ある日、ショッピングモールの催事で「肉まんだらけの店」というお店を見かけました。万代エリアにも店舗があるので知っている方も多いと思います。ただ、こちらのお店を新潟の会社が運営していることを知っている方は少ないのでは。居酒屋などを展開する「株式会社善丸コーポレーション」が、新潟の新しい名物を生み出そうとはじめたお店なんです。「肉まんだらけの店」にはどんな思いがあるのか、スタッフの大武さんにお話を聞いてきました。
肉まんだらけの店
大武 日文 Hifumi Otake
1995年山形県生まれ。新潟大学を卒業し、2018年に「株式会社善丸コーポレーション」へ入社。2021年より「肉まんだらけの店」の責任者を務める。絵本が大好きで、子どもの頃に買えなかった絵本を大人買いするのが趣味。
——「肉まんだらけの店」って、どんなお店なんですか?
大武さん:20種類のメニューとこだわりの皮が自慢の肉まん専門店です。当店の肉まんは、すべて手作りなんですよ。「いずれは全国展開したい」という野望があって、一号店は新潟駅の「CoCoLo本館」に出店しました。
——ところで……なんで「肉まん」だったんですか?
大武さん:それは完全に当社の社長の思いつきです(笑)。「箸やフォークを使わなくても手軽に食べられる肉まんを、学生さん、お子さん、お年寄り、いろんな人がもぐもぐ食べている姿を見たい」と。「肉まんって昔から愛されているお手軽フードなのに、コンビニくらいしか食べられるところがないなんて不思議だよね」というところからスタートしました。
——「肉まん屋をやろう」となったときの皆さんの反応はどうだったんでしょう?
大武さん:正直に言うと私は大反対でした(笑)。「肉まん? なぜ?」って。新潟にはあまり結びつかない食べものだし、それほど流行っているわけでもなかったですから。新たに店舗を構えて肉まん屋をやるなんて「いったいどんな気の迷いだ」と思いました(笑)
——それで、実際にお店をオープンしてからの反響はどうだったんですか?
大武さん:オープンするまでは毎日、不安というか恐怖というか……。「本当に肉まんが売れるの?」という気持ちがあったんですけど、おかげさまでオープン初日だけで1ヶ月分の見込み個数がなくなっちゃうほどの反響だったんです。
——えぇ。それはすごい!
大武さん:オープンした日は開店から数時間で「もう商品がない」って状態になって、急いで追加の肉まんを作ったんですよ。もともと居酒屋を展開している会社なので、「コロナ禍の影響で低迷している居酒屋の売上を少しでも補填できれば」という狙いがあったんですけど、まさかこんなに反響をいただくとは予想していなかったですね。スタッフ全員、肉まんがこれほど売れるなんて思っていなかったので体制も気持ちも準備ができていなかったと思います。
——まさしく、嬉しい悲鳴、だったわけですね。
大武さん:私、オープンしてから1週間くらい何をやっていたか覚えていないんですよ(笑)。それくらい慌ただしかったんです。新型コロナウイルスが蔓延して外出しにくい時期に出店したので、タイミングも良かったんだと思います。自宅近くでしか楽しめない状況だったので、近所にお住まいの方が来てくださったんだろうな、って。そういう意味ではラッキーでしたね。
——肉まんについても教えてください。種類がたくさんあるそうですね。
大武さん:20種類以上の肉まんを用意しています。豊富な種類を揃えることは、当社の社長がどうしても実現したかったことなんです。「日本一種類が多い肉まん屋にしたい」と。私たちが一番こだわっているのは生地なんですね。その生地を美味しく召し上がっていただきたいという思いと、選ぶ楽しさを提供したい、好き嫌いがある方であってもお気に入りを見つけて欲しい、という思いが根底にあります。なので、いろいろなものを包んでいるんです。
——どんな変わり種メニューがあるんでしょう?
大武さん:う〜ん……。いろいろ種類がありすぎて、どれが「変わり種」といえるのか分からなくて(笑)。定番は「極旨豚まん」ですけど、他に「赤ワイン仕立ての本格ビーフシチューまん」、「旨辛みそまん」、「まるごと餃子まん」とかがあります。お肉が苦手な方もいるでしょうから、「お肉が入っていないヘルシー野菜まん」も。スイーツまんもあんまんだけじゃないんですよ。「笹川流れの塩キャラメルまん」や「初恋のメロンくり〜むまん」などなど、たくさんの種類をご用意しています。
——大武さんのいちばんのお気に入りは?
大武さん:「私たちが提供したい肉まんをかたちにできたな」と思うのは「プレミアムえび豚まん」です。一般的なえび豚まんって、中華まんに近い味付けだったり、高菜とえび餡の組み合わせだったりすることが多いんですけど、うちの「えび豚まん」は和風の餡にむきエビがゴロゴロと入っています。試作段階で「もっとエビをたっぷり入れよう。もっと、もっと」って、生地に入れられる限界までエビが詰まっているんです。
——こだわりの生地はどんな仕上がりにしているんですか?
大武さん:生地に強力粉を多めに使っていて、もちもち感と柔らかさを感じてもらえるように意識しています。かなりふわふわした感じの生地ですよ。炊きたてのご飯を食べたときのような口当たりをイメージしています。
——じゃあ、今まで食べてきた肉まんとはちょっと違う食感なんですね。
大武さん:マーケティングの段階で、新潟の皆さんは、従来の中華まんみたいな重ための生地より「ソフトなんだけど食べ応えがある食感」を好まれたんです。そんな新潟人の好みに寄せた肉まんを東京でテスト販売したんですけど、「今までの肉まんとは生地が違う」、「美味しいものがたくさんある新潟の素材を使っているからこんな肉まんになるんだね」って好評でした。
——野暮なことを聞きますが、暑い今の時期の肉まんの売れ行きはどうなんでしょう?
大武さん:今は閑散期ではありますね。夏はかき氷屋に業態変更したり、店頭売りをせず通販だけに絞っているお店もあるくらいです。でも「新潟の皆さんに普段から肉まんを食べていただきたい」と思っている私たちから、夏に肉まんを食べる選択肢をなくしてしまってはダメですよね。5年後、10年後でもいいから「新潟名物として定着させたい」と願っているので、意地でも「肉まんだらけの店」はオールシーズン肉まんを提供し続けます。
——さて、最後に今後の展望について教えてください。
大武さん:新潟の皆さんに「肉まんだらけの店」の肉まんが馴染んでいくといいなぁ、と思っています。関西の有名肉まんみたいに、お土産の大定番になるような。そのためにも今後も店舗展開をしていきたいと思っています。店名の通り、いろいろな肉まんを揃えているので、どなたでも、どんなシチュエーションでも楽しく選んで、召し上がっていただく。そんなふうに新潟の皆さんの日常にフィットするお店づくり、メニューづくりをしていきたいです。
肉まんだらけの店 万代本店
新潟市中央区万代1-3-1
TEL:070-4121-8896