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本格的なお寿司を気軽にお腹いっぱい食べられる、東区「新海」。

年末年始にお寿司を食べた方も多いのではないでしょうか。今回取材させていただいた「新海(しんかい)」さんも、年末年始は盛り合わせ寿司やオードブルで大忙しだったようです。店主の山本さんを訪ねて、お寿司へのこだわりを聞いてきました。

 

 

新海

山本 清成 Kiyonari Yamamoto

1975年村上市(旧山北町)生まれ。富山や東京、新潟などの寿司店で修業を重ね、2006年に「おさかな亭 空港通店」をオープン。2020年に「新海」としてリニューアルオープンする。地元の店で一杯やるのが楽しみ。

 

「赤身」が何なのかも知らないままはじめた寿司修業。

——山本さんはいつ頃からお寿司を握りはじめたんですか?

山本さん:高校をやめて富山の寿司店で住み込みの修業をして以来、ずっと寿司を握ってきました。寿司職人になりたかったわけではないけど、たまたま紹介してもらったのが寿司店だったんです。そもそも田舎で育ったから「寿司」といえばお祝いのときに食べる太巻やいなり寿司が頭に浮かぶくらいで、当時は「赤身」が何なのかさえ知りませんでした(笑)

 

——お寿司の知識がないまま修業をするのは大変だったんじゃ……。

山本さん:はじめたときはまだ17歳だったから、まだ仕事らしい仕事なんてできないんですよ。掃除や犬の散歩といった雑用が主な仕事でした。でも可愛がっていただけて、挨拶や礼儀を教えてもらいましたね。その場の空気を読んだり、機嫌の悪い先輩のご機嫌を取ったりする、コミュニケーション力は身についたと思います。

 

 

——社会人としての基本を学んだわけですね。そのお店ではどのくらい働いていたんですか?

山本さん:富山の寿司店では2年間働いて、その後は親方の知り合いの店をあちこち回って修業を重ねました。26歳のときに新潟の寿司店で修業をして、その後は「おさかな亭 空港通店」として独立することになりましたが、最初のうちは自分の修業してきたことが生かせずに苦労しましたね。

 

——どんなふうに苦労されたんでしょうか?

山本さん:お客様から「米が硬って」「酢っぺ」といわれて、今まで学んできたお寿司を受け入れてもらえませんでした。そこで粘り強いお米を使ったり、酢を少なめにして甘みを強くしたりして、お客様の様子を見ながらシャリの改良を重ねたんです。

 

 

——そんなご苦労があったんですね。ところで、少し前に「新海」としてリニューアルオープンしましたよね。

山本さん:コロナ禍に負けないよう、心機一転するつもりでリニューアルしました。とはいっても、変わったのは店名やメニュー名くらいなんです。「新海」っていう店名には「新しい海鮮の店」という意味が込められているんですけど、パチンコの「CR新海物語」とかアニメ監督の新海誠さんのイメージが頭にあったのかもしれません(笑)

 

人々に支えられていることに感謝して、寿司を握り続ける。

——今の季節のおすすめネタを教えてください。

山本さん:真鱈の白子、牡蠣、あん肝でしょうかね。旬の取り方って人によって様々なんだけど、そのなかでもいちばん美味しく食べられるものをお出ししたいと思っています。

 

——ネタはもちろんですが、値段のわりにボリュームがすごいですよね。人気があるのも頷けます。

山本さん:東京をはじめとした大都市ならともかく、新潟で高級寿司店をやろうとしても難しいんですよね。だったらお腹いっぱい食べてもらおうと思ったんです。あとトラフグ、ハモといった、新潟ではあまり食べられないようなネタも使っています。そこは修業時代の知識が役に立っていますね。

 

 

——でも、いいものを安く提供するのって大変なんじゃ……。

山本さん:太平洋側では高級魚だけど日本海側では手に入りやすい魚もあるので、そういうものを上手く使うようにしています。あと箱買いしているから安く提供できるというところもありますね。個人店にしては多く仕入れている方だと思うので、業者さんともいい付き合いができているんです。

 

——なるほど。業者さんとの信頼関係なんですね。

山本さん:魚が売れ残りそうで業者さんが困っていたら必ず買うようにしていますし、逆にこちらの相談にもよく乗ってもらっています。お互いに助け合いながらやっていると思いますね。お客様に対しても、信頼関係は同じなんじゃないかな。

 

——というと?

山本さん:昔と違ってお客様の舌が肥えている時代ですから、既製品でごまかすことなんてできないんですよ。だからお客様が求めるネタを鮮度のいい状態でお出しして、期待を裏切らずに営業していきたいと思っています。そういった努力を認めていただければ、お客様も足を運んでくださるんじゃないでしょうかね。

 

 

——常連のお客様も多そうですね。

山本さん:多いですね。お名前はわからなくても顔や声は覚えていますから。寿司のネタや技術はもちろん大事ですけど、お客様を含めた人との付き合いが本当に大事だと思うんです。そのおかげでお店を続けられていると思うので、皆さんに感謝しながら営業しています。

 

——そこは山本さんのお人柄もあるような気がしますね。今後はどんなふうに営業していきたいですか?

山本さん:若い女性がひとりでも気軽に入れるようなお店にしていきたいですね。あとは身体が続く限り寿司を握っていきたいです。そして、ひとりでも多くのお客様に新鮮なお寿司を味わってもらえたら嬉しいですね。

 

 

 

新海

新潟市東区太平2-2-4

025-279-5959

11:30-15:00/17:00-22:00

不定休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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