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冷奴におすすめ!阿賀野市「まめ工房いとう」のプルプル「豆富」。

冷奴の美味しい季節になりましたね。阿賀野市にある小さなお店「京ヶ瀬豆富 まめ工房いとう」では、冷奴にぴったりなプルプル食感の豆腐や、豆腐やおからで作ったチーズケーキやジェラート、かりんとうなどを販売しています。いったいどんな豆腐屋さんなんでしょうか。店主の伊藤さんにいろいろとお話を聞いてきました。

 

 

京ヶ瀬豆富 まめ工房いとう

伊藤 玲子 Reiko Ito

1959年新潟市西蒲区(旧巻町)生まれ。東京の経理専門学校を卒業後、大手電機メーカーに就職。結婚した夫の転勤で沖縄に移り住むも、その後新潟に戻る。2011年に豆腐職人になる決意をし、勤務していた会社を退職。翌年「京ヶ瀬豆富 まめ工房いとう」を開業。陶芸や料理が趣味。

 

事務畑ひと筋だった伊藤さんが、豆腐づくりを始めるまで。

——伊藤さんは結婚されるまで、どんなことをされてきたんですか?

伊藤さん:私は商業高校に通っていたんです。当時は商業高校を卒業したらすぐに就職する人がほとんどだったんですけど、私はまだ働きたくなかったので、東京にあった経理専門学校に入学したんですよ。そしたら、そこがとても厳しくてスパルタな学校だったんです(笑)

 

——あらら……(笑)。でも、ちゃんと卒業したんですよね?

伊藤さん:なんとか卒業できました(笑)。その後は大手の電機メーカーに勤めて、総務の仕事をやっていたんです。その頃にお互いの知り合いを通じて主人と出会いました。

 

——そしてご結婚、と。

伊藤さん:はい。プロポーズされたとき、主人は沖縄への転勤が決まっていたんです。私は以前沖縄に行ったことがあって、いつかまた行ってみたいと思っていたもんだから、ふたつ返事でOKしました(笑)。沖縄では6年近く暮らして、その間に子供がふたり生まれました。

 

 

——沖縄につられたんですね(笑)。ところで、新潟に戻ってきたのはどうしてなんですか?

伊藤さん:主人のお父さんが倒れたので、戻ってきたんです。お義父さんが営んでいた「伊藤商店」という豆腐店は、主人のいとこが引き継ぐことになりました。それで、私は地元の会社で事務の仕事を始めることになったんです。

 

——豆腐の仕事を、どうして伊藤さんが始めることになったんですか?

伊藤さん:主人のいとこも病気で豆腐づくりができなくなってしまったんです。それまでスーパーに並んでいた「伊藤商店」の豆腐が、そのとき店頭から消えてしまったんですよね。それが寂しいという気持ちがあって……。それに、私はそれまでずっと事務の仕事をしてきたので、以前から興味があった「食」に関わる仕事をやってみたかった、というのもありましたね。

 

みんなに反対される中、独学で続けた豆腐づくり。

——豆腐づくりはどなたに教わったんですか?

伊藤さん:主人のいとこから豆腐づくりに使う機械を譲ってもらったんですけど、当時は誰ひとりとして豆腐の作り方を教えてくれる人はいなかったんです。誰に相談しても「そんなに甘いもんじゃない」「女にできる仕事じゃない」って。豆腐屋を始めることを反対されました。主人からも「余生を楽しむこれからの時期に、なんでそんな大変なことをするんだ」と猛反対されたんです。

 

——それでも反対を押し切って始めたんですね。……ということは、独学だったんですか?

伊藤さん:豆腐づくりに使う機械のメーカーさんに基本を教えてもらったり、いろんな豆腐屋さんで見学させてもらったりはしました。遠いところでは埼玉の店まで行きましたね。でも実際に作るのは独学だったので、試行錯誤を繰り返しては、失敗作を庭に掘った穴に泣く泣く捨て続けました。

 

——豆腐づくりを独学で覚えるって大変そうですよね……。それに元々「伊藤商店」の味があるじゃないですか。それにはどうやって近づけたんですか?

伊藤さん:お義父さんから教わったわけじゃないので、作った豆腐を主人に食べてもらって、その感想を元に近づけていったんです。でも最終的には、自分が美味しいと思う豆腐を作るしかないと思うようになりましたね。

 

——「まめ工房いとう」を始めてみていかがでしたか?

