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質の高い美味しいハチミツを採集している「近藤養蜂」。

  • 食べる | 2020.06.22

養蜂やミツバチについて教えてもらいました。

新潟市中央区の西堀通沿いに「Miele(ミエーレ)」というハチミツ専門店があります。以前Thingsで紹介した時はオーナーの近藤さんからハチミツについて色々と教えていただきました。今回は近藤さんに同行してハチミツを採集する養蜂場を見学させてもらい、養蜂やミツバチについてのお話を聞くことができました。

 

 

近藤養蜂

近藤 基道 Motomichi Kondo

1970年柏崎市生まれ。近藤養蜂代表。レストランのワインアドバイザー、金融関係のサラリーマンを経験した後、30代半ばから養蜂家を目指し始める。養蜂の修行を8年間した後、「近藤養蜂」として独立。2018年新潟市中央区に「ハチミツ専門店 Miele」をオープンする。養蜂場とお店を行ったり来たりの毎日を過ごしている。

 

ミツバチは牛や豚と同じ家畜なの?

——今日はよろしくお願いします。近藤さんは最初から養蜂の仕事をしていたんですか?

近藤さん:いいえ。東京のレストランでワインアドバイザーをやっていたんですけど、両親が体調を崩してしまったので新潟に戻ることになったんです。新潟に帰ってから自分でワインバーをやろうと思ったものの店舗を借りることができなかったので、金融業の営業として7年間働いてました。ワインのテイスティングはハチミツの味を見極めるのに役立っている気がしますね。

 

——じゃあ養蜂の仕事はいつ頃から始めたんですか?

近藤さん:2005年頃だったでしょうか。求人誌に養蜂家募集の求人情報が載っていたので応募したんです。始めたばかりの頃ってハチミツの価格も低くて、あまり注目されていなかったんですよ。でも地産地消を見直す動きが起こり始めて、国産ハチミツの価格も上がってきたんです。その養蜂場で8年間修行した後に「近藤養蜂」として独立しました。

 

——満を持しての独立ですね。養蜂って資格みたいなものはいるんですか?

近藤さん:ミツバチは牛や豚と同じように家畜扱いになるんです。だから飼うためには県に申請を出して認可を受けなければなりません。私は修行時代に認可を受けてあったので、胎内市の海沿いや山に巣箱を置いて自分の養蜂場を始めました。それから徐々に増やしていって、今では4〜5ヶ所に巣箱を置いています。ミツバチのテリトリーはだいたい2km圏内なんですが、他の養蜂家のミツバチと範囲がかぶってしまうこともあるので、トラブルを避けるためにお互いの人間関係が大事になってくるんです。

 

ハチミツを採るよりもミツバチの世話が仕事の大部分。

——養蜂家の方って、1年中ハチミツを採っているんですか?

近藤さん:いえいえ。ハチミツを採るのは全体の仕事の1〜2割です。仕事の大部分はミツバチの世話なんですよ。3月末に8,000匹くらいのミツバチからスタートして、養成飼育します。ハチミツ採集の本番ともいえる5月半ば〜末のアカシアが咲く時期までには4万匹くらいにまで増やすんです。アカシアまでの間もハチを増やしながらサクラや藤、いろんな花の蜜が混じった百花蜜を採っています。あとミツバチの巣別れを防ぐのも大事な仕事ですね。

 

——どうして巣別れを防ぐんでしょうか?

近藤さん:ミツバチはできるだけぎゅうぎゅうに飼うことで甘くていいハチミツになるんです。でも、そうするとミツバチは新しい女王バチを作って巣別れしてしまうんですよ。これを専門用語で「分蜂(ぶんぽう)」っていいます。そうなるとミツバチの数が減っちゃいますから、こまめにチェックして女王バチが生まれるための「王台(おうだい)」っていう大きな部屋を見つけては、それを取り除くことが大事な仕事なんです。

 

——なるほど。ちょっと人間社会のようでもありますね(笑)。ところでアカシアの花が咲いている時期は忙しいんですか?

近藤さん:もう寝てる暇もないくらい忙しいです。花が咲いている間が勝負ですからね。2週間ちょっとの短い期間で、販売するためのハチミツを1年分採らなければならないんですよ(笑)。ハチミツを巣箱から採集して遠心分離機にかけると、とろりとした半液状になって流れ出てくるので、それを瓶詰めして完成です。

 

人間の食生活を支えているのは、実はミツバチ。

——ミツバチの世話やハチミツを採る他にも仕事ってあるんですか?

近藤さん:ハチミツが採れる花の季節が終わるとイチゴやメロン、サクランボとかを作っている農家さんにミツバチを貸し出しするんです。ミツバチを使って受粉させる「ポリネーション」っていう仕事です。ミツバチがいないとスーパーで売っている食品の半分以上がなくなると言われるほど、経済効果が高い仕事なんですよ。

 

——ああ、見たことあります!イチゴ栽培のビニールハウスとかでミツバチが飛んでますよね。大変な仕事ってあるんですか?

近藤さん:大変っていうより困ってしまうのは、ハチの巣駆除の相談が来ることですね。そういう相談は害虫駆除の業者さんにしてほしいと思います(笑)。あと、不作の年は大変ですよね。今年がまさにそうですけど、昨年の気候が影響して花の数が少ないんですよ。

 

——自然相手の仕事という意味では農業に似てるんですね。

近藤さん:確かにそうですね。あと暑さでミツバチが全滅してしまうことがあるんです。真夏に蓋を閉じた巣箱を車に積んで移動させると、車内の熱で巣箱の温度が上がってしまうんですよ。そうするとミツバチはストレスで自分の体を振動させて高熱を出してしまって、ハチミツごと溶けて全滅してしまうんです。これを「蒸殺(じょうさつ)」っていいます。だから真夏にミツバチを移動するときは眠っている早朝におこなうんです。

 

ミツバチがいないと人類は4年で絶滅する!?

——近藤さんはどんなことに気をつけてミツバチを育てているんですか?

近藤さん:ミツバチを怒らせないように丁寧に扱うようにしています。怒らせてばかりいるとミツバチが攻撃的になってしまうし、攻撃フェロモンが巣箱全体に充満してしまうんです。そうするとハチミツの味にも影響してくると私は思ってるから、怒らせないように気をつけて接しています。あとハチミツを採るための綺麗な枠と卵を産ませるための枠を分けてますね。分けない人も多いんですが、私は気を使うようにしています。

 

——近藤さんのハチミツが美味しい理由がわかったような気がします。では、今後やってみたいことってありますか?

近藤さん:いろいろな自然環境の変化で、私が養蜂を始めた頃に比べて収穫量が減っているんです。「ミツバチが地球上から姿を消したら、人類はわずか4年間しか生存できなくなる」という言葉もあるほど、地球上でミツバチの役割は大きいんですよ。だから、ミツバチをはじめとした生き物に優しい環境づくりをしていけたらと思っています。

 

 

今回は「近藤養蜂」にお邪魔して、普段はなかなか知る機会のないハチミツの採り方や、ミツバチの習性を教えてもらうことができました。巣箱をとても丁寧に扱い、ミツバチに優しく接している近藤さんの姿がとても印象に残りました。美味しいハチミツをいただくためにも、みんなで自然環境を守っていきたいですね。

 

 

 

ハチミツ専門店 Miele 〜近藤養蜂〜

〒951-8062 新潟県新潟市中央区西堀前通740-5 遠山ビル1F

025-378-8693

10:00-19:00

水曜休

 

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