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カスタムボードでサーフィンをもっと楽しく「RAZZLE-DAZZLE-DESIGN」。

日本海側の中でも特有の波があるという新潟の海。特徴ある波を乗りこなすには、技術だけでなく道具選びも重要なんだそう。サーフボードブランド「RAZZLE-DAZZLE-DESIGN」は、その人に合わせたフルカスタムのボードをメインに、ウェットスーツなどを完全オーダーメイドで作っています。「RAZZLE-DAZZLE-DESIGN」の委託販売をしている新潟市中央区の「DAY WORK&COMPANY・TOKYO」にお邪魔して、ブランドを運営する黒脛巾さんに、活動をはじめた経緯やサーフィンの面白さについて聞いてきました。

 

 

RAZZLE-DAZZLE-DESIGN

黒脛巾 將太 Shota Kurohabaki

1981年福島県生まれ。24歳のときにワーキングホリデー制度でオーストラリアへ渡る。1年半滞在した後福島に戻り、2011年に新潟へ移住。企業に務める傍ら、昨年7月にブランド「RAZZLE-DAZZLE-DESIGN」を立ち上げ、サーフボードやウェットスーツのオーダー販売をはじめる。伊達政宗に仕えていた忍者集団「黒脛巾組」の子孫なんだとか。

 

福島から新潟に越してきて感じた、波の違い。

――黒脛巾さんはサーフィンをはじめて長いんですか?

黒脛巾さん:今43歳で、16歳のときから続けています。出身が福島県の南相馬市なんですけど、遊ぶとしたらバイクに乗るか海に行くかバンドをやるか。それくらいの選択肢しかないところで。サーフィンをやっている仲間が多かったのもあって自分もはじめて、地元のサーフショップに通っていろいろ教わりましたね。

 

 

――サーフィンを仕事にしたいな、とは昔から考えていたんでしょうか。

黒脛巾さん:そうですね。地元にウェットスーツとかサーフボードの工場がけっこうあって、もともとサーフボードビルドに興味があったのでよく出入りしていたんです。それから24歳のときかな、ワーホリでオーストラリアに行きまして。

 

――オーストラリアもサーフィンのイメージがあります。

黒脛巾さん:サーフボードのコア部分は「ブランクス」っていう素材を削って作られるんですけど、前はアメリカの会社がブランクスのシェアを6割ぐらい占めていたんです。でも自分がオーストラリアにいたときに、その会社がなくなってしまって。それでオーストラリアにも新しい工場がどんどんできて、ひょんなことから自分も働かせてもらえることになりました。

 

 

――オーストラリアでもサーフィンに携わるお仕事をされていたんですね。

黒脛巾さん:ビジネスビザを取って、オーストラリアに永住するつもりでいたんです。でも親父が手術を受けると知って、日本に戻ることになりました。そしたらその数年後に震災があって。

 

――そうでしたか……。

黒脛巾さん:2階建てのおばさん家の1階部分が津波にやられて、その残骸を出す作業を手伝いました。親戚一同でおばさんの家を再建して。それから新潟に来たのが2011年3月20日。ワーホリで知り合った友達が新潟の人で、震災があった翌々日だかに「新潟に避難しないか」って連絡をくれたんです。ワーホリに行っていなかったら新潟で商売をすることはなかったですね。

 

 

――新潟に引っ越してからはどうされていたんですか?

黒脛巾さん:すぐに仕事が決まって、燕に住むことになりました。それから半年後ぐらいかな。気分転換でサーフィンをしに行ったんですよ。太平洋側で使っていた道具を使ってみたんですけど、まったく調子がよくなくって。新潟って日本海側の中でも特徴のある場所で、それまでとは波がぜんぜん違ったんです。パワーのない波が多いというか。道具とか乗り方とかの問題もあったし、それから3年くらいはサーフィンをしていませんでした。

 

