オール見附を目指すブルワリー「MITSUKE Local Brewery」。

クラフトビールで地域活性を目指す、町のブルワリー物語。

醸造が盛んな新潟は、米処ということもあり、全国的な知名度からいえば圧倒的に「日本酒」が有名です。けれど「クラフトビール」を醸造するブルワリーも少なくありません。実は県内12カ所でクラフトビールが作られていること、皆さんはご存じでしたか。見附にあるブルワリー「MITSUKE Local Brewery(ミツケローカルブルワリー)」もそのひとつ。バーテンダーから転身し、クラフトビールの醸造家となった中嶋さんに、クラフトビールに魅了されたキッカケを語っていただきました。

 

MITSUKE Local Brewery

中嶋 正和 Masakazu Nakajima

1971年見附市生まれ。高校卒業後、埼玉県の企業に勤めながらバーテンダーの夢を追いかける。ある出会いをキッカケに2018年7月よりクラフトビールの醸造をスタート。でも、一番好きなお酒はスコッチウイスキーだとか。

高校時代から夢見ていたバーテンダーの仕事。

――バーテンダーから転身され、クラフトビールの醸造をスタートしたとうかがいました。まずはバーテンダー時代のお話からはじめたいと思うのですが。

中嶋さん:はじめてバーテンダーに憧れを抱いたのは、高校生のときでした。ある夏休みの昼過ぎに、NHK教育テレビで主婦に向けて「自宅で簡単カクテル」みたいな番組が放送されていたんです。タッパーに氷を入れてシェイクすれば簡単に自宅でもカクテルが楽しめますよ、といったありがちな内容で。

 

――もしかして…高校生なのに試したとか?

中嶋さん:いや、さすがにそれは(笑)。その番組の最後に、本物のシェイカーを使った実演があったんですね。その姿に衝撃を受けて。いや~かっこよかったですね。あと、兄がバーを題材にした漫画「BARレモン・ハート」を読んでいたことも、バーテンダーに憧れたキッカケのひとつです。

 

――バーテンだーって、高校生が見たらかっこいいなって思いますよね。大人でも憧れます。

中嶋さん:それでバーテンダーになろうと思ったんですが、父親に大反対されて…。

 

――まぁ、高校を卒業してからとはいえ、未成年ですからね…。一旦は諦めたんですか?

中嶋さん:そのテレビ番組に出演されていた方は、日本を代表するバーテンダーの上田和男さんで、銀座でバーをされていたんです。彼にちょっとでも近い場所にいたいと思って、どうにか頭を使って、埼玉の工場に就職しました。それなら父親の逆鱗に触れずに関東圏に行けるだろう、と。

 

バーテンダーへの第一歩。キッカケはバーテンダー。

――バーテンダーとしての修行は、働きながらされていたんですか?

中嶋さん:どこかのバーで働けたらとは思っていましたけど、思った以上に工場の仕事が忙しくて、近所のバーを中心に通っていました。頻繁に通っていると、いろいろな話ができるようになり、「どこか働けるバーはないか」と相談をしたり。そうしたら日本バーテンダー協会が開催している「日本バーテンダースクール」というもの教えてもらえました。渋谷にあって、バーテンダーとしての基礎やお酒の勉強ができるんです。

 

――そんなスクールがあるんですね。初耳です。

中嶋さん:3ヶ月間、必死で学びましたね。終業後は、当時の先生が働き口を紹介してくれるといっていたので期待していたんですが…ちょっとした落とし穴があったんです。

 

――え?落とし穴ですか?

中嶋さん:なんと…紹介されたバーでは女性バーテンダーしか雇っていなくて(笑)

 

――おっと、それは落とし穴でしたね。

中嶋さん:そうなんですよ。その後の紹介もなく、それっきりになってしまって。また工場で働きながらバーに通う、今までの生活に戻ってしまいました。そしたら、あっという間に30歳手前。もう、なんのために見附から出てきたのか、何をしているんだろうかと。

 

――バーテンダーになりたくて見附から飛び出したんですもんね。

中嶋さん:気持ちを切り替えて、一念発起しまして。これからはバーで働くために行動しようと。まずは工場を辞めました。そしてタイミングよく通っていたバーが移転することになって、そこになんとか雇ってもらえることになったんです。行動したからこそ、得られたチャンス。ここからがバーテンダーとしての人生がスタートです。

 

クラフトビールとの出会いは、スコットランドの衝撃的なテイスト。

――そうしてバーテンダーと活動されていたのに、現在、どうしてクラフトビールの醸造をされているんですか?

