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生産者自慢の美味しい野菜を販売する「ピカリ産直市場お冨さん」。

たくさんの野菜や果物が収穫される「実りの秋」。農業人口の減少や減反など厳しい状況のなか、農家さんに寄り添って農産物を直売しているお店があります。「ピカリ産直市場 お冨さん」です。今回は真っ黒に日焼けした冨山店長から、農産物直販所の苦労や喜びをお聞きしました。

 

 

株式会社 冨山

冨山 敦史 Atsushi Tomiyama

1981年東京都生まれ長岡市育ち。中央学院大学卒業。長岡市内のラーメン店で働いた後「株式会社 冨山」に入社。2006年にオープンした「ピカリ産直市場お冨さん」の取締役となる。日光浴が趣味で小麦色の肌がまぶしい。

 

新しい産直市場を任されることになった、若き店長の苦労。

——「ピカリ産直市場お冨さん」の親会社「株式会社 冨山」って、どんな会社なんですか?

冨山さん:僕の叔父が社長を務めている、肥料や農薬、農業資材を扱う会社です。

 

——じゃあ農業と深く関わっている企業なんですね。冨山さんは最初から「株式会社 冨山」で働く予定だったんですか?

冨山さん:大学を出てから「株式会社 冨山」に入社して中国で営業をしないかという話があったんですけど、僕は接客業がやりたかったので断って、地元のラーメン店に就職しました。

 

——ラーメン店での経験は勉強になりましたか?

冨山さん:基本的な社会人としての心構えを厳しく叩き込まれましたね。よく営業前の仕込みに短パンで行ったり、制服のキャップをかぶらずに出勤したりして叱られました。

 

 

——叱られる理由に若々しさを感じますね(笑)。その後は一度誘いを断った「株式会社 冨山」に入社することになったんですよね? それはどうしてだったんですか?

冨山さん:新しくオープンする「ピカリ産直市場お冨さん」を任せてもらえるということだったからです。やりたかった接客業だし、なにより24歳の若さで店を任せてもらえることにやりがいを感じましたね。

 

 

——「ピカリ産直市場お冨さん」って、新潟の産直市場では先駆けのイメージがあります。

冨山さん:2006年に新潟卸団地で1号店をオープンしたんですけど、そのときもう何軒か、新潟市内に産直市場はありましたね。でも今ほど多くはなかった時代だから、他の産直市場を回って勉強させていただきました。

 

——スタート当初は苦労なんかも多かったんじゃないですか?

冨山さん:生産者さんとのツテが全然なかったですからね。農作業中の畑におじゃまして、説明会へのお誘いをして回りました。でも、どこの馬の骨かもわからない若造の話を聞いてくれる人は少なくて、当時はなかなか理解を得ることができなかったですね。

 

——最初はなかなか大変だったんですね。

冨山さん:でも「ピカリ産直市場お冨さん」がオープンして、お客様が来てくれるようになると、少しずつ協力してくれる生産者さんが増えていきましたね。

 

生産者に寄り添い、消費者とつなぐ直販所を目指す。

——青果をメインにいろいろな商品が並んでいますね。どんな商品がおすすめですか?

冨山さん:春は圧倒的にいちごですね。夏は枝豆、秋はお米、冬はルレクチェです。青果に限らず「新潟」を感じていただける商品にこだわっています。

 

——確かに新潟らしい商品が多いですね。生産者さんとの関係で意識していることはありますか?

冨山さん:やっぱり生産者さんがいてはじめて成り立つ商売ですから、お互いの信頼関係を大切にしています。それから生産者さんを消費者の皆様に推すことも意識していますね。それぞれの生産者さんにファンがつけば生産量が上がって作付け面積も増えるし、肥料や農薬の需要にもつながるわけですよね。

 

——なるほど。「ピカリ産直市場お冨さん」にとっても「株式会社 冨山」にとっても、生産者さんは大切な存在なんですね。ちなみにどのようなかたちで生産者さんをお客さんに紹介しているんでしょうか。

冨山さん:生産者さんの畑で収穫体験イベントを開催したり、店内のパネルやSNSを使って、どんな作物を作っている農家なのかを紹介したりしています。

 

 

——生産者さんに寄り添っているのがよくわかりますね。

冨山さん:あと青果のブランディングも行っています。例えば、契約農家さんのなかに、むちゃくちゃ甘くて大きいいちごを作るところがあるんです。そのいちごに「天使の初恋」という名前をつけてブランド化しています。もちろん、いちごの質がよくなければいけません。大きさはもちろん、糖度も16度以上という条件をクリアしたものに限定しています。普通のいちごは12度くらいですが、16度だとぶどうに匹敵する糖度になります。

 

——いい生産物はブランド化することで、しっかりした価格で販売したいということですよね。

冨山さん:そうなんです。そうすることで、生産者さんに少しでも多くの利益が残るようにしたいんですよ。

 

——でも価格が高くなると売れなくなるんじゃ?

冨山さん:ところが1シーズンで7,000パックも売れたんです。ECサイトでも飛ぶように売れました。やはり質のいいものは高くても売れるということが証明されたんじゃないでしょうか。他に「天使の唇」というブランドプチトマトもありますよ。

 

 

——へ〜、安さだけがたくさん売る方法ではないんですね。ところで、お店の前や入口付近には観葉植物やドライフラワーが並んでいますね。あれは人気商品だから目立つ場所にあるんでしょうか?

冨山さん:元々は僕の趣味からはじめたものなので、あんまり売れないんです(笑)。青果市場に観葉植物やドライフラワーが売られているとは誰も思いませんよね。でも、多くのお客様がその場所を写真に撮っていってくださるんです。そこで思い出すのが「健全な非効率」という言葉です。直接利益にはつながらないかもしれませんが、お店の役には立っていると思うんですよね。そういう挑戦は続けていきたいと思っています。

 

 

——今後はどんなことに挑戦していきたいですか?

冨山さん:いつか畑のある広い土地で、レストランが併設された青果直売所をやりたいんです。農業体験ができて、食事や買い物もできるような。それだけじゃなくて、キャンプやバーベキューもできる「村」を作れたらいいですね。「ピアBandai」にはいろんな食のプロが集まっていますから、みんなで協力して何か新しいことができたらいいなって思っています。

 

 

 

ピカリ産直市場お冨さん ピアBandai店

新潟市中央区万代島2-3 ピアBandai内

025-384-4077

9:00-19:00(冬期は18:00まで)

1/1−1/4休

 

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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