「おかげさま」がかたちになった、
江南区の「shop&gallery katannu」
その他
2026.04.11
江南区の住宅街にある「shop&gallery katannu」。20年以上介護士として働かれていた渡辺さんが、昨年はじめたお店です。お店の中には、県内外の作家さんが作った器や工藝品などが販売されています。今回は、お店にお邪魔して、渡辺さんのこれまでのことや、お店をはじめることになったきっかけ、これからのことなど、いろいろお話を聞いてきました。
渡辺 希巳江
Kimie Watanabe(shop&gallery katannu)
1977年新潟市出身。介護士として20年以上勤務した後、江南区に「shop & gallery katannu」をオープンする。
きっかけは、いけばなの作品。
渡辺さんがお店を出すまでのこと。
――さっそくですが、このお店ができるまでのことを教えてください。
渡辺さん: もともと、20年以上介護士として働いていました。10年前に京都に住む知人からすすめられて、慈照寺(銀閣寺)で初代花方を務めた珠寳(しゅほう)先生のことを知りました。はじめて先生のお花を拝見したときは、言葉にならない衝撃を受けて。それから月に一度、京都へお花のお稽古に通いはじめました。
――毎月京都へ通うくらい、衝撃を受けたんですね。
渡辺さん:珠寳先生は、「たて花」と呼ばれる伝統的ないけばなの方法でお花をいけられています。「たて花」の特徴のひとつに、剣山を使わないというものがあります。例えば、私がいけたものには藁を使っていて、これは「にいがた製菓・調理専門学校えぷろん」さんの実習田で作られた稲なんです。昨年、稲刈りに参加させてもらって、藁をいただきました。
――ところで、介護士をしていた渡辺さんが、どうしてお店をはじめることに?
渡辺さん:お稽古のために京都へ通う中で、ギャラリーによく足を運んでいたんです。 いろんなギャラリーを巡っているうちに、自分もこういう場所を持ちたいと思うようになりました。お店をはじめようと決断したのは、コロナ禍がきっかけでしたね。介護士という仕事柄、県外に行けなくなって、お稽古にも通うことができなくなりました。そのときはすごく辛くて。京都にお花を習いに行く時間が、私にとってすごく大事なことだったのを改めて実感したんです。
――あのときだったからこそ、気づけたかもしれないですね。
渡辺さん:お花に向き合う時間だけじゃなくて、ギャラリーに行く時間も大切だったんだっていうことにも気づけました。それで「新潟で自分のお店を出そう」って決断したんです。今まで介護の仕事をしてきた私がお店を出すことに、もちろん不安はありました。でも、主人に自分の気持ちを話したとき、快く受け入れて、応援してくれて。そのおかげで、一歩を踏み出すことができました。


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飾って、使って楽しんで。
渡辺さんの選ぶ、器と道具。
――「katannu」は閑静な住宅街の中にあります。
渡辺さん:ここは、私が生まれ育った場所です。最初はもっと便のいいところにお店を出すことも考えたんですが、駐車場は欲しかったし、身体の不自由な方にも安心して来ていただけるように、段差をなくしたり、通路を広く作ったりバリアフリーにしたくて。お店のオープンの1年前には、建物は完成していました。
――オープンより1年も早く建物を完成させたのには、どんな理由があったのでしょう。
渡辺さん:経験のない私が、作家さんに作品を卸してもらえるか交渉するには、まだ説得力がないなと思ったんです。自分の本気を見てもらうために、まずお店を建てるところからはじめました。建物のレイアウトや色は、夜な夜なSNSや本を調べたり、家族に相談したりして決めていきました。
――並々ならぬ覚悟を感じます。
渡辺さん:そのおかげもあってか、以前から好きだった作家さんの作品をお取引させてもらえています。中には、個展でしか買えない作家さんの作品も、ご縁があって販売させていただいているものもあって。ダメ元で私の思いを伝えたら「その勇気を応援したい」って言ってお取引させていただけることになった方もいらっしゃいます。ここにある作品たちを眺めていると、夢の中にいるんじゃないかって思うくらいです。
――こちらのお店には、渡辺さんの「好き」がたくさん詰まっているんですね。
渡辺さん:ここに置いてある商品は、使う人によって楽しみ方は様々です。極端かもしれませんが、器に卵焼きを盛りつけるだけで感動しますし、花器に野花を一輪挿すだけでも、何も挿さずにオブジェとして飾っていただいても、いい雰囲気を作ってくれます。
――それだけ存在感がある、ということかもしれませんね。
渡辺さん:谷井直人さんという方の銀彩の器は、使うごとに変わる風合いを楽しめますし、大江志織さんのお皿は、絵柄が個性的ではあるんですけど、お料理を盛り付けると全体がすごく馴染むんです。個人的には、和食との相性がとてもいいと思っています。使うことで気づく楽しさがあると思うので、ぜひ実際に使ってもらえたら嬉しいですね。


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「おかげさま」に感謝して。
誰でも気軽に来てもらえるような場所に。
――昨年の夏にお店をはじめられました。これまでを振り返っていかがですか?
渡辺さん:関わってくださる皆さまに感謝しかないですね。介護士をしていたときとは、関わる人も生活もガラッと変わって、自分の好きな作家さんと一緒にお仕事ができることが奇跡みたいだなって思うんです。お取引先である、作家さん方をはじめ、お客さま、そして主人のおかげで「katannu」があると思っています。
――お店の名前にも「おかげさま」という意味が込められていますね。
渡辺さん:「katannu」はサンスクリット語で「おかげさま」という意味です。本を読んでいたとき、この言葉に出会って、覚えていたんです。これからは、作家さんの個展をこの場所で開くことを目標に頑張ろうと思います。あと、以前日本料理のお店で開催されたワインのイベントで花の生け込みをさせていただいたんです。その経験と「katannu」の商品を通して、お客さまの生活に活かせるお手伝いができるように精一杯努力していきたいと思っています。


shop&gallery katannu
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