中嶋さん:2006年に見附に戻って、自宅兼バー「Café ho.cca(カフェホッカ)」をオープンしたんですけど、ウイスキーをメインにやっていて、6年目のときです。バーテンダーの協議会が新潟で開催されたので観に行きました。会場には輸入酒を紹介するコーナーがあって、スコットランドのクラフトビールの試飲をしていました。ひと口飲んだら…こんなビールが存在するのかと。衝撃を受けたんです。

 

――はじめてのクラフトビールだったんですね。ちなみに、なんていうクラフトビールですか?

中嶋さん:「BREWDOG(ブリュードッグ)」というブルワリーの「PUNK IPA(パンクアイピーエー)」です。希少なホップを使っていて、南国フルーツのアロマとグレープフルーツのような苦みがあって、爽快な味わい。とてもおいしかったです。

 

 

――日本のビールとは違った味わいのビールですね。

中嶋さん:それから自分のバーでも国内外問わず、クラフトビールの取り扱いをはじめました。いろいろなクラフトビールを扱うにつれて、ブルワリーによっては周年ビールといったオリジナルビールを作ってもらえることがわかったんですね。それで、ちょうど10周年という節目だったので栃木にある「BLUE MAGIC(ブルーマジック)」というブルワリーに依頼したんです。作りに行ってみたらとても小さなブルワリーで、こんな場所でもクラフトビールが作れるのか、もしかしたら自分でもチャレンジできるのではと。「BLUE MAGIC」のように地域に愛されているビール作りを見附でもしようと思ったのが醸造をはじめたキッカケです。

 

――「BLUE MAGIC」のビールは地域に愛され、根付いているビールなんですね。

中嶋さん:そうなんです。それからいろいろと話を聞いて、調べて。発泡酒免許も取り、ブルワリーを開く準備をしました。「BLUE MAGIC」に勤めていた経験のある方も協力してくれて、「MITSUKE Local Brewery」は走り出したんです、が…。

 

――…が?なにかあったんですか?

中嶋さん:いろいろあって、協力してくれる予定だった方が辞めてしまったんです。醸造経験者だったのでかなり頼りにしていたので大誤算でしたね。でも、クラフトビールイベントで出会った栃木のブルワリー「うしとらブルワリー」の社長が手助けしてくれて。醸造経験者の方を紹介してくれたんです。彼が加わってからバタバタと再始動し、2018年7月にようやく醸造がスタートしました。

 

見附らしさを感じられるクラフトビールを目指して。

――「MITSUKE Local Brewery」について、教えてください。どのようなクラフトビールが主体ですか?

中嶋さん:ホップの華やかな香りが特徴なペールエールという種類が看板ビールです。ただ、ほぼ毎週、新しいビールを作っているので定番ビールはありません。常に新作を楽しんでもらえるようになっています。

 

 

――メインのビールはないんですね。どこで飲めるんですか?

中嶋さん:もちろん「Café ho.cca」で飲むことができます。ボトルビールの取り扱いもあるので、自宅でも。あとは、同じ見附にある姉妹店「Bow(バウ)」でも楽しめます。

 

――常に新しいビールが飲めるのは楽しいですね。これからのビール作りで、チャレンジしていきたいことはありますか?

中嶋さん:見附で育った小麦、ホップを使って、オール見附のクラフトビールを発信していきたいです。あと、見附市葛巻地区にはブドウを栽培している農家があります。ビールの副原料として葛巻産のブドウを使用したフルーツビールにも挑戦していきたいとも考えています。とにかく見附らしいクラフトビールを目指して、この地域にたくさんの人たちが集まってもらえるように歯車になれたらうれしいですね。まだまだビール作りはビギナーですけど、もっとおいしいビールを飲んでもらえるように、地元に愛されるビールになれるように、見附愛を貫いていきたいと思います。

 

 

クラフトビールは、旅飲みするスタイル。

中嶋さんのビールに対する熱い想いを聞きながら、目の前に撮影用のビールがちょこんと。あぁ、どうして車で来てしまったんだろう…と後悔しつつ、地域に根差したクラフトビールを目指す話に酔いしれました。クラフトビールファンは旅をするかのように、各地のブルワリーを巡るらしく、もちろん「MITSUKE Local Brewery」にも県外から訪れる方が多いんだとか。そんな人たちがもっと増えていけば、中嶋さんの目指す「クラフトビールからの地域活性」が見えてくると思います。いや、きっと実現するでしょう。だって、飲んでなくても、おいしさが伝わってくるクラフトビールだったから。

 

 

 

MITSUKE Local Brewery

新潟県見附葛巻1-9-49

0258-63-5873


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