一流ホテルで腕を磨いたシェフが作るフレンチ「Belle Neige」。
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2023.02.08
新潟市東区の木戸小学校近くの住宅地に、「Belle Neige(ベルネージュ)」という名のフレンチレストランがあります。一見、普通の住居のような外観のこちらのお店ですが、実は店主の川上さんはもともとはホテルの料理人で、その料理を天皇陛下が召し上がったこともあるというすごい方なんです。今回は川上さんにこれまでの料理人生やこだわりについて、お話を聞いてきました。


Belle Neige
川上 晢生 Tetsuo Kawakami
1949年新潟市東区生まれ。服部栄養士専門学校調理科卒業。東京のホテルオークラや神奈川の横浜ロイヤルパークホテルなどで料理人としての経験を積む。2006年に横須賀市で「Belle Neige」をオープンし、2017年に新潟市へ移転する。若い頃はテニス、ゴルフ、スキーをひと通り楽しんでいた。凝り性でハマると夢中になるタイプ。
住宅地にひっそりと佇む、隠れ家レストラン。
——まさかこんな場所にフレンチレストランがあったなんて……。失礼ですけど、今まで知りませんでした。
川上さん:やっぱりそうですよね。実家の居間をリフォームして店舗にしたんです。ここは元々和室だったんですよ。

——だからアットホームな雰囲気で居心地がいいんですね。まるで友達の家のリビングみたいです。近所の人しか通らないような路地にあって、隠れ家っぽいお店ですよね。
川上さん:まあ隠れ家っぽい店にしたかったんだけど、あまりに隠れ家すぎてお客様が来てくれないんですよ(笑)。それに道が狭くて駐車場に車を停めにくいから、お客様には嫌がられています。
——「隠れ家すぎた」って(笑)。「Belle Neige」をオープンされたのはいつなんですか?
川上さん:新潟に帰ってきて、この場所で営業をはじめたのが5年前。その前は横須賀で10年くらい営業していたんです。
——5年前っていうことは、そのとき川上さんは70歳近くですよね。
川上さん:「70歳近くなって店をはじめるような奴はいない」って、周りから言われました。でもここで終わりたくはなかったし、もうひと頑張りしたかったんだよね。

——川上さんの料理人生を教えてください。
川上さん:大学進学したかったんだけど、高校時代に遊びすぎて志望大学に入れなかったんです(笑)。そこで「いつか自分で飲食店をはじめよう」と思って、東京にある専門学校で調理の勉強をしました。
——学校を卒業した後は洋食をやろうと決めていたんですか?
川上さん:最初は和食がやりたかったんです。将来お店をはじめるときは、洋食店よりも和食店の方が楽だと思ったんですよ。和食は箸だけでいいけど洋食になるとナイフ、フォーク、スプーンと何種類ものカトラリーが必要になるからね(笑)
——え、そこですか(笑)。じゃあ、どうして洋食をやることになったんですか?
川上さん:親戚の勧めで東京のホテルオークラに勤めることになって、そこで洋食を作ることになったんです。勤めていた25年の間にオランダや上海のホテルへも出向したし、三菱グループの迎賓館「開東閣(かいとうかく)」では昭和天皇が召し上がるお料理を作らせていただきました。

——て……天皇陛下にお料理を? そのときって、どんな様子だったんですか?
川上さん:うーん……やっぱり調理場は普段よりピリピリしていました。粗相があったら大変だから。天皇陛下はお料理が運ばれるたび、一品ごとに「食べていいか」を皇后陛下に訪ねてから召し上がっていて微笑ましかったですね。健康上の理由があったのかな。
——すごい経験じゃないですか。
川上さん:実はその後、横浜ロイヤルパークホテルに移ってからは、平成天皇にもお料理を作らせていただいたんです。さすがに令和天皇にはお作りしていないけどね(笑)
——まさかの二世代にわたって……。横浜ロイヤルパークホテルではどれくらい働いていたんですか?
川上さん:13年間勤めていたんだけど定年前に退職して、横須賀で「Belle Neige」をはじめました。奥さんとふたりでやっていたんだけど、とにかく忙しかったんですよ。ランチタイムだけでも40人くらいのお客様が来てくれていたし、夜も寝る暇なく働いていました。その割に家賃は高いし、購入したマンションのローンなんかもあったから全然お金が残らないんですよ(笑)。ふたりですっかり疲れ果ててしまって、新潟に帰ってきました。

気軽に楽しく、フランス料理を味わってほしい。
——こちらのお店ではどんなお料理を?
川上さん:ランチタイムでは洋食のランチセット、ディナータイムは完全予約制でフレンチのコース料理を提供しています。コースは5,000円から10,000円まで用意していますけど、それ以上でもご相談いただければ対応できますよ。
——川上さんのこだわりを教えてください。
川上さん:自分が美味しいと思うものしかお出ししません。あとはお客様をお待たせしないようにすること。お客様が席に着いたらできるだけ早く温かいスープをお出ししたり、コース料理の間が空きすぎないように気をつけたり、タイミングには気を使っていますね。

——でも、おひとりで調理していると大変じゃないですか?
川上さん:そうなんです(笑)。だから3組以上のお客様は対応できないんですよ。せっかくうちのお店に来ていただいた以上は、楽しい時間を過ごしていただきたいですからね。楽しい気分で食事すればより美味しく感じるし、嫌な気分で食事すれば美味しくなくなると思うんです。ぜひ気軽に楽しく召し上がっていただきたいですね。
——とはいっても「フランス料理」って敷居が高く感じて、どうしても身構えちゃいますよね。
川上さん:「フランス料理」ってテーブルマナーを守って食べなければいけないイメージがあるかもしれないけど、周りの人が不快になるようなことをしなければ、別にルールなんてないんですよ。うちはナイフとフォークも1本ずつしか出さないし、お箸もおつけしますから、好きなように召し上がっていただきたいですね。もちろんおっしゃっていただければ、ナイフやフォークのお取り替えもしますよ。

——箸で食べられるのは日本人にとってありがたいですね。
川上さん:新潟の人たちにはフレンチに馴染んでいただいて、もっと気軽に楽しんでほしいんですよ。新潟っていい食材がたくさんあるから、ご家庭でも美味しいお料理ができると思うんだけど、フレンチレストランではご家庭で作れないお料理を提供していますので、ぜひ食べに来ていただきたいですね。

Belle Neige
新潟市東区中山2-20-21
025-383-6856
11:30-13:30(L.O.13:00)/ディナーは完全予約制
日月曜・祝日休
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