レトロな純喫茶の空気感。
「黒糖クレープと珈琲 カンテラ」
カフェ
2026.04.12
キッチンカー「カンテラ」が、西蒲区に実店舗「黒糖クレープと珈琲 カンテラ」をオープンしました。「レトロな純喫茶を目指している」と、お店を営む窪田さんご夫婦。お店ではキッチンカー時代からお馴染みの黒糖クレープやコーヒーに加えて、固めのプリン、クリームソーダなど、昔ながらの懐かしいメニューも楽しめます。
左/窪田 光一
Koichi Kubota(黒糖クレープと珈琲 カンテラ)
1986年南魚沼郡湯沢町生まれ。情報処理の専門学校を卒業後、東京や新潟のIT企業でプログラマーとして働く。趣味のコーヒーを仕事にしようと、2022年にキッチンカー「カンテラ」をはじめる。2025年、旧巻町に実店舗「黒糖クレープと珈琲 カンテラ」をオープン。
右/窪田 遥
Haruka Kubota(黒糖クレープと珈琲 カンテラ)
1987年北海道生まれ。情報処理の専門学校を卒業後、東京や新潟のIT企業でプログラマーとして働く。2022年より光一さんと一緒にキッチンカー「カンテラ」をはじめる。「黒糖クレープと珈琲 カンテラ」副店長。「fleur(フルール)」の名で、リラクゼーションやつまみ細工、占いもしている。
キッチンカーから実店舗へ。
西蒲区で出会った、理想の物件。
――キッチンカーからお店へとかたちを変えた「カンテラ」さん。いったいどうして店舗を構えることにしたんですか?
光一さん:以前からお店を持ちたいと考えていたんですが、資金面のハードルも高くて、「実現はまだまだ先のことだろうな」というのが本音でした。
遥さん:でも、私たちにとってちょうどよいタイミングで、「マキエキマエ」の店長さんがこの物件の大家さんを紹介してくれたんです。大家さんは、カフェや喫茶店をはじめたい人を探していたようで。
――タイミングもバッチリだったんですか?
遥さん:地震の影響で、以前借りていた住まいを移ることを決めていました。引っ越し先を内見済みの別物件に決めようと思っていたところで、この店舗兼住宅を知ったんです。
――最初にここへ来て建物を見たとき、ご夫婦でどんなやり取りをしたか覚えています?
光一さん:この建物は、もとはラーメン店だったんです。オープンキッチンだったので、落ち着いた雰囲気の喫茶店になるんだろうか、と多少の心配がありました。でも大家さんはとてもよい方だし、住まいを探していて、しかも飲食店をはじめたいと思っている私たちにとっては、願ってもない物件。それで、妻の占いを頼ってみたんです。
遥さん:なるべく主観を入れないように占いました(笑)。当初検討していたお家に引っ越す場合は、安定はするけれど、うしろ髪を引かれるような未練が残る。こちらに引っ越してきた場合、不安や苦労はあっても後悔はないだろう、という感じで。最終的には、お店を持ちたいという気持ちを大事にしたんです。

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お皿で味わうクレープと、
腰を据えて過ごす時間。
――厨房が広いので、キッチンカーのときより快適に感じることは多いのでは?
光一さん:それがですね、当初はけっこう戸惑ってしまって。しばらくはキッチンカーの方がやりやすいな、と思っていました。何でもひょいと手が届いていたのに、カップやお皿を取りに行くにも歩かなくちゃいけないもので(笑)
遥さん:物を置くスペースが増えて便利ですし、お互いがぶつからないように気をつかわなくていいので快適です。でも、なかなか慣れなくて。厨房からお席までオーダーを取りに行くことも、なんだか新鮮です。キッチンカーのときは、注文もお客さまの目の前ですぐお聞きしていましたから。
――お店だからできることも当然ありますよね。
光一さん:シュガーバター系のクレープは、お皿で提供するスタイルにしました。バニラアイスを添えることもでき、ナイフとフォークで召し上がっていただきます。
遥さん:お客さまに、お店の中でゆっくり過ごしていただけるようになったことがとても嬉しいですね。寒い中、暑い中でお待ちいただかなくてよいので、こちらもホッとしています。
光一さん:お皿を下げるときやお会計のときに、その場で食事の感想を聞けるのも嬉しいよね。キッチンカーでも、次に来てくださったときやSNSで感想を教えてもらうことはあるけど、その機会がより増えました。とても励みになります。
――今もキッチンカー営業を続けていらっしゃるんですよね。
光一さん:先日、店舗がオープンしてから久しぶりのキッチンカー営業をしてきました。
遥さん:今まで30~40分で準備が終わっていたのに、この前は1時間以上かかったよね。いつの間にか、今度はすっかり店舗のスタイルに慣れてしまっていました(笑)
光一さん:やっぱりイベントに出店するのは、楽しいですね。他のキッチンカーさんとの交流もありますし、イベントに足を運んでいる人の楽しそうな様子に、こちらもワクワクした気分になります。

