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和食とイタリア料理、日本酒とワイン。どちらも味わえる「新潟 土筆」。

新潟駅万代口から徒歩5分の場所にある「新潟 土筆」では、和食と日本酒、さらにイタリア料理とワインを楽しむことができます。このお店を営んでいるのは、板垣さん親子。看板に「親父の和、ジュニアの伊」とあるように、ご両親が和食を、息子さんがイタリア料理をそれぞれ担当しています。今回は2代目店主の息子さんにお店のことについていろいろとお話を聞いてきました。

 

新潟 土筆

板垣 行彦 Yukihiko Itagaki

1980年新潟市生まれ。高校を卒業後、東京都内の調理師専門学校へ進学。東京全日空ホテル(現:ANAインターコンチネンタルホテル東京)へ就職し、料理人として3年間働く。その後都内のイタリアンレストラン数店舗で経験を積む。両親がはじめた「土筆」が2008年に店舗を移転することをきっかけに新潟に戻る。家族で「土筆」を営む。

 

ひとつのお店にふたつの味。日本とイタリアが融合した「新潟 土筆」。

——「親父の和、ジュニアの伊」と書かれた看板がとっても印象的ですね。

板垣さん:もともと「土筆」は割烹料理屋だったんですよ。そこにイタリア料理を勉強してきた僕が加わって、「和と伊のふたつの味」を提供するようになりました。黒板に書かれたメニューにはいつも和食とイタリアンが並んでいるんです。

 

——ということは、お酒は日本酒とワインがあるんですよね。

板垣さん:日本酒は新潟の地酒を揃えています。ワインはイタリアンワインをメインに新潟のワインも用意しています。駅前にあるお店なので、県外からのお客さまも多いんです。新潟のお酒が置いてあると喜ばれますね。

 

——和食とイタリアン、両方を注文する方が多いんでしょうか?

板垣さん:どちらかだけ注文される方もいますし、両方を頼まれる方もいます。おひとりは日本酒だけ、もうおひとりはワインだけという場合もありますし、さまざまですね。でも、そんなめちゃくちゃな楽しみ方もこのお店ならではだと思っています。

 

気軽に楽しめるイタリアンを学び、「家族で一緒にお店を営む」準備を整える。

——どれくらい前からあるお店なんですか?

板垣さん:今年で創業47年になります。以前は東大通のビルで営業していました。僕が小さい頃はまだバブル期の名残があって、店はすごく忙しかったですね。姉と一緒に皿洗いをしたり、配膳をしたり、けっこう遅い時間まで店の手伝いをしたことを覚えています。お客さんにお使いを頼まれてタバコを買いに行くこともしょっちゅうでした。そんなこと、今では考えられないですよね(笑)

 

——板垣さんが料理人になろうと思ったのもその頃ですか?

板垣さん:漠然と「自分も料理の道へ進むんだろうな」「大人になってからも家族で一緒にお店をやろう」と考えていたので、高校を卒業してから調理師専門学校へ進学しました。

 

——どちらの専門学校へ進学したんですか?

板垣さん:代官山にあるイタリアンレストランの総支配人の方が「土筆」のお客さまだったんです。その人から「学校を卒業したら、うちの店で働かないか」とお誘いをいただいたので、東京の調理師学校へ進学しました。学校に通いながら、そのレストランでバイトをすることにして。

 

——じゃあ、そのままそのレストランに就職を?

板垣さん:そのつもりだったんですけど、就職を考えるタイミングで有名ホテルの求人を見つけたんです。思い出作りのつもりで受験したら合格して、3年間「東京全日空ホテル」で働きました。

 

——ホテルでの経験はどんなものでしたか?

