんですよ。でも古い蔵をリノベーションした店舗で老朽化が激しかったので、こちらに新築移転することになったんです。そのタイミングで私が店長として店を経営することになり、2002年3月に「CAFE BAR 風待」としてリニューアルオープンしました。
——20年も前にオープンしたお店だったんですね。店内を見るとそんなふうに感じないです。
松本さん:店舗設計をお願いした業者さんから「これからの時代はカフェだけだとやっていくのが厳しいので、アルコールも提供した方がいい」と勧められて、夜は洋風居酒屋として営業することにしたんです。でも、当時はまだ周辺に洋風居酒屋なんてなかったので、東京まで行っていろいろなお店を見て回って、店舗を作る参考にさせてもらいました。
——今でも古さを感じさせないつくりに見えます。
松本さん:できるだけ改装をしなくて済むように、何十年経っても飽きのこないデザインにしてほしいと注文しました。あとは子どもっぽくならないように気をつけましたね。
——ご自身でお店を営業するようになって、大変だったことはありましたか?
松本さん:経営の経験がなかったので、原価率とか人件費のことすらチンプンカンプンだったんです(笑)。だから本をいろいろ読んで勉強しましたね。あと私は接客が苦手なんです。普段は奥さんに接客を任せているんですけど、ときどき接客する機会があると未だに緊張しています(笑)
——おすすめの料理を教えてください。
松本さん:もう40年以上愛され続けているロングセラーメニューの「ミートソースのグラタン風」というパスタがあるんです。パスタをホワイトソースやミートソースでグラタンのように閉じ込めたもので、調理に時間のかかるラザニアをもっと手軽に味わえるよう、父がパスタとして考えたものなんですよ。地元では「ミーグラ」と呼ばれて親しまれていて、巻高校の卒業生は里帰りするたびに食べに来てくれます。
——完全に地元のソウルフードじゃないですか。
松本さん:そうですね。「ソウルフード」といえば、「カリーナ」という巻のB級グルメをアレンジした「ハンバーグカリーナ」もおすすめです。「カリーナ」は80年代に「ラーメンタカノ」さんで提供していた人気メニューで、閉店してからは食べられなくなっていたんですが、2010年頃に商店街が町おこしの一環で復活させたんです。当初は10軒以上の店舗で、それぞれの趣向を凝らした「カリーナ」を提供していましたが、今ではうちを入れて3〜4軒でしか提供していません。
——「カリーナ」って、一時期話題になったご当地B級グルメですよね。「CAFE BAR 風待」さんの「カリーナ」って、どんな料理なんですか?
松本さん:本来は焼きそばの上にカレーがトッピングされていて、紅しょうがが添えられたものを「カリーナ」と呼ぶんですが、うちのは焼きそばの代わりにパスタを使って、ハンバーグもトッピングされているんです。
——オリジナル「カリーナ」の焼きそばとカレーの組み合わせも意表をついてますけど、パスタとカレーとハンバーグの組み合わせもなかなかですね(笑)
松本さん:うちの店らしい「カリーナ」を追求したら、そんなスタイルになりました(笑)。以前はメディアにも多く取り上げられていたので、毎日のように食べに来るお客様が後を絶ちませんでしたね。
——「ミーグラ」「カリーナ」という、ふたつのソウルフードが食べられるお店なんですね。
松本さん:「ミーグラ」もそうなんですけど、父の頃から続いてきたメニューは変えないようにしているんです。何十年来ものファンがいるわけですから、裏切ってはいけないと思うんですよね。昔食べに来てくれていたお客様が、自分の子どもを連れて来てくれると、歴史の長さを感じて嬉しくなります。
——今までどんなお店にすることを目指して営業してきたんでしょうか。
松本さん:一度来てくれたお客様が「また来たい」と思ってくれる店を目指してきました。何度も足を運んでいただいて、少しずつでもうちの料理や雰囲気を好きになっていただけたら嬉しいですね。
——そのために心掛けていることはありますか?
松本さん:接客は奥さんを信頼しているので、全面的に任せています(笑)。料理に関しては、季節ごとの限定メニューにも力を入れていますね。「今回食べられなかった料理を、次回また食べに来ます」と言ってくださるお客様も多いです。
——季節限定メニューも種類が豊富ですね。
松本さん:私ひとりで調理をしているので、なかなか新メニューを考えるのも大変なんです(笑)。でも地元の先輩や仲間からアドバイスをいただくことができるので、とても参考になります。特にコロナ禍を迎えてからは、そうした関係がとても心強いんです。
——確かに、コロナ禍の状況では助け合いが大事になってきますよね。
松本さん:お客様が減ってしまったことで、仕事ができるありがたさを再認識しています。どんなに料理を作りたくても、お客様がいなければ作れないですからね。これからも地元のお客様を中心に、末永く愛され続けるお店にしていきたいです。
CAFE BAR 風待
新潟市西蒲区巻2530-21
0256-73-3995
11:30-14:00(平日のみ)/17:00-22:00(金土曜23:00まで)
日曜休