いろんな雑貨屋さんの可愛いアイテムを見て、雑貨への熱量がじわじわ上がってきている今日この頃。最近は、雑貨のお店を集めたイベントが県内でもたくさん開催されています。三条市にある「shed」では、店主の山田さんが選んだ、生活を彩る可愛らしい雑貨に出会うことができます。お店ができるまでのこと、雑貨のこと、山田さんが大切にしていることなど、いろいろお話を聞いてきました。
shed
山田 香澄 Kasumi Yamada
1988年三条市出身。県外の大学を卒業後、地元で福祉関係の仕事に携わる。妊娠・出産を経て、旦那さんの工務店をサポート。使われなくなった会社の倉庫の一角で「shed」をはじめる。3年前からビールの美味しさに気づき、甘党からしょっぱいもの好きになったんだとか。
——倉庫の中に雑貨屋さんがあるとは。入るとき、少しドキドキしました。
山田さん:確かに、最初は入るのに勇気がいるかもしれません。旦那さんがやっている工務店の作業場の一角を使って、2年前から雑貨の販売をはじめました。
——山田さんは、もともと雑貨がお好きで?
山田さん:小さいときから雑貨は好きでしたね。小学校のときに使っていた勉強机を可愛くしたくて、雑貨を置いていたんです。文房具も、「可愛い」と思ったものは何個も買って集めたり。そのときから雑貨は、置いておくだけでテンションが上がりましたし、何気ない日常のスパイスになってくれる存在でしたね。
——わかります、私も鉛筆のキャップとか、メモ帳とか、必要以上に集めてました(笑)
山田さん:大人になってからも雑貨好きで。20代の頃、いろんな雑貨屋さんが集まったイベントに行ったんです。とあるお店で商品を見ていたら、お店の方が少し離れたところで見守ってくれていて。グイグイ話しかけないで、「悩んでくれているんですね」って声を掛けてくれたんです。このことが忘れられなくて、「こういうふうに言える人って素敵だな」って思いましたね。
——その後は、福祉関係の大学に進まれたんだとか。
山田さん:ちょうど進路を決める時期に、大きな地震と水害の被害に遭いました。それで「人の役に立ちたい」と思って、福祉系の大学に進学することにして。卒業後は三条に戻って、福祉に携わる仕事をはじめました。その後は、子育てをしながら、旦那さんの工務店を手伝っていました。
——その工務店の倉庫で「shed」をはじめたのには、どんな経緯が?
山田さん:ここはもともと、事務所になる予定だったんですけど、自宅の中に事務所をつくることになって。この場所を持て余すのがもったいなくて、活用できないか考えました。私の好きなもので、かつ人とお話ができるような場所がいいと思ったので、雑貨の販売をはじめることにしたんです。
——ふむふむ。
山田さん:今ではここは雑貨屋さんであり、工務店の窓口のような存在になっています。雑貨を見にきてくれたお客さんが、ご自宅についてのお悩みを話してくれたり、お家にまつわる相談をしてくれたりすることもあります。
——お店の名前の「shed」は「納屋」や「小屋」という意味の言葉ですよね。
山田さん:そうなんです。倉庫に入ってお店の扉あけると、いろんなものがたくさん詰まっている感じが、まさに小屋っぽいなと思って。
——お店のコンセプトを教えて下さい。
山田さん:インテリアをもっと身近に感じてもらって、皆さんの暮らしが豊かになるような雑貨をお届けすることをコンセプトにしています。衣食住には直接関わらなくても、気に入った雑貨がひとつあるだけでテンションが上がりますし、「明日も頑張ろう」っていう気持ちになると思うんです。ここでは食器やかご、ハンドメイドの雑貨などをご用意しています。
——雑貨って種類もかたちも本当にたくさんあると思います。山田さんが雑貨を選ぶとき、どんなことを基準にしていますか?
