穏やかさの中にある情熱よ、届け。
ピアニストの碧木莉歩さん
カルチャー
2026.01.04
三条市在住のピアニスト・作曲家の碧木莉歩さん。2024年に配信シングルでデビューし、今年はアルバム『想いの消息』をリリースしました。ソロアーティストとして活動をはじめたきっかけや、楽曲作りにどんな変化があったのかなど、いろいろとお話を聞いてきました。
碧木 莉歩
Riho Aoki
埼玉県生まれ。2020年に三条市に転居。ヤマハ音楽院東京校にて、クラシック、ジャズ、ポップスなど幅広い音楽を学ぶ。ピアノ講師のかたわら、バンド活動や他アーティストのサポートなどを行っている。2024年7月にシンガーソングライターの青木慶則(ex-HARCO)主宰のレーベルから、配信シングル「しずかな旅路」でデビュー。ポップスバンド「paradiso」では、ピアノを担当。
信頼できるプロデューサーとの
運命の出会い。
――まずは碧木さんのこれまでの活動について教えてください。
碧木さん:2024年に「しずかな旅路」という配信シングル曲でデビューしました。今年は配信とCDで『想いの消息』というアルバムをリリースしました。
――デビューのきっかけというのは?
碧木さん:数年前、あるシンガーソングライターさんのイベントが弥彦村であったんです。その方のプロデュースをしていたのが、今、私のプロデューサーでもある青木慶則さんでした。そこで初めて青木さんにお会いして、音楽のことや私が所属しているバンド「paradiso」についてざっくばらんにお話させてもらったんです。後日「またどこかでお会いできたら嬉しいです」とメールをしたところ、とても前向きなお返事をいただいて。実際に対バンイベントで再会したとき、青木さんが私のピアノを褒めてくれたんです。そして、私が過去に自主制作したCDを聴いてもらったことがきっかけで、「一緒に曲を作ってみませんか」というお話になりました。
――すごい! お話がきたとき、どういう心境でしたか?
碧木さん:「まさか、どうしよう、信じられない」って(笑)。青木さんからのメールを読んで、机の周りをぐるぐると5周はしたと思います(笑)
――ソロとしてデビューするのは、碧木さんの目標のひとつだったんでしょうか?
碧木さん:作曲した曲を発表したい気持ちはありました。最初は自分だけのために制作していましたが、だんだん誰かに聴いてもらえたらいいな、と思うようになっていたんです。
―― やっぱりサポートしてくれる方がいると、違うものですか?
碧木さん:青木さんは「とてもいいですね」と認めてくれる一方で、的確なアドバイスもしてくれます。そして何より、「その人らしさ」を大切にしてくれるんですよね。「莉歩さんらしく」「莉歩さんにしかできないものを」と、いつも導いてくれています。これまでにたくさんの曲の制作に携わってきた方なので、私へのアドバイスもすぐに思いつくはずなのに、きっとあえてそういうアプローチをしてくれているんですね。
――アーティストさんを引き立てようとする姿勢が素敵ですね。
碧木さん:参考となる曲を共有してくれたり、おすすめの映画や芸術作品などを教えてくれたりもするんですけれども、決して押し付けることはしないんですよ。そういったものをヒントに「どうしたら私らしい表現ができるだろうか」と考えるきっかけを与えてくれます。なので私、基本的にはのびのびと曲を作っています(笑)。聴く人にもその様子が伝わっていますよね、きっと。