伊藤さん:最初は近所の人達ですら、うちが豆腐屋として商売を始めたことを知らなかったんです。どうやったらお店のことを知ってもらえるか考えて、豆腐の食べ方を提案する「豆腐セミナー」を自宅で始めてみたんです。セミナーでは、豆乳、豆腐、おからを使った料理を紹介したり、豆腐への思いを語ったりしました(笑)

 

——「豆腐セミナー」の成果はあったんでしょうか。

伊藤さん:おかげさまで1年先まで予約が埋まるようになって、市外の人にも「まめ工房いとう」の名前を知っていただけるようになりましたし、いろんなところで開催されるセミナーにも講師として呼んでいただけるようになって。自分のモチベーションを上げる意味でも、セミナーの大切さが身に沁みてわかったので、忙しいときでもやめずに続けてきたんですよ。

 

プルプル食感の豆腐や、豆腐を使ったお菓子。

——伊藤さんが豆腐を作るときは、どんなことにこだわっていますか?

伊藤さん:まずは材料にこだわっています。食の安全を考える上でも、自分の生まれ育った土地で作られた新潟県産大豆を使いたいと思ったんです。でも実績がないせいもあって、最初はなかなかいい条件で売ってくれるところが見つからなくって、とても苦労しましたね。やっとのことで、津川の糀屋さんから新潟県産大豆を卸してくれる業者さんを紹介してもらったんです。あと、大豆の旨みを最も引き出してくれる、天然のにがりも使うようにしています。

 

——県産大豆といっても、簡単には使えないものなんですね……。その他にもこだわりはありますか?

伊藤さん:お義父さんが作っていた豆腐は、手で持てないくらい柔らかくて有名だったんです。私もそれを目指して作ったんですけど、水分が多いもんだから崩れやすくて大変だったんですよ。でもお客様から「崩れやすくても美味しければ大丈夫」って言われたので自信がつきました。プルプル食感なので、スイーツとしても食べられて子どもにも人気なんですよ。

 

 

——スイーツといえば、かりんとうやケーキもあるんですよね。

伊藤さん:豆腐の値段を原価のわりに安く設定してしまって、自分たちの給料も出せない状況だったんです。そこで付加価値をつけるために、豆腐を使った加工品を作るようになりました(笑)

 

——ラインナップを教えてください。

伊藤さん:代表的なものだと「おとうふケーキ」があります。「豆腐セミナー」のときに紹介して人気があったチーズケーキを商品化したもので、全体の3割くらい豆腐を使っています。小麦粉の代わりに米粉を使っているので、小麦アレルギーの方でも食べられます。「おとうふ氷菓」は豆腐で作ったジェラートで、牛乳や卵を使っていないのでアレルギーをお持ちの方でも食べることができるんです。溶けにくいので急がずにゆっくり食べることができます。

 

 

——豆腐っていろんな加工品が作れるんですね。

伊藤さん:そうなんですよ。他にもおからを使った「おからかりんとう」があります。これは私が子どものおやつに作っていたものを、アレンジして商品化したものなんです。当時は小麦粉で作っていたんですけど、おからを使ってみたら美味しくなったんですよ。お茶と一緒に召し上がっていただくと、おからがお腹の中で水分を吸収して膨れるので、少量でも満腹感を得られてダイエットにもおすすめです。

 

——最後に豆腐への思いをお聞かせください。

伊藤さん:ひと粒ひと粒の大豆が、手間をかけることで美味しい豆腐として生まれ変わるんです。店名では豆腐を「豆富」と表記するんですが、その由来は「食を通じて皆様の生活を豊かにしたい」という思いからきています。これからも、皆さまの食生活が豊かになるような商品をつくり、役に立つセミナーを続けていけたらと思っています。じつは先日、日本食糧新聞社主催の「第7回 介護食品・スマイルケア食コンクール」で「おとうふケーキ」が「健康維持上栄養補給が必要な人向けの食品部門」の審査委員長賞をいただきました。昨年も「ほんのり甘いおとうふ氷菓」が入賞して今年で2年連続の受賞なので、とてもありがたいですね。

 

 

ご主人のお父さんが作っていた「伊藤の豆腐」を継ぎ、事務畑から豆腐職人の世界に飛び込んだ伊藤さん。「伊藤の豆腐」の伝統を受け継ぎつつ、チーズケーキやかりんとうなどの新しい商品も開発しています。皆さんも美味しい冷奴が食べたいと思ったら、阿賀野市の「京ヶ瀬豆富 まめ工房いとう」に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

 

 

京ヶ瀬豆富 まめ工房いとう

新潟県阿賀野市姥ヶ橋577-12

0250-67-2053

10:00-17:00

水日曜休

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