山田さん:まず、私が「可愛い」と思ったものを選ぶようにしています。でも、私の「可愛い」が必ずしもお客さまの「可愛い」とマッチすることはないと思うんです。なので、お客さんの思う「可愛い」ものを、お店での会話から想像して、それを取り入れた雑貨も選ぶようにしています。
——お客さんの反応も取り入れているんですね。
山田さん:あとは、使い勝手が良いものであることも大事にしています。買った後、お客さまの生活に馴染むような雑貨であることも、選ぶときに意識しています。
——かごって可愛いんですけど、どんなふうに使えばいいかわからず、なかなか手が出ないんです。オススメの使い方ってありますか?
山田さん:使い方はたくさんあると思うんですけど、ざっくりとした収納にとてもオススメですよ。「とりあえず、どこかに入れておきたい」みたいなときに使いやすいと思います。
——雑貨以外にも、子ども服の販売もしているんですね。
山田さん:私の子どもや、知り合いの子どもが着られなくなった服を、ここで販売しています。服の他にも靴も販売しています。雑貨を見るついでに、子ども服を見ていかれる方が多いです。あとうちは、子ども服を使ったアップサイクルにも取り組んでいて。
——アップサイクルってなんですか?
山田さん:「創造的再利用」とも呼ばれるんですけど、使わなくなったものを新しいかたちに変えて、また使えるようにすることです。ここでは、もう使わなくなった子ども服をポーチなどにリメイクする活動をひっそりやっています。子ども服をフリマアプリで売ろうと思うと、写真を撮ったり、発送するための梱包をしたり、結構手間がかかると思うんです。
——一着ならまだしも、それが何着もあると大変ですよね。
山田さん:そこまでしたくないっていう方や、「思い出深いから手元に残しておきたいけど、使い道がない」って悩まれている方にはちょうどいいと思います。ハンドメイド作家さんが服のシミや汚れなど、思い出を残しつつ、新しいかたちに変えてくれますよ。ひっそりやっているので、イベントに出店したときなんかにご相談ください(笑)
——山田さんがお店に立っている中で、大切にしていることはありますか?
山田さん:イベントに出店しているとき特にそうなんですが、お客さまがふらっと入ってきて、他のお店を見に出ていかれた後に、もう一度お店に入ってきてくれることもあるんです。そのとき思わず「お帰りなさい〜! 」って言いたくなるんですけど、ぐっと堪えるようにしています。
——どうして、そうするんでしょう。
山田さん:あまりグイグイいかず、その方に合わせて話しかけるようにしたいんです。お客さまが好きなものを手に取って見てもらえるだけでも嬉しいですし、その方にあったものをお手元に届けたいと思っているので。
——山田さんが20代の頃に経験したことを、今はお客さんにしているんですね。
山田さん:本当ですね、今気づきました(笑)。それくらい、あのときの経験は感銘を受けましたし、今でも私のお手本になっているんだと思います。それに加えて、お客さまのライフスタイルに合わせた提案もしているんです。例えば、お花を買って家に飾りたいけど、きちんとお世話できる余裕がない、という方には、その方に合うサイズやかたちの花瓶をおすすめしています。
——雑貨って可愛いだけではないんだ、と実感します。今後、「shed」をどんなお店にしていきたいですか?
山田さん:最近は土日にイベントに出させていただいたり、5月には私が主催のイベントを開催したりしたんです。他のお店のレイアウトをお客さんとして見ることができて、すごく勉強になりましたし、主催したイベントでは、企画やアイデアを考えるのがすごく好きだって自分で気づけたんです。これからも、イベントに出ていろんなことを勉強して、「shed」の色をもっと出していきたいです。
——最後に、今後の目標を教えてください。
山田さん:もともと福祉に関わっていたのもあって、地域の方の拠り所になるような場所をつくりたいと思っています。いつ、どこで、どんなかたちでつくるかは、全然決めてはいないんですけどね。地域のみんながおやつを持ち寄ってお茶を飲みながら、お話している光景ってすごく素敵じゃないですか。そんな場所をつくって、運営していけたらいいなと思います。
shed
三条市南四日町3-3-50
Instagramにて要予約