2022年11月、新発田市上内竹に「Pizza tartaru(ピッツァ タルタル)」がオープンしました。新発田市街から少し距離があるこの地域は、店主の赤澤さんの育った町でもあるのだとか。この地でお店をはじめたきっかけなど、赤澤さんにいろいろとお話を聞いてきました。
Pizza tartaru
赤澤 竜也 Tatsuya Akazawa
1993年新発田市生まれ。新潟調理師専門学校を卒業後、新発田市と新潟市のレストランで働く。営業職の経験を経て2022年11月に「Pizza tartaru」をオープン。漫画やアニメが好きで、料理の世界に興味を持ったのも「美味しんぼ」がきっかけ。
——赤澤さんは昔から料理に興味があったんですか?
赤澤さん:小さい頃、父親が持っていた「美味しんぼ」を読んで料理人に憧れるようになりました。「美味しんぼ」ってグルメ漫画のようで、実は人情物語でもありますよね。「食」でいろいろな人の困りごとを解決する。そんなところが大好きでした。
——お店を持つまではどんなご経験を?
赤澤さん:専門学校を卒業して、最初は新発田のレストランに入社しました。そこでピザ作りやコーヒーの淹れ方を学んだことが今につながっています。その後、新潟市のイタリアンレストランで6年間働いてから、2022年の6月までの約1年間は営業の仕事もしました。ずっと飲食業しかしてこなかったので、30歳になる前に他の仕事も経験した方がいいだろうと思って。
——6月まで営業のお仕事をされていたとは驚きました。だって「Pizza tartaru」さんがオープンしたのは11月ですよね。どんな経緯でお店をはじめることになったんでしょう?
赤澤さん:それまで飲食業に対して「ずっとやっていける仕事なんだろうか」という迷いがあったんです。それで営業職に挑戦したんですけど、いろいろな事情が重なって仕事もプライベートも思うようにいかなかったんですね。そこで改めて「自分は何がしたいんだろう」と考えて、「やっぱり大好きな飲食の仕事をやりたい」と思いました。それで7月からレストランに勤めたんですが、ここでもいろいろな事情があり9月に辞めたんです。退職の話を済ませた後、カフェでコーヒーを飲んでいたら、昔からの知人から電話がかかってきまして。「赤澤さん、ピザ屋やってみない?」って言われたんです。物件を紹介されて見に行ったら、そこにはお店をはじめるための道具がだいたい揃っていました。一目で気に入り、すぐに開店準備に取り掛かりました。
——ものすごくグッドタイミングなお誘いがあったんですね。
赤澤さん:正直に言うと、学校を卒業して働きはじめてからずっと「キツイな、社会人……」って思っていました。自分で何かをはじめることも難しいだろうと思って、お店を持つことなんて考えずにいたんですけど、勤め先を辞めたとき「これからは自由にやろう」「自分で好きなことをやるんだ」って覚悟が持てたんですよね。そしたらこの物件の話が舞い込んできました。場所もすごくよかったんですよ。市街から離れていて分かりにくいんですけど、僕が通っていた中学校があるところなんです。よく知っている場所だったから「ここでならなんとかやっていける」って、初めて来た日にそう思えたんです。
——いろいろなご経験をされた赤澤さんが手に入れたお店が「Pizza tartaru」なんですね。
赤澤さん:僕は接客が大好きなんですよね。なのでここでいちばんやりたいことは「接客」です。接客ほど正解がないものはないと思っています。同じ言葉遣いや気遣いでも、お客さまによって「好き」「好きじゃない」がある。そこに楽しさを感じるんです。
——今は赤澤さんおひとりでお店をやっているわけですよね。混雑時はどう対応しているんですか?
赤澤さん:エンジンがひとつなので、混み合ってきたときには「お待たせしてしまいます。時間は分かりません」と正直にお伝えしています。それでも待っていてくださる寛容な方が多くて。お客さまにも恵まれています。
——ということは、お店は盛況なんですね。
赤澤さん:当初不安に思っていたのは「皆さんは月に何回くらいピザを食べるんだろう」ってことでした。でも実際にお店をはじめてみたら、予想以上に繰り返し来てくださる方が多くって。
——リピーターさんが多い理由は何だと思います?
赤澤さん:う〜ん。分からないなぁ。ここは住宅と工場は多いけど、飲食店が少ないからかもしれません。あと僕は飽き性なので、通常のボードメニューに加えて日替わりのメニューを用意しているんです。それがいいのかも。
——日替わりピザ、いいですね!
赤澤さん:メニューを決めるときには分かりやすくてシンプルな言葉を選ぶようにしているんです。お客さまがどんなピザか想像しやすいようにしたいんですよね。
——その気遣いも赤澤さんならではなんでしょうね。
赤澤さん:地元の皆さんが気取らずいつもの姿で来ていただけるようなお店にしたいと思っているんです。「Pizza tartaru」はイタリア仕込みのナポリピザが食べられる、そんな本格的な店ではありません。新発田生まれ新発田育ちの僕が、新発田の皆さんに作るピザの店。僕が作っているのは「ピッツァじゃなくてピザ」なんです。
——これからはどんなお店にしていきたいと思っていますか?
赤澤さん:地域に必要とされるお店にしたいですね。お客さまが欲しがるものを出したいので、味の感想やリクエストを聞くようにしています。お店によっては「シェフが食べて欲しい味」を提供するところもあるでしょうけど、僕はこの地域の皆さんの好みに合うものをご用意したいと思っています。地域に根ざしたお店づくりがいちばんの目標です。
——リクエストを言えるって嬉しいですね。
赤澤さん:お客さまがレストランで「こうして欲しい」って要望を伝えるって、けっこう勇気がいることだと思うんです。だからその言葉には真剣に受け答えしないといけないし、そうする責任があると思うんです。この前は甘いピザをリクエストされて、お店にあった自家製のブルーベリージャムとリコッタチーズで一品作りました。リクエストにすべて応えられるわけではありませんけど、「できそうだな」と思ったことはやった方がいいと思っています。
Pizza tartaru
新発田市上内竹861-9
営業時間:11:00〜19:00(18:30 L.O)
定休日:火曜日