聖籠の自然と食、サウナを楽しむ
「The Hidden Hygge — Kei」
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2026.05.23
聖籠町の「The Hidden Hygge — Kei」は、サウナと食事が楽しめる複合施設です(今年の秋頃には、宿泊も開始予定)。取材したこの日も常連さんがサウナを楽しまれていて、のんびりとした時間が流れていました。これまで長く歯科医師として働かれていたという渡辺さんに、この場所を作った経緯や、サウナのこと、カフェのことなどいろいろとお話を聞いてきました。
渡辺 恵子
Keiko Watanabe(The Hidden Hygge — Kei)
聖籠町出身。歯科医師として30年以上働いたのち、自身が生まれ育った聖籠町を盛り上げようと「The Hidden Hygge — Kei」をオープンする。
自分が生まれ育った場所で
スタートした、第二の人生。
――今日はよろしくお願いします。ここは自然が豊かな場所で、とっても癒されます。
渡辺さん:ありがとうございます。ここは私が生まれ育った場所なんです。もう30年以上空き家になっていたんですが、1年半くらい前からサウナとカフェと宿泊ができる複合施設にしようと準備していました。いろんな問題を乗り越えなきゃいけなくて、やっとの思いで完成した場所なんです。
――それではまず、この場所を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
渡辺さん:30年以上、歯科医師として働いていたんですけど、体力的にも不安が出てきて、仕事をやめる決断をしました。でも、専業主婦になったらボケてしまうんじゃないかと思って(笑)、なにか新しいことをはじめたいと考えたんです。その頃ちょうど孫も生まれて、孫たちに「おばあちゃんの場所」を残せたら楽しいかなって思ったんですよ。
――それで行き着いたのがサウナだった、と。
渡辺さん:主人と息子と話し合って、サウナが楽しめて宿泊ができる「The Hidden Hygge — Kei」の構想がまとまりました。サウナは、空手をやっていた息子が筋肉をケアする目的で通っていたんです。私はサウナには入ったことがなかったので、ここをはじめる準備をしているときから、サウナのことを猛勉強しました。
――はじめるまでにいろんな問題があったとおっしゃっていました。それはどんな問題だったのでしょう。
渡辺さん:このエリア一帯が、市街化調整区域に指定されているので、簡単にお店を作ることができなくて。それでも、なんとかして作れないかと思って、実現するにはどうしたらいいか役場の方に聞いてみたり、私たちのやりたいことをプレゼンしたりしました。そうしたら役場の方も、この場所を実現するために、協力してくださることになったんです。
――おぉ、やりましたね。でも、市街化調整区域の制約をいったいどうやって乗り越えたのでしょう。
渡辺さん:ここで昔、農業をやっていたので、来てくださるお客さまに農業を体験してもらう、というかたちにしたんです。ここで農業を体験した後、サウナに入って癒されて、敷地内で宿泊するような施設であれば、私たちのやりたいことが実現できると、役場の方にご助言いただけたんです。
――なるほど。それで説得の甲斐もあって、ここに施設を作れることになったんですね。
渡辺さん:ただ、もうひとつ越えなきゃいけない山があって。敷地の中にある農機具小屋をカフェにしようと思ったときに、小屋の中に残されていた脱穀機をどうするかっていう問題があったんです。昔の雰囲気を残すために、そのままにしようかとも思ったんですけど、衛生面を考えて、泣く泣く手放すことにしました。ただ、小屋の土壁や天井の梁は当時のものをそのまま使って、雰囲気を残しています。


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聖籠町の自然と一緒に楽しめる、
こだわりのサウナと、季節のごはん。
――サウナのことについて教えてください。いったい、どんなサウナなのでしょう。
渡辺さん:長野県で作られたログサウナを使用しています。組み立てるときに釘を使わず、丸太を組み合わせた本格的なものになります。屋内のサウナよりも空気が循環しやすいので、息苦しさを感じることがあまりなくて、初心者さんにもおすすめです。常連さんからも「呼吸がしやすい」って言っていただけていますね。
――サウナの横には、大きな水風呂がありますね。
渡辺さん:水風呂に使っているのは、味噌樽なんです。老舗のお味噌屋さんで実際に使われていたものを譲っていただきました。食品衛生の観点から味噌樽でお味噌を作るのが難しくなったけど、ずっと使ってきたものを壊したくないって思っていたみたいで。サウナの水風呂として使いたいって言ったら、快く受け入れてくださいました。けっこう深いので、大人の方でも水風呂に飛び込めますよ。
――サウナと一緒に、ここから見える景色も楽しめるなんて、とても贅沢な気がします。
渡辺さん:そう言っていただけるととても嬉しいです。サウナは息子がこだわって選んだものですし、四季折々で変わるここの景色を眺めて、日常の忙しさを忘れてゆったりしてもらえたらと思っています。うちは1ターン3時間に設定しているので、比較的ゆったり楽しんでもらえますよ。
――サウナに入った後に食べたい、「サ飯」もこちらでは楽しむことができますね。
渡辺さん:定番のカレーやオムライスなどのごはんものや、季節の果物を使ったパフェをご用意しています。いちばん人気で、私自身もおすすめしたいのが、聖籠の果物を使ったパフェですね。聖籠は果物が美味しいので、1年の中でいろんな果物を使ったパフェを楽しんでいただけます。よかったら、食べてみてください。
――果物がたくさん入っていてとても美味しいです! 見た目もきれいで、思わず写真を撮りたくなります。
渡辺さん:ここでお料理を作ってくださっているシェフさんが、パフェが得意なんです。このパフェを目当てに来てくださるお客さまもいらっしゃるくらいなんですよ。実際にパフェをお客さまにお出ししたときに、「わー!」って歓声を上げてくださって。その反応を見ることができるのは、とても嬉しいですね。



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来てくれる人、みんなが癒されるように。
渡辺さんが思い描く、これからのこと。
――第二の人生としてこの場所を作られてみて、いかがですか?
渡辺さん:今まで経験したことのないことばかりで、緊張することもあるのですが、とても楽しませてもらっていますし。息子にも「ボケている暇はないよ」って言われるくらい(笑)、忙しくさせていただいています。帰り際にお客さまから「また来ますね」って言っていただけることが何よりも嬉しくて。歯科医師として働いていたときには、聞いたことがなかった言葉ですから。この言葉を聞くたびに、ここを作ってよかったなと思います。
――これからこの場所を続けていく中で、渡辺さんが大切にしたいことはありますか?
渡辺さん:来てくださる方みなさんに、癒されてほしいと思っていて。リクエストにも可能な限りお応えしていきたいと思っています。 以前、ご家族でサウナを利用したいとおっしゃった方がいたのですが、小学生のお子さまがいらっしゃって。水風呂が深くて危険ですし、安全性が確保しづらいのでお断りしようと思ったんです。でも「ここに癒しを求めて来てくださる方を、お断りしたくない」と強く思って。水風呂の量を調整したり、私たちも定期的に様子を見たりしながら、ここでの体験を楽しんでいただきました。
――渡辺さんのこれからの目標を教えてください。
渡辺さん:聖籠町にいる子どもたちに何かできたらと考えていて、その子たちが大人になったとき、結婚式を挙げられるような場所にしたいと考えています。とても大きな目標なんですが、それまではなんとか元気でやっていきたいですね。あとは、もう何もなくて。ここに来ていただいて、美味しかった、楽しかったって言っていただければ十分かなと思います。

The Hidden Hygge — Kei
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