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新発田で長く愛され続けるアイスとかき氷の店「スギサキ」。

店長に聞く老舗アイス店のいろいろ。

新発田市の商店街には、アイスやかき氷の老舗「スギサキ」というお店があります。店舗営業を始めたのは昭和初期の頃。以来、長きに渡り地域住民に愛される存在であり続けています。どうしてそんなに長い間、このお店は支持さているのでしょうか。その理由を探るべく、今回は店長の杉崎さんにいろいろなお話を聞いてきました。

 

 

スギサキ

杉崎 美弥子 Miyako Sugisaki

1953年新発田市生まれ。東京で6年間生活した後、新発田に戻って「スギサキ」の手伝いを始め現在は店長となる。趣味は読書で好きな作家は宮部みゆき。最近は店番をしながらファンタジー小説を読むことにハマっている。

 

夏場限定で出現するテントの喫茶スペース。

——こちらのお店はいつから続いているんですか?

杉崎さん:もともとは、地元の市が立つときに、私のおじいちゃんがそこでアイスを売っていたそうなんです。でもアイスだと夏は売れても涼しい季節には売れなくなっちゃうから、季節によっていろんなものを売ってたみたい。春は新茶、秋はさわし柿、冬は蒸気パンって感じで。

 

——最初からアイスを売ってたんですね。店舗営業はいつからですか?

杉崎さん:今の場所で営業を始めたのは昭和初期だって聞いてます。道路拡張やらなんやらで4回建て替えてるんですよ。以前はお店の裏にプレハブの喫茶スペースがあって、そこでお客様にかき氷を召し上がっていただいてました。裏にある神社の敷地を一部貸してもらってたんです。でも、昭和天皇生誕60年のお祝いの年に宮内庁からお達しがあって、神社に関係ない建物を敷地内に建てることが禁止されてしまったんですよ。そこで夏の間だけテントを建てるようになったんです。

 

——夏に登場するテントの喫茶スペースは、涼しげで私も大好きです。でも、今日はないようですね…?

杉崎さん:今年は新型ウィルス感染症に配慮して、店内での飲食はお断りしてるんです。だからテントは建てなかったし、かき氷用のグラスも全部時片付けちゃったんですよ。残念ですけどお持ち帰りだけ対応しています。

 

人気の秘密は、飽きがこないさっぱりした甘さ?

——こちらのアイスやかき氷って、どんなふうに作ってるんですか?

杉崎さん:アイスの元になっているのは砂糖と水で作る蜜なんです。それを撹拌すると白アイスができるし、卵や練乳を加えるとアイスクリームになります。アイスを売り始めた頃の作り方を変えずに続けています。かき氷のシロップは、砂糖水の倍の甘さの甘露に様々なエッセンスを加えてシロップを作っています。

 

——どんなアイスやかき氷が人気ありますか?

杉崎さん:「カルピス」はさっぱりしていて人気がありますね。練乳が入ってクリーミーな「ミルク」も人気です。でも好みは人それぞれだから、どれが人気とかって一概には言えないですね。看板メニューの「宇治金時」は注文が入ってから抹茶を茶筅でたてて作ってます。召し上がってみますか?

 

——いただきます。…おお!抹茶とあずきのバランスがすっごくいいですね!…食べながらインタビュー続けていいですか?…すみません。「スギサキ」さんがこんなに長い間愛され続けている秘密ってなんでしょうね?

杉崎さん:さっぱりした甘さなんじゃないでしょうかね。飽きないから、いつでも食べたくなるんだと思います。特に白アイスはさっぱりしているから、具合の悪い人でも食べることができますし。

 

東京で暮らしてみてわかった新発田のよさ。

——杉崎さんは最初からお店を継ごうと思ってたんですか?

杉崎さん:いえ、最初はお店を継ぐつもりはなかったし、どうしても新発田から出て行きたかったので、東京で暮らしていたんですよ。でも東京に出て6年経った頃、お店をやっていた父が体調を崩してしまったんです。私は4人兄弟の末っ子だったんですが、姉2人は結婚していたし、兄は商売に向かない性格だったので、私が新潟に戻ってお店の手伝いをすることになったんです。子どもの時からお店の手伝いはしていて慣れてましたからね。

 

——せっかく新発田から出て東京で生活してたのに残念でしたね。

杉崎さん:でも東京でいろいろな体験をしたからこそ、お店を継ぐことができたんじゃないかって思ってるんです。ずっと新発田にいたら継いでなかったかもしれないですね。東京で暮らしたことで新発田のよさも再認識できたんだと思います。お店の経営は不慣れなところもあって最初は大変でしたけど、ひとつひとつこなしていく達成感もあって楽しいところもありましたね。

 

あの有名俳優も懐かしむ、思い出の味。

——お店をやってきて大変だったのはどんなことですか?

杉崎さん:夏場は忙しいんですけど、冬場は暇なんですよ。だから秋から春先までの涼しい時期には、「玉子まん」とか「肉まん」とかの手作りまんじゅうを作ってます。

 

——なるほど。では嬉しいのはどんなときですか?

杉崎さん:お盆頃になると県外に行ってる人が里帰りしてきますよね。そういうお客様がうちに来てくれて「懐かしい」とか「ほっとする」とかの言葉を聞くと嬉しいですね。俳優の三田村邦彦さんもプライベートで来てくれたことがあるんです。ご近所に住んでいたそうで、子どもの頃はお祭りの帰りに寄ってかき氷を食べてくれていたそうです。

 

——有名人の思い出にもなっているんですね。帰省のお話が出ましたが、学生のお客さんも多いんですか?

杉崎さん:学生さんは来なくなりましたね。近くにある西新発田高校も通信制になっちゃったし、家族の自家用車で送り迎えするようになったから、バス通学の学生さんもいなくなりました。これも時代の流れなんでしょうかねぇ。どんなに時代が変わっても、今のまま、できるだけ長く店を続けていけるようがんばっていきたいですね。

 

 

商店街の中にありながら、裏にある喫茶スペースでは神社の緑を見ながらかき氷を楽しむことができる「スギサキ」。残念ながら今年は新型ウィルス感染症への配慮で、喫茶スペースはお休みということでした。でもお持ち帰りのアイスやかき氷、カップアイスは売っています。この夏も「スギサキ」の冷たい味を楽しみたいですね。

 

スギサキ

〒957-0052 新潟県新発田市大手町1-5-2

0254-22-2066

10:00-19:00

木曜休

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