まだ5月だというのに全国的に夏日が続いた今年。これからさらに暑くなると思うと、気分もぐったりしちゃいますよね。暑いと手が伸びるのが、冷たいおやつ。いよいよアイスの季節がやってきます。新潟のアイスといえば、多くの人が頭に思い浮かべるのは「もも太郎」。そこで、新潟の夏のソウルフードともえるアイスキャンディー「もも太郎」について「株式会社セイヒョー」の阿部さんにいろいろ教えていただきました。
株式会社セイヒョー
阿部千晶 Chiaki Abe
1986年村上市生まれ。大学卒業後、2010年「株式会社セイヒョー」に入社。管理部に所属し、広報・広告をはじめ様々な業務に携わっている。車の運転が好きで趣味はドライブ。日帰りで県外へもあちこち出かけている。
「株式会社セイヒョー」は、大正5年「新潟製氷株式会社」として新潟市で誕生しました。氷の製造販売が主な業務で、一般家庭の冷蔵箱用の氷から、港湾倉庫などで使う保冷用の氷まで作っていたそうです。創業の翌年には新潟の地サイダーともいえる飲料水「ミナトシトロン」を製造販売し(現在は販売終了)、その後は「もも太郎」を代表とする氷菓、笹団子をはじめとした冷凍和菓子の製造卸など、冷凍技術を生かした事業展開をしてきたのでした。
また、冷凍庫を生かした「物流倉庫業」もサービスのひとつ。これはいわば「レンタル冷凍庫」のようなもので、冷凍が必要な商品を預かる事業です。魚介系食品の原料や加工品、冷凍食品や生菓子など取り扱いは様々。他社製品のアイスクリームまで預かっているとか。県内ではトップクラスの規模を誇る冷凍倉庫のそばでは、連日、物流トラックがひっきりなしに行き来しています。
昭和のはじめ頃、お祭りの縁日で売られていた「もも型」という氷菓子がありました。桃の形をした木枠の中に砕いた氷を詰め、いちごシロップをかけて割り箸を刺したものです。戦後、「もも型」を縁日だけではなくいつでも食べられるよう製品化したものが「もも太郎」の原点です。こうして昭和20年代に誕生した「もも太郎」。実は材料には「りんご果汁」が使われています。「もも」型なのに「いちご」シロップで、さらに「りんご」果汁、という。長い間に何度も味の改良が重ねられ、試行錯誤を繰り返しているのですが、「りんご果汁」を入れてみたところおいしくなったことから、原材料に「りんご果汁」が加えられることになりました。
「もも太郎」の特徴といえば、粗めのかき氷を食べるようなザクザクした食感。そこには製氷会社としての氷に対する自信があらわれています。ここで「もも太郎」の材料になる氷の製法をかんたんに説明しましょう。まず、135kgの水を丸2日間かけてゆっくりと凍らせることで、不純物のない氷を作り上げています。攪拌しながら外側から凍らせていくと、カルキなどの不純物が中心に集まっていきます。その部分を取り除いて新たに水を入れ、それを繰り返しながら不純物のない氷を作り上げるのだそうです。「もも太郎」のザクザクした食感は、「純粋な氷のおいしさを味わって欲しい」ということなのです。
そして作られた氷がどんなふうに「もも太郎」になっていくのか。その製造過程を、実際に工場の貴重な現場写真で解説していただきました。
こうして作られた「もも太郎」が、新潟県内のスーパーやコンビニエンスストアに出荷され、私たちの手元にやってくるのです。スーパーやコンビニの冷凍庫で当たり前のように目にする「もも太郎」。実はこんな風に作られていたんです。
「株式会社セイヒョー」豊栄工場の敷地内には、桃色のプレハブ店舗があります。その名も「もも太郎ハウス」。創業100周年事業のひとつとして、2015年にスタートした「セイヒョー製品のアンテナショップ」です。
看板商品「もも太郎」はもちろん、「ももえちゃんシリーズ」、「ビバリッチ」などのアイスキャンデーから「セイヒョースイーツセレクション」などのアイスクリーム、笹だんごなどの冷凍和菓子まで、セイヒョー製品が勢ぞろいしたお店です。ここに来れば、「行ったけど売ってないかった。」ということはほとんどありません。また、セイヒョーで作られている笹だんごなど、世間にあまり知られていない製品をPRする場所にもなっているそうです。
ちなみに「もも太郎ハウス」で一番人気があるのは「アイス詰め放題」1袋400円(税込)。詰め放題アイスのケースから、渡された袋の中に詰め込めるだけ詰め込むことができます。「袋が破れたらそこでストップ」「商品は開封しない」「詰め終えたら袋を結ぶ」などいくつかルールがありますので、きまりをしっかり守って楽しくチャレンジしましょう。
セイヒョーの製品がすべて揃っていて、アイスの詰め放題もできる「もも太郎ハウス」。「もも太郎」好きはもちろん、アイス好きにはたまらない場所だと思います。
70年以上もの間、新潟県の人たちに愛され続けてきた「もも太郎」。長い年月の間には、時代に合わせた味の改良が少しずつされてきたそうです。これからも新潟の夏の風物詩として、長く愛され続けてほしいですね。
株式会社セイヒョー管理部
新潟県新潟市北区木崎1782-1
025-386-9988
08:30~17:30 / 土日祝休