Things

弥彦の農産物をパンやお菓子で発信する「Le・Lapin」。

弥彦山をバックにそびえ立つ赤い巨大な大鳥居は、弥彦村を象徴する風景のひとつ。そのすぐそばにオープンし、今や地元の人たちだけではなく遠方からも多くのお客さんを呼びこむ人気ベーカリーが、「Le・Lapin(ル・ラパン)」です。フランス語で「うさぎ」を意味するこちらのベーカリー、いったいどんなお店なのでしょうか。オーナーの西田さんにお話を聞いてきました。

 

 

Le・Lapin

西田 武彦 Takehiko Nishida

1971年五泉市(旧村松町)生まれ。新潟市や三条市の老舗パン屋で経験を積み、2019年に弥彦村で「Le・Lapin」をオープンする。休みの日は弥彦の生産者を訪ねて、農産物の勉強をしている。

 

プレオープンがそのままグランドオープンに?

——こちらのお店は大鳥居のすぐそばにありますが、そもそも弥彦村でパン屋さんをやろうと思ったのはどうしてなんですか?

西田さん:弥彦村にはパンの専門店がなかったので、僕の周りの人たちから「弥彦村でパン屋を開いてほしい」と期待されていたんです。あと弥彦村や西蒲区には農業をやっている仲間も多いので、仲間たちと連携しながら農産物を使った商品も作っていきたいと思っていました。でもオープンすると決めてから、実際のオープンまでに2〜3年もかかってしまったんです。

 

——どうしてそんなに時間がかかっちゃったんですか?

西田さん:弥彦村って、なかなか店舗向きの空き物件がないんですよ。彌彦神社の前には空き店舗もあるんですけど、そっちの方だと観光客向けのお店になっちゃうんです。パンっていうのは日常的に食べるものなので、地元の人たちが暮らすエリアでお店をやりたかったんですよね。

 

 

——でも、そんなに見つからなかったら、弥彦村以外で物件を探そうとは思わなかったんですか?

西田さん:弥彦村でやることにこだわっていたので、他の地域で物件を探そうとは思いませんでした。他の地域でパン屋をやるってなると、僕の思いがぶれてきてしまうんですよね。でもオープンが遅れたおかげで、その間に商品開発やコンセプトを詰めることができて、じっくり準備する余裕ができました。

 

——それじゃあ満を持してオープンという感じだったんですね。

西田さん:グランドオープン前にプレオープンをやってみたんです。そしたら村の人たちから大変な反響をいただいたので、そのままグランドオープンしちゃいました(笑)。地元の人たちの期待がこちらにも伝わってきて嬉しかったですね。

 

お客様の求めるパンを考えて、作る。

——西田さんは今までどんな修行を積んできたんですか?

西田さん:何か手に職をつけたいと思っていたので、最初は新潟の古町にある老舗パン屋で修行しました。上司や先輩にかわいがっていただいて、パン作りの楽しさを学ばせてもらいました。最後は一番人気のある支店の店長までやらせていただき、売り上げやスタッフの管理を経験しました。

 

——店長をやっていたなんて、すごいじゃないですか。

西田さん:ありがたいことなんですけど、ただ、僕はもっとパン作りを勉強したいという気持ちが強かったんです。そこで今度は三条にある老舗パン屋で修行をし直しました。パンの製造をメインに、商品開発の仕事もやらせていただいたんです。

 

 

——そのお店はどんなところだったんですか?

西田さん:社長がとても厳しい方で、丁寧な仕事を求められる職場でしたね。社長に言われて心に響いたのは「自分勝手にパンを作るんじゃなくて、お客様の求めるパンを考えて作れ」という言葉です。その言葉は今でも自分のなかで大切にしています。働いている間、いろいろなコンテストで腕試しもさせてもらいました。

 

——へ〜、たとえば、どんなコンテストに挑戦したんですか?

西田さん:「シュトーレンコンテスト」で最優秀賞をいただき、「メープルスイーツコンテスト」では2年連続で入賞させていただきました。賞をいただくのはもちろん嬉しいんですけど、大事なのはそれまでの過程だと思うんです。目標があることで一生懸命勉強するし、その結果として今までにない知識が身につくんですよね。あと全国から集まったパン職人と出会えるのも大きいです。情報交換できて勉強になるし、人間関係も広がると思います。

 

——なるほど。賞を取ること以外にも、得るものがあると。そのお店ではどのくらい働いていたんですか?

西田さん:独立も視野に入れて修行していたんですけど、なんだかんだで15年も働いていましたね。でも45歳を過ぎて将来のことも考えはじめ、自分でやってみたいことも色々とあったので、独立して「Le・Lapin」をオープンしたんです。

 

生産者とお互いに高め合える関係を築きたい。

——パンのこだわりについて教えてください。

西田さん:まずは食パンやフランスパンに力を入れました。ベースになるパンがしっかりしていることで、他のパンも美味しくなると思うんです。でも食パンもフランスパンも、あまり他にはないようなものにしたかったので、湯種を使ってしっとりもちもちした食感になるよう工夫してあります。そのパンを使って、弥彦や西蒲区の食材とコラボした商品を作っているんです。

 

 

——例えばどんな食材とコラボした商品があるんでしょうか。

西田さん:知り合いの農家が作っている「もとまちきゅうり」を丸ごと1本浅漬けにして、フランスパンで挟んだ「もとまちきゅうりのチャバタサンド」があります。僕は自信があったんだけど、見た目のインパクトがありすぎたのか、そんなに売れなかったんですよ(笑)。でも、そのうち勇気を出して食べてくれたお客様からSNSを通して美味しさが伝わって、さらには地元のテレビ番組で紹介されたことで、ブレイクすることになったんですよ。

 

 

——テレビの影響は大きいですね。

西田さん:「伝えること」の大切さを知りました。いくら自信のあるものを作っていても、多くの人に知ってもらわなければ、食べてもらえないわけですからね。

 

——確かにそうですね。他にも弥彦や西蒲区の農産物を使ったパンはあるんでしょうか。

西田さん:弥彦産のしいたけ「やひこ太郎」を使った「やひこ太郎のベーコンフランス」や弥彦産の栗を使った「栗チョコくるみのバトン」があります。

 

——そういったパンは生産者と連携しながら作っているんですよね。

西田さん:はい。生産者は洋菓子店や飲食店ともつながりがあるので、いろいろな情報が聞けて勉強になるんです。売り買いをするだけの関係じゃなくて、お互いに高め合えるような関係を目指しています。うちの店ではスタッフと一緒に生産者の農場に行って、見学させてもらったりしているんです。そうすることで、自分たちが使っている食材への意識も変わってくるんですよ。

 

——なるほど。生産者といい関係が築けているんですね。これからも弥彦の農産物を使ったパンを作っていくんでしょうか。

西田さん:これからはパンだけに限らず、カヌレやシュトーレンといったシーズンごとのお菓子も増やしていきたいですね。クリスマスに向けてシュトーレンのシーズンに入りますので、力を入れていきたいと思っています。これからも地元の人たちに末長く愛される店として続けていきたいですね。

 

 

しだいに秋が深まってもみじ谷も紅葉で色づき、彌彦神社では11月中「弥彦菊まつり」が開催されます。皆さんもドライブがてら弥彦を訪れ、「Le・Lapin」のパンやお菓子で弥彦の秋の味覚を感じてみてはいかがでしょうか。

 

 

Le・Lapin

西蒲原郡弥彦村矢作7297-1

0256-77-8509

8:00-18:00

月火曜他不定休

 

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
  • 部屋と人
  • She
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。


TOP