Things

コーヒーの香りと風味を生かしたスイーツが人気「Patisserie N」。

上大川前通にあるケーキ店「Patisserie N(パティスリーエヌ)」には、コーヒーを使ったお菓子がたくさんあります。コーヒーゼリーはもちろん、クッキー、プリン、ロールケーキにもコーヒーが使われているんです。その理由を聞いて納得。シェフのご実家が、なんと新潟の老舗喫茶店「シャモニー」だったんです。今回はシェフの野沢さんに、いろいろとお話を聞いてきました。

 

Patisserie N

野沢 幸太 Kota Nozawa

1985年新潟市生まれ。高校卒業後、新潟や京都で13年ほどパティシエとして働く。2018年に「直焙煎珈琲の店 シャモニー上大川前通店」の隣に「Patisserie N」をオープン。奥さんとふたりでお店を営む。「趣味もケーキ作り」というほど、いつもスイーツのことを考えている。

 

自宅でも、夢の中でも「ケーキ」のことを考えるシェフ。

——野沢さんは、以前からお店を持つことを目標にしてきたんですか?

野沢さん:高校を卒業してすぐにパティシエの仕事をはじめましたけど、その頃は「将来ケーキ屋になろう」とは思っていなかったですね。パン屋さんにも興味がありました(笑)。でも、20代前半から4年ほど京都で修行をさせてもらって、考えが変わりました。

 

——ほう、京都ではどんな経験をされたんでしょう?

野沢さん:「自分が考えたケーキが提供されて、お客さまが喜んでくれる」というパティシエ冥利に尽きる思いをはじめてしたのが京都にいたときでした。それで「自分の店を持ちたい」と思うようになったんです。今より働く時間は長くて、忙しかったんですけど、充実した毎日でしたね。

 

——じゃあケーキ屋さんのお仕事が好きなんですね。

野沢さん:思い通りにお菓子を仕上げられると面白いですよ。これだけパティシエの仕事をしていると、レシピを見るだけで味が想像できるんです。偉そうなことを言うつもりはないですけど、「この材料をこんなふうに仕込むと、味が引き立つだろうな」って分かるようになるんですね。

 

 

——そんな経験と技が「Patisserie N」の味に生きているわけですね。

野沢さん:うちは小さい店ですし、作り手も僕しかいません。でも、その割にはそれなりの点数を揃えていると思います。商品の入れ替え頻度も高いですよ。季節に合わせて、フルーツや材料を変えて、お客さまが飽きない工夫をしています。

 

——日持ちする焼き菓子も入れ替えることがあるんですか?

野沢さん:定番の商品もありますが、できるだけ季節の味を取り入れるようにしています。ココナッツを入れて夏らしく仕上げたフィナンシェは今だけの限定品です。

 

——野沢さんは新しい商品のことを考えるのが好きなんですね。

野沢さん:「趣味がケーキ作り」ですから(笑)。自宅でもケーキのことを考えますし、夢の中で新商品のアイディアが浮かぶこともあります。思いつきでいろいろやってみることも多いですね。

 

名店「シャモニー」のコーヒーを生かしたスイーツは、お店の人気商品。

——これまで提供したもので、特に印象深いお菓子はありますか?

野沢さん:「バターサンド」かなぁ。最初はメープル風味のバターサンド、それから発酵バターを使ったバターサンドを用意したんですけど、どれも想像以上の売れ行きでした。今はバターが溶けるからお休みしていますけど、また寒くなったらご用意しますよ。

 

——コーヒーを使ったスイーツも評判だとお聞きしました。

野沢さん:ロールケーキ、プリン、定番のコーヒーゼリーにもコーヒーを使っています。コーヒー豆を入れ込んだクッキーも人気です。実は、隣のコーヒー屋「シャモニー」は父がやっている店なんです。私が言うのも変ですけど、美味しい「シャモニー」のコーヒーをスイーツにも生かしています。

 

 

——それが「Patisserie N」さんの強みでもあるんでしょうね。

野沢さん:コーヒーのスイーツがいち押しのケーキ屋さんって珍しいですよね。当初から「コーヒーを使ったケーキをたくさん用意しよう」と考えていました。

 

——もう少しコーヒーのケーキについて、教えてください。

野沢さん:「上大川前通ロール(ロールケーキ)」には、コーヒーのエキスを練りこんだ生地とクリームを使っています。「シャモニープリン」は、水出しコーヒーの原液を使っていて凝縮された旨味と滑らかな食感がポイントです。どれもコーヒーの香り、風味を生かしているので苦味はなく、お子さまでも食べられます。

 

夫婦ふたりで「今できることを精一杯やる」ことが信念。

——お店がオープンした頃と今とで、なにか違いはありますか?

野沢さん:いちばん大きな変化は、商品の種類が増えたことですね。最初はバタバタしていたのが、だんだんと仕事に慣れてきて、今はオープン時より3倍くらいの数を作れていると思います。

 

——ちなみにオープンしたばかりのことって覚えていますか?

野沢さん:もちろんよく覚えています。工房ができてから1週間後がオープン日だったんですけど、思った以上にスケジュールがカツカツで、毎日遅くまで準備していた記憶があります。まぁ、今でも遅くまで仕事したり、休みの日に仕込みしたりするんですけどね。

 

——ご夫婦だけでやっているお店ですから、きっと日々の仕事量は多いんでしょうね。

野沢さん:妻が接客、私がケーキ作りとふたりだけでやっているので、できることに限りはあると思っています。当日の注文に対応できない、お菓子が売り切れてしまったなどで、稀にお客さまからお叱りを頂戴することもあります。お店が小さいことや、駐車場がないことでも、ご不便をおかけしてしまっていると思います。でも私たちは「今できることを精一杯やる」ことを信念に、美味しいものを提供したいと思っているんですね。その気持ちを少しでもお客さまにご理解いただいて、お互いの信頼の上でお店を続けていきたいと思っています。

 

 

 

Patisserie N

新潟市中央区上大川前通7-1235

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
  • 部屋と人
  • She
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。


TOP