――やっぱり地域によって波もぜんぜん違うものなんですね。

黒脛巾さん:でも誘われて久しぶりに海へ行ったとき、「やっぱりサーフィンって楽しいな」と思って。道具もいろいろ試行錯誤して、オーダーをかけるときにも工夫したんですけど、これをやるんだったら自分でブランド化して、製作を頼めるところを探そうと思いました。

 

その人がやりたいサーフィンのスタイルを叶える、カスタムサーフボード。

――それでブランドを立ち上げられたんですね。

黒脛巾さん:今は、湘南の平塚にある「Wizard surfboards factory」さんにOEMで作ってもらっているんです。他のドメスティックブランドとか海外の有名ブランドとかで、新潟にフォーカスを当ててものづくりをしているところってないんですよ。それを自分でやってみたら、ドンピシャでハマったというか。こんなに違うかっていうくらい違ったんですよね。

 

――波の特徴を踏まえてサーフボードを作ると、それだけ乗り心地が変わるんですね。黒脛巾さんはどういうふうにお客さんへヒアリングしているんですか?

黒脛巾さん:うちはカタログとか、決まったモデルとかがないので、その人に合わせて作っているんです。乗っている車とか、住んでいる家のことも聞きます。

 

――えっ、車や家のことも聞くんですか?

黒脛巾さん:アパートの2階に住んでいるならロングボートだと運ぶのが大変だし、もしかしたら車に入らないかもしれない。それならロングみたいな乗り味で、車に入って、2階まで運びやすいものを提案することもできます。

 

――へ〜! そこまで考えて作ってくれるんですね。

黒脛巾さん:あとは、その人がやりたいサーフィンのスタイルをお聞きしています。がんがんターンしたい人だったり、のんびり乗りたい人だったり、さまざまなんですよ。そういうふうに聞いた要望を作り手に分かる言葉に言い換えて打ち合わせをするんです。それが僕の仕事ですね。

 

サーフィンを、もっと身近に感じられるカルチャーにしていきたい。

――オーダー依頼される方は、やっぱりある程度サーフィン経験のある方が多いんでしょうか?

黒脛巾さん:いや、そんなことないですよ。この「DAY」さんで委託販売させてもらうようになってからは、新規で「サーフィンに興味があるんですけど、はじめられますか」っていう方がめちゃくちゃ多いですね。そういう方にはものを売るだけじゃなくて、サーフィンのルールやマナーも一緒に教えています。あとはどういうスタイルで乗りたいかを聞いて、色や形は自分の好きなようにフルカスタムしてもらえます。

 

――初心者でも、どうせはじめるなら自分の気に入ったボードを使いたいですよね。

黒脛巾さん:フィーリングで「このボードがいいな」っていうところから入ってもぜんぜんいいんですよ。サーフィンが上手になりたいんだったたら、また違う勧め方をしますし。全部自由でいいんです。

 

 

――道具の選び方も楽しみ方も、自由でいいんですね。

黒脛巾さん:僕はもっとサーフィンが身近なカルチャーになってほしいんです。子供とキャッチボールするぐらいの身近さ。キャッチボールの楽しみ方って自由じゃないですか。でもある程度のモラルは必要で。公園でちっちゃい子が遊んでいたら近くでやらないとか、間違って窓ガラスを割っちゃったら謝りにいくとか。そういう最低限のモラルを守っていれば、ある程度自由でいい。サーフィンも一緒だと思うんです。

 

――なるほど。そんなに構えすぎずにはじめていいと。

黒脛巾さん:サーフショップに行かないとサーフィンをはじめられないとか、そういうんじゃなくて、もっと身近に感じられるようなカルチャーにしていきたいですね。

 

――黒脛巾さんはサーフィンのどんなところに魅力を感じて続けているんでしょうか?

黒脛巾さん:浮遊感というか、フロー感を感じるところですね。16歳のときに初めて立てたときは「空を飛んでいるみたいだ」って思いました。会社で嫌なことがあっても、サーフィンをしているときは他のことを考える余裕なんてないんです。そこがすごくいいですよね。

 

 

 

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