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新スタイルの盆栽で空間を演出する「SANOYOI-咲の宵-」。

とあるイベントの情報を何気なく見ていたところ、カラフルでデザイン性の高い「盆栽みたいなもの」を発見。形は盆栽、でも見た目の印象は盆栽とはちょっと違う。いったいこれは……と気になって調べてみると、新潟市西区に拠点がある「SANOYOI-咲の宵-(さのよい)」さんの作品でした。今回は盆栽作家の髙井さんに、個性的な盆栽との出会いや魅力など、いろいろとお話を聞いてきました。

 

SANOYOI

髙井 一平 Ippei Takai

1986年見附市生まれ。20歳ときに世界一周の旅をスタートさせ、帰国後は北海道、東京と拠点を移し、2016年に故郷である新潟にて「ゲストハウス人参」をオープン。2019年盆栽作家に転身し、2020年「SANOYOI -咲の宵-」として活動をスタート。

 

管理が難しい盆栽。影を演出するツールとして使うにはどうする?

——髙井さんには、以前「ゲストハウス人参」のオーナーとして取材を受けていただきました。それからどうして盆栽作家の道へ進まれたんでしょう?

髙井さん:今の活動をはじめた理由は「盆栽を使って影を映し出す演出をしたい」と思いついたからなんです。ゲストハウスを運営していた頃からぼんやりと、どんなものを投影したらいいものかと考えていました。

 

——盆栽とは渋いですね。

髙井さん:でも盆栽ってけっこう管理が難しいんですよ。こまめな水やりと日光が必要なので、そのまま室内に置いておくことができません。それがネックで「影の演出に盆栽を使うのは無理か」と諦めかけたんですけど、妻が「造花の盆栽はないの?」と言うんです。試しに調べてみたら、針金や和紙などで盆栽の造形を作る「アートクラフト盆栽」というものがあると分かりました。

 

 

——「アートクラフト盆栽」、はじめて聞きました。

髙井さん:昭和の時代に広く知られるようになって、その頃はたくさん教室があったみたいですね。今は作り手さんも高齢化してしまって、あまり知られていないようです。その「アートクラフト盆栽」を特に熱心にやっているのが僕の師匠、青木悦子先生。1年間ほど勉強させてもらいました。

 

——その技術が「SANOYOI」さんの作品にも生きているんですね。

髙井さん:もうひとつ「ドライ盆栽」という手法も取り入れています。「ドライ盆栽」を知ったのは育てていた盆栽を枯らしてしまったからなんですけど、形が気に入っていたので、どうしても樹を捨てられなくて。枯れた盆栽を再利用する方法はないかと調べてみたら、「ドライ盆栽」の生みの親、藤田茂男先生を知りました。すぐに「教えてもらえないですか」とお願いをしました。

 

——髙井さん、すごく行動が早いですね(笑)

髙井さん:友人にもよくそう言われます。あまり実感はないんだけど……。でも確かに「まずやってみよう」ってすぐに行動しちゃいます(笑)。「アートクラフト盆栽」も「ドライ盆栽」も、それがあると知った数日後には現地に行っていましたし。

 

——そんな熱意に師匠方は喜ばれたのではないですか。

髙井さん:「アートクラフト盆栽」の青木先生にはとても歓迎していただきました。「ドライ盆栽」の藤田先生は、ご自身で生み出された技術をどの程度伝承していこうと思われていたか分かりませんが、惜しみなく丁寧に教えてくださいました。

 

サステナブルで独自性のある、「ART MIX BONSAI」。

——「SANOYOI」では「アートクラフト盆栽」「ドライ盆栽」、ふたつのノウハウを生かした作品づくりをされているんですね。

髙井さん:かっこつける感じになってしまいますけども、師匠方から教えてもらったことをベースに「SANOYOI」オリジナルの「ART MIX BONSAI(アートミックス盆栽)」と名前をつけて活動しています。「アートクラフト」「ドライ」のミックスという意味もあるし、おもしろい活動をしている方とどんどんコラボしていきたいって思いも込めています。

 

——根っこの隅々まで鑑賞できるところが魅力ですよね。

髙井さん:それがいちばんの魅力じゃないかなと思います。僕が興味を持ったきっかけも「捨てるのがもったいない」という思いからでしたし、サステナブルな取り組みが注目されている今、そういう面でも作品を見た方からいい反応をいただいています。

 

 

——作品ができあがるまで、かなりの時間がかかりそうですね。

髙井さん:樹の洗浄と乾燥、パーツ作りなどもあるので、半年くらいかかりますかね。ネットショップも整備したいし、「SANOYOI」を知ってもらう活動にも力を入れたいんですけど、細かい作業にどうしても時間がかかるので困っています(笑)。でも今年は積極的にイベントなどに参加させてもらうつもりでいますので、どこかで見かけたらぜひ声をかけてください。

 

——ところで髙井さん、これまでもものづくりに関わる仕事をされてきたんですか?

髙井さん:ゲストハウスをはじめる前は医療系の仕事をしていたので、こういった活動ははじめてです。でもすごく性に合っている感じがしています。ただ、黙々と作品づくりをしているだけじゃダメで、ご飯を食べていくには販売もしなくちゃいけなくて。もっと外に出てたくさんの人に関わらなくちゃいけないんだなって実感しています。

 

作品づくりだけに留まらず、盆栽を生かした空間演出へと活動の幅を広げる。

——「影の演出」をするためのツールとして盆栽に関心を持たれたということでしたよね。そもそも「影の演出」に興味を持ったのはどうして?

髙井さん:アーティストのライブで影から登場するようなシーンがあるじゃないですか。あの映像を見て「かっこいいな」と思いまして。どうしてもあの演出をやってみたくて、自分の結婚式では影から登場しました(笑)

 

——それを盆栽でしてみようというわけですね。

髙井さん:今後は作品を販売するだけでなく、盆栽のライトアップや展示会場の装飾など、空間を演出することも仕事にしていきたいと思っています。

 

 

——実際に作品を拝見して「旅館にあったら素敵だろうな」って思いました。

髙井さん:活動をはじめた頃から、宿泊施設や飲食店のエントランスに作品を置いてもらうことをイメージしていました。「ドライ盆栽」の師匠は有名なホテルにもたくさん作品を納めているので、同じことをやっている身として可能性はあるんじゃないかと考えています。

 

——これからの活躍を楽しみにしています!

 

 

 

SANOYOI -咲の宵-

新潟市西区鳥原625-9

TEL 025-201-8961

※作品に興味のある方は、下記HPの問い合わせフォームもしくは電話にてお問い合わせください。

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