昨年8月、燕市にオープンした「中華蕎麦 おか部」。同じく燕市にある「麺豪 織蔵」の店主でもある岡部さんがはじめたラーメン屋さんです。小料理屋さんのような高級感ある店内で、透き通ったスープや盛り付けが美しいラーメンを味わうことができるんだとか。岡部さんに、ラーメンへのこだわりやお店づくりについてお話を聞いてきました。
中華蕎麦 おか部
岡部 伊織 Iori Okabe
1990年燕市生まれ。高校生のときに燕市内のラーメン屋さんでアルバイトをはじめる。様々なお店で経験を積んだ後、9年ほど前に「麺豪 織蔵」をはじめる。2022年8月に燕市で「中華蕎麦 おか部」をオープン。
——岡部さんはここだけじゃなくて、他にもラーメン屋さんをやっているそうですね。
岡部さん:このすぐ近くでもう一店舗「麺豪 織蔵」っていう店を、9年ほど前からやっています。そっちは二郎系なので、こことはまったくタイプが違うんですけどね。
——そうだったんですね。でもどうして燕市で二郎系をやろうと?
岡部さん:「織蔵」をはじめるときに、鶏のあっさり系ラーメンの店にするか、二郎系ラーメンの店にするかで悩んでいて。なぜそのふたつかというと、どちらもこのエリアにはないラーメンだったからなんですよね。うちが走りになろうかな、なんて思っていました。
——なるほど。
岡部さん:当時居抜きで見つけた物件が赤のコの字型カウンターだったので、雰囲気的に二郎系の方が合うかなと思ったんです。だけど、ゆくゆくは鶏のあっさり系もやりたいなとずっと考えていました。
——そもそもラーメン屋さんを目指すようになったのはいつからなんですか?
岡部さん:長岡にある「麺の風 祥気」の横山さんという人が、独立する前にこの近くのラーメン屋で店長をやっていたんです。当時僕は高校生で、そこでアルバイトをしていました。それからは横山さんが辞めたら僕も辞めて同じところに行くっていうのを繰り返して、ずっとついていっていましたね。その流れでラーメン屋さんを目指しました。
——へ~、それだけ横山さんが魅力的な方だったんですね。
岡部さん:人柄なんですかね。歳はひとまわり離れているんですけど、本当にただただ仲がよくて。ついていっていると、やっぱり自然と同じ道になっちゃうのかな。分からないことがあったら気軽に聞けますしね。「祥気」も鶏を使うスタイルのラーメンなので、ようやく僕もはじめられた、という気持ちです。
——それにしても、どうしてこのタイミングではじめることに?
岡部さん:店を開こうとして先延ばしになることは、これまでもあったんです。カウンターがあって、高級感が出せそうな雰囲気の場所をずっと探していて。そんなときにイメージとドンピシャのこの場所を見つけたんです。レシピ自体はずっと前から寝かせていたので、去年の6月に店舗を見つけてから2ヶ月でオープンさせました。
——こちらではどんなラーメンが食べられるんでしょう?
岡部さん:鶏を使ったあっさり系のラーメンで、基本は醤油と塩の2種類です。今だけの限定で、のどぐろダシを使った「のどぐろそば」も出しています。
——美味しそう……。ダシやスープについても教えてください。
岡部さん:レシピを作った当時から「鮭だし」という、鮭節のダシを使いたいという前提がありました。数値的な話をすると、鰹節よりも鮭節の方が含まれているうまみ成分の量が多いんです。そこに貝ダシと、まろやかになりすぎないように群馬県の醤油屋さんの「生揚げ醤油」を合わせてキレを出しています。
——細かい材料までとてもこだわっているんですね。
岡部さん:スープはとにかく鶏がガツンと来るようにしたくて、水と鶏ガラの比率も鶏を多めにしています。油も鶏感が強くなるように、親鳥の黄色い油を使っています。
——ラーメンには3種類のチャーシューが乗っていますね。
岡部さん:豚肩ロースと豚の腕肉、それと鶏胸肉のチャーシューです。「特製」という別皿のチャーシュー盛りを頼んでもらえると、牛ももと豚バラもついてきます。なので、チャーシューは合計5種類ですね。
——メニューにある「和え玉」というのは?
岡部さん:替え玉をタレと油に絡めたもので、そのまま混ぜて食べてもらいます。大盛をやっていないので、その代わりに替え玉や和え玉を用意しています。
——店内にもこだわりが感じられて、綺麗なラーメンがより映えますね。
岡部さん:どんぶりにもこだわっていて、今限定で出している「のどぐろそば」には有田焼の器を使っているんです。正直ラーメンの価格は高めだと思いますし、妥協できないなっていう思いもあるので、こだわりを出せるところは出していきたいんですよね。
——こう落ち着いた雰囲気のお店だと、お客さんの層も幅広そうですね。
岡部さん:家族連れや若いカップル、女性ひとりの方、年配の夫婦とかガテン系の人とか、幅広いですね。ただ、お店の雰囲気を作りこみすぎてしまったのか、かしこまっちゃうお客さんが多いんですよね。だけど僕、本来はめちゃくちゃおしゃべりなので、お客さんと話したいんですよ(笑)
——カウンター席がメインのお店にしたのにも、お客さんと話せたらいいなっていう思いもあって?
岡部さん:そうなんです。だけどいざはじめてみたら、思っていたよりも厨房とお客さんの距離が遠かったんですよね。話しかけてもらえることもあるんですけど、厨房に声が届きにくいせいで会話が成立していなかったり……。
——それは切ないですね……。
岡部さん:前にあったのが、他のお店からもらった開店のお祝いをお客さんが見て、「このお店と関係があるんですか?」って聞いてくれたんですけど、僕は「和え玉まだ大丈夫ですか?」に聞こえて「全然大丈夫ですよ」って答えちゃったんですよね(笑)。あとでスタッフに言われて、嚙み合っていなかったことに気づいて。
——あらら。でも岡部さんとしては、話しかけてもらって全然OKということですね。
岡部さん:そうですね。自分が話していると、周りのお客さんも話しやすくなるのかなとは思います。でも静かな雰囲気が好きで来るお客さんもいるだろうし、そこは難しいですよね。もうちょっと気楽に食べてもらって大丈夫ですよ、とは思っています。
——最後に、これからお店を通じてチャレンジしてみたいことはありますか?
岡部さん:釣りとか山菜採りが趣味なんですよ。時期によっては素潜りして魚を突いたり。「織蔵」では自分で釣った魚を煮干しにして、煮干しラーメンにして出していたので、こっちでも自分で釣ったものとか採ったものを使って何かできたら面白いだろうなって。徐々にいろいろ試してみながら、お店で出せるクオリティまで高められたら挑戦してみたいですね。
中華蕎麦 おか部
燕市井土巻2-352 県央ヒルズ内
11:30-14:30/18:00-20:30 ( L.O. 20:00 )
月曜定休(日火不定休)