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昔ながらの喫茶店らしく、
クリームソーダに固めのプリン。
――おふたりの装いも気になっているんですが、お店の雰囲気に合わせて和服を着ているんでしょうか?
遥さん:せっかくなので制服を作りたいね、という話になりまして。純喫茶みたいなレトロ感のあるお店にしたくて、となると制服は「大正ロマン」のイメージで……といろいろ考えたんですけど、動きやすさなどを考慮して作務衣にたどり着きました。
光一さん:純喫茶のマスターって、ベストに蝶ネクタイのイメージがありますよね。あの格好に憧れはあるんですけど、着慣れていないし、やっぱり作務衣が落ち着きます。
――「大正ロマン」というキーワードが出ましたが、レトロな雰囲気のお店をイメージされているんでしょうか?
光一さん:夫婦そろって純喫茶が大好きなので、そういう雰囲気のお店にしたいと思っていました。「純喫茶といえばクリームソーダでしょう」ということで、昔ながらのクリームソーダをメニューに加えました。チェリーを乗せるなんてキッチンカーではできなかったので、個人的にはけっこう嬉しいです(笑)
遥さん:私も昔ながらの喫茶店らしい「固めプリン」をメニューに加えることができて満足しています。お皿で提供するプリンは、店舗でないと提供できませんから。
――ベースのメニューはキッチンカーと同じとはいえ、より純喫茶らしくなったわけですね。
光一さん:紅茶も増えたしね。中浅煎りのコーヒーも、キッチンカー時代にはなかった新しいメニューです。

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「幸せだな」と、
ふとした瞬間に言葉が出てくる日々。
――以前は「カンテラ」さんだったけど、「黒糖クレープと珈琲」という冠をつけたとか。
光一さん:「カンテラ」が何のお店なのか、もっとわかりやすくしたいと思ったんです。それで看板商品の黒糖クレープとコーヒーを加えて、「黒糖クレープと珈琲 カンテラ」を正式な店名にしました。
遥さん:レトロな純喫茶の看板って、だいたいお店の名前だけじゃなくて「コーヒー」「喫茶」って、書いてあるじゃないですか。あの感じをヒントに、うちの看板もそうしようと思ったんです(笑)
――最後に、あらためて店舗を構えてからの心境を教えてください。
光一さん:「楽しい」がいちばん最初に出てくる言葉。でもめちゃくちゃ大変でもあります。キッチンカーで出店する場合は、出店先のお店やイベント自体に集客力があって、その恩恵に預かっているところもあります。「カンテラ」を目指して来てくださる方もいらっしゃるけど、やっぱり場の力は偉大です。それが今度からは、自分たちの力で皆さんに来てもらえるようにしなくちゃいけません。そういう意味での難しさは感じています。
遥さん:それは、私も感じていることです。でもそれよりも大きいのは「楽しい」と、あと「嬉しい」って気持ち(笑)。小さいお子さんを連れているご家族の会話が聞こえてくると、ほっこりしちゃう。心が温かくなるできごとに囲まれている感じです。
光一さん:そういえば、ふとした瞬間に「幸せだな」って口から出たことがありました(笑)。大変とは思いつつ、今、人生のひとコマ、この状況でいられることがすごく幸せなことだな、と思って。たくさんの人に助けてもらったし。
遥さん:ほんとうに、そうだね。光一さんが築いてきたキッチンカー仲間には、何度も助けてもらったよね。大家さんも、この地域の方も皆さんも温かくて、人のありがたみを感じる毎日です。「カンテラ」が落ち着ける場所、疲れたときに癒される場所になったらいいな、と思っていて。私は占いもしているので、ここに来る方が悩んでいたり、しんどいと思っているときに、その重荷を軽くしてあげられたらいいな、と思っています。

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