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プラントベースで広がる選択肢「MY NAME IS ICE CREAM」。

今年8月、西堀通4番町に誕生した「SEIRANKAN」。3店舗の飲食店が入った、複合スペースです。今回おじゃましたのはその中の「MY NAME IS ICE CREAM」というアイスクリームショップ。地元のフレッシュな野菜や果物を加工し、牛乳などの動物性の食材を使わずに、豆乳などの植物性ミルクで作った、プラントベースのアイスクリームを提供しています。「MY NAME IS ICE CREAM」を営む青柳万凜さん、萌々さんご夫婦にお話を聞いてきました。

 

 

MY NAME IS ICE CREAM

青柳 万凜 Marin Aoyagi

1994年栃木県生まれ。東京の企業でTVCM制作やSNS広告のプランニングなどを経験。2022年5月に妻の萌々さんの地元である新潟へ移住。同年10月より「MY NAME IS ICE CREAM」の名前で出店活動をはじめる。2023年8月に新潟市中央区の「SEIRANNKAN」内で店舗をオープン。

 

MY NAME IS ICE CREAM

青柳 萌々 Momo Aoyagi

1994年新潟市生まれ。東京でグラフィックデザイナーとして働き、パッケージやポスターデザインに携わる。2022年5月に夫の万凜さんと一緒に新潟へUターン。2023年8月に「MY NAME IS ICE CREAM」をオープン。

 

東京で広告とデザインの仕事をしていたふたりが、新潟でアイス屋さんをはじめる。

――「MY NAME IS ICE CREAM」さんって、こちらに店舗を構えるまではイベントなどに出店して活動されていましたよね。

萌々さん:出店活動を始めたのは去年の10月からで、「SunBake」さんの1周年のアニバーサリーイベントが初出店ですね。この場所で店舗をオープンしたのが8月です。

 

――アイス屋さんの出店をはじめるまでは、おふたりともどんなお仕事をされていたんですか?

萌々さん:私は東京でグラフィックデザイナーをやっていて、お菓子のパッケージを作ったり、ポスターを作ったりしていました。

 

万凜さん:僕も東京に住んでいて、テレビCMとかSNS広告のプランニングなど、広告関係の仕事をしていました。

 

 

――新潟で「MY NAME IS ICE CREAM」をはじめるまでに、どんな経緯があったんでしょうか。

万凜さん:もともとお互いに「海外に行きたい」という思いがあって、社会人3年目のタイミングでそれぞれ別の国に行ったんです。僕はオーストラリアに行って、現地のカフェで働いていました。

 

――そのとき萌々さんはどちらの国へ?

萌々さん:私はデザインを学びたくてデンマークへ行きました。向こうでは「目に見えるものだけじゃなくて、生活すべてがデザイン」という感覚があると知りましたね。海外に行ってそれぞれ得るものがあったんですけど、いろんな人がいて、考え方を許容し合っていたというのは、お互い共通した感想でした。

 

――それぞれが海外で受けた刺激から、新しいことをはじめる方向に向かっていったんですね。

万凜さん:東京に戻ってからはもともとやっていたお仕事を再開したんですけど、海外での生活を経て、「自分たちが経験したことや感じたこと、それを形にして表現したい」という思いがふたりとも一致していましたね。

 

萌々さん:その段階では具体的に何をやるか決まっていなかったんですけど、ふたりでやれたらいいなあという思いはずっとありました。

 

 

――「何か作りたい」から「アイス屋さんをやりたい」になったのは、何かきっかけがあったんでしょうか。

万凜さん:萌々のおばあちゃんが新潟で農家さんをやっていて、一緒に住んでいると野菜とか果物を定期的に送ってくれたんですよ。形がいびつで市場には並べられないようなB品のものが多かったんですけど、味はフレッシュで美味しくて、「新潟の食べ物って美味しいな」と思いましたね。

 

――B品って見た目がちょっと違うだけで、味は変わらず美味しいですよね。

万凜さん:でも話を聞くと、そういう野菜や果物は売れないから親戚で食べたり、それでも消費しきれないこともあったりすると知って。ふたりともアイスクリームが大好きで、アイスに加工できたら賞味期限が伸びるし、見た目に関わらず、美味しい状態でお客様に届けられると思いました。そこから「アイスクリーム、面白いかもな」ってイメージが湧いて、ふたりで詰めていった感じですね。