板垣さん:ホテルの調理場って働いている人がたくさんいるんですよ。その中で洋食のセクションに配属されて、ソースやブイヨン作りをしたり、お肉を焼いたり、基本的なことだけど料理人らしい料理を経験することができました。ラッキーなことに良いセクションに入れてもらえたと思います。辛いこともありましたけど、人員の余裕はあるし、今思えば恵まれた職場だったかもしれませんね。

 

 

——その後は、どんなところで働かれたんですか?

板垣さん:イタリアンレストランを数店舗経験しました。ホテルの調理場から町場のレストランに職場を変えたのは、「少しでも早くお店を切り盛りする力を身に付けたい」と思ったからです。ホテルでは全員で協力してしっかり仕事をする、という感じでしたが、町場のレストランではひとりひとりが持ち場を完璧にこなすことが求められました。個人の仕事量と責任感がホテルとは全然違いましたね。誰かに手伝ってもらいたくても、みんな忙しいから頼める人がいないこともありましたし、ひとりでも失敗するとお店全体がまわらなくなっちゃう緊張感がありました。

 

——ご実家は和食、ホテルでは洋食を経験されたんですよね。どうしてイタリアンを学ぼうと?

板垣さん:ホテルでフレンチを学んだこともあったんですが、工程がすさまじく多いと感じたんです。将来、家族で店をすることを考えると、もっと手軽に楽しめる、フランクな料理がぴったりだと思ったので、イタリア料理の道を選びました。

 

——今の「土筆」さんのヒントになったお店はあったんでしょうか。

板垣さん:笹塚に住んでいた頃に働いていた店は、理想のイメージに近かったですね。僕とシェフのふたりでやっていたお店で、テービル席が3つ、カウンターも数席といったこじんまりとしたところでした。シェフとは「将来、自分たちがお店を出すときの練習だと思ってやろう」ってお互いに言い合っていましたね。そこはワインも有名で、いろいろなところからソムリエが勉強にくるような店だったんです。僕もワインの試飲会にたくさん行ったし、そこでの経験がイタリアンワインの理解を深めることにつながりました。当時学んだことは、いろいろな面で今の「土筆」にも生きていますね。

 

親子2代で円満にお店を営むルールはある?

——新潟に戻って、ご両親と一緒に「土筆」をやろうと思ったきっかけはあるんですか?

板垣さん:2008年に東大通から今の場所に店舗を移転することになったんです。そのタイミングで「一緒にやるか」という話になったので、新潟に戻って来ました。僕はずっと「家族で『土筆』をやりたい」と思っていたので、嬉しかったですね。

 

——ご家族でお店を営む上でのルールみたいなものは?

板垣さん:そうですねぇ……。父が日本酒を説明して、僕がワインを説明するようにしています。料理は母が作ることも多いんですよ。すごくバイタリティのある母親で、僕が新しい料理を作っていると「それ、教えて」って興味津々に言うんです。なので、「土筆」はマンマ(イタリア語でお母さん)の手料理の店でもあります(笑)

 

——小さい頃からお家の仕事を手伝っていた板垣さんだから、きっとご両親と一緒にお店をやることに違和感はなかったんでしょうね。

板垣さん:「親子で一緒に飲食店をしている成功例だよね」と言われることもありますし、仲良くやっている方だと思います。でもここだけの話、カウンターで父親と喧嘩したことはあります(笑)。今ではお互い丸くなりましたね。

 

 

——最後に「土筆」が特にこだわっていることを教えてください。

板垣さん:お酒も食材も新潟のものを用意していることです。どうも新潟県って地物の野菜を県内で消費する傾向があるらしいんです。なので、県外の皆さんに「新潟の食材を食べてもらうことで、新潟の魅力を伝えたい」という思いがあるんです。ちなみにリゾットに使っているお米は、新潟で作られた希少な酒米ですよ。酒米って本場イタリアでリゾットに使われていたジャポニカ米に似ているんです。

 

 

 

新潟 土筆

新潟市中央区弁天3-3-5

TEL:025-243-4599

定休日:日曜日

営業時間:11:30〜13:30、17:30〜22:30

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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