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自然、アート、南米音楽。
自分らしさを楽曲に。
――レーベルに所属してから、ご自身の中で変わったことは?
碧木さん:青木さんからは、「ネオクラシカル(クラシックにジャズやポップスなどいろいろなジャンルを融合させた音楽)を作ってみませんか」という提案がありました。そこに自分の個性というか、心から「好きだ」と思える要素を入れるにはどうしたらいいかと考えたんですよね。それで辿り着いたのが、南米の音楽でした。「ネオフォルクローレ」と呼ばれるジャンルで、とても聴きやすく、風景が浮かぶような優しさがあります。そこには、情熱も込められていて。そのネオフォルクローレをヒントに、思い浮かんだコードやフレーズをノートに書き込むようにしています。
――プレッシャーを感じるようになったとか、そういうことはないでしょうか。
碧木さん:根本は変わらず、自分の音楽が伝わるように努めていますが、今まで以上に「聴き手の皆さんはどう感じているだろうか」を意識するようになりました。たくさんの方が関わってくださっていることに、身が引き締まる思いがしますね。
――楽曲にはどんな思いを込めているんでしょう?
碧木さん:アルバム『想いの消息』は、自分が感じたことが浮き上がって旅をしている、と、そんなイメージで制作しました。私は自然の景色が大好きで、山登りを趣味にしています。新潟に暮らしていると、豊かな自然が当たり前のように日常にあって、気持ちが満たされます。美術作品からも、楽曲のイメージが湧いてくることがあるんですよね。『想いの消息』は、大好きな自然、美術作品から感じたことを表現した作品です。聴いてくださる方には、自分自身が旅をしているような気持ちになってほしいな、と思っています。でも人それぞれ感じ方は違うと思いますので、好きにとらえていただくのがいちばん嬉しいですね。ちなみに、これまで配信シングルとしてリリースした楽曲のジャケットは、佐賀県有田焼の陶芸作家 辻拓眞さんとコラボレーションしています。
――ピアノの演奏にも人それぞれ個性があると思うんです。碧木さんのピアノはどうですか?
碧木さん:青木プロデューサーからは「穏やかさがあって、その裏には力強さと情熱がある」と言われました。きっと南米の音楽が好きだからかもしれないです(笑)。穏やかな音楽を届けたいとも思うし、グッと気持ちが入り込むような「揺れる音楽」を奏でたい気持ちもあります。BGMとしても、ライブ演奏でも魅力ある音楽を演奏したいと思っています。

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ピアノとともに、
歩んできたこれまで。
――作り手さんによく聞く質問なんですけど、制作活動がうまくいかないときなどは、どう対処していますか?
碧木さん:まさに最近までなかなか調子が上がらない日々が続いていて、やっと乗り越えたところでした(笑)。私の場合は、映画や本、音楽などで気分転換をすることが多いですね。好きなものに触れて、自分で自分を感動させるようにしています。すると「うん、この調子でやるぞ」という気になるんですよ。
――これまでのことも聞かせてください。碧木さんは、小さい頃にピアノをはじめて「ヤマハ音楽院」を卒業されました。ずっとピアノを続けられた秘訣はなんでしょう?
碧木さん:素敵な先生に恵まれていたから、ですかね。先生に憧れて、ピアノ講師を目指していたんです。実際に今、アーティスト活動以外にもピアノの講師業をしています。
――ピアノの発表会、子どもの頃に憧れました(笑)
碧木さん:私は引っ込み思案なんですけど、なぜだかピアノの発表会は毎回心待ちにしていました。観客の皆さんの前で演奏したときの高揚感と、聴いてくださる方の反応がこちらに伝わってくる幸福感は、特別です。初めて人前でオリジナル曲を演奏したのは、「ヤマハ音楽院」の卒業コンサートだったんですが、そのときのことは、とてもよく覚えています。
――働きはじめてからは、どんなふうに音楽活動をしていたんですか?
碧木さん:アンサンブルを組んだり、バンド活動をしたりしました。そのうちに、ピアノ講師もいいけど、演奏家にもなれたらいいな、と思うようなったんですね。
――新潟県内のイベントなどで、碧木さんの演奏を聴くチャンスがあるのか知りたいです。
碧木さん:デビュー以降は、県内で2回、東京で1回イベントで演奏する機会をいただきまして。今のところライブの予定はないのですが、県内外、いろいろな場所にお邪魔したいと思っているので、オファーをいただけるととても嬉しいです。

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