 

――そこがスタートだから「お店をやるなら新潟で」となったわけですね。

万凜さん:生産者さんとの距離が近いところがすごく魅力的だなと。地元の新鮮な食材を仕入れて、フレッシュな状態でアイスクリームに加工してお客様に届けることを目標にしていたので、新潟ではじめることにしたんです。

 

植物性の食材だけで作る、誰でも美味しく食べられるアイスクリーム。

――こちらで提供しているのは、プラントベースのアイスクリームらしいですね。

万凜さん:誰かの新しい選択肢になれるようなお店にしたいと考えました。それで乳製品アレルギーの方とか、ヴィーガンの方でも食べられる、プラントベースのアイスクリームを提供することにしました。

 

――新潟だと珍しいですよね。喜ぶ人も多そうです。

万凜さん:「プラントベース」とか「ヴィーガン」って、抵抗を持つ方がいたり、届ける人を絞るワードでもあると思っているんです。でもアイスクリームって誰もが楽しめるものですし、垣根を作らないようにしたくて。海外だとプラントベースの商品って溢れていますし、多分これからもっと増えていくと思うので、流行りではない、スタンダードなアイスクリーム、ということで「MY NAME IS ICE CREAM」という名前にしました。

 

――プラントベースとそうでないアイスクリームでは、どんなふうに味わいが変わるんでしょう?

万凜さん:牛乳やはちみつ、卵などの動物性の食材を使わずに、100%植物性の食材で作っています。自家製豆乳とオーガニック豆乳をブレンドしたベースなので、牛乳の風味がない分、素材の味がダイレクトに感じられると思います。複数の食材を組み合わせて、味と香りの余韻を意識してフレーバーを作っています。

 

 

――今の季節だとどんなフレーバーがあるんですか?

万凜さん:夏は「スイカアールグレイ」「ローズマリーと桃」「枝豆マメ」とかを出していました。「枝豆マメ」は、枝豆と豆乳が合わさっているからこの名前です。これからの季節は巨峰やイチヂク、和梨とかを使ったアイスを出していく予定です。

 

――使っているのはやっぱり新潟の果物なんですよね。

萌々さん:そうです。お店をはじめるときに農家さんをたくさん回ったんです。農家さんひとりひとりに自分たちの作ったものへの熱い思いがあって、それぞれの農家さんの個性を知れば知るほど「この農家さんとお取引したい」っていう思いが強くなっていきました。それにやっぱりB品の行き場がなくて困っていらっしゃる方が多くて、そういう農家さんのレスキュー先、販売先になって、ちょっとでも力になれたら嬉しいです。

 

選択肢が増えることで、ちょっとでも幸せになる人が増えたら嬉しい。

――お店をオープンして1ヶ月ですが、お客さんの反応はいかがですか?

萌々さん:添加物を使っていないので、「このアイスクリームなら安心できる」とおっしゃって、お子さんのファーストアイスクリームに選んでくださる方が多くって。アレルギーのあるお子さんが「どれを選んでもいいの?」って喜んでくれることもあります。

 

――そのお子さん、ここのアイスクリームが大好きになったでしょうね。

萌々さん:「選択肢」が私たちのテーマのひとつでもあって。B品をあえて選ぶのも選択肢のうちのひとつだし、牛乳を使わないアイスクリームを選ぶのもそうだし。選択肢が増えることで、ちょっとでも幸せになる人が増えたらいいなと思っています。だから喜んでくれるお子さんとかを見ると、私たちのやっていることを届けられたかなって嬉しくなりますね。

 

――お店を続ける上で、これからはどんなことをやっていきたいですか?

万凜さん:アイスクリーム好きな方だけでなく、乳製品アレルギーや、食文化によって気軽にアイスクリームを食べられない方にも喜んでもらえるアイスクリームだと思うので、そういう方に届けられる方法を、これからどんどん打ち出していきたいです。

 

萌々さん:オンライン販売とかギフトとか。新しいメニューを出しつつ、販売の方法も考えていきたいなと思っています。

 

 

 

MY NAME IS ICE CREAM

新潟市中央区西堀通4番町259-58 西堀青藍館1階 SEIRANKAN

営業時間 11:00-18:00

水曜定休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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