地域の誰もが集まれる場所。学生が運営する内野の「駄菓子屋houkiboshi」。
食べる
2022.11.13
以前ご紹介した内野の「ツバキ舎」さんがある建物には、地域の人が集まるお店がもうひとつあります。新潟大学の学生さんが運営している「駄菓子屋houkiboshi」です。今回はお店のスタッフであり、大学院で都市計画や街づくりを学んでいる九鬼さんにいろいろとお話を聞いてきました。

駄菓子屋houkiboshi
九鬼 拓也 Takuya Kuki
2000年和歌山県生まれ。明石工業高等専門学校から新潟大学工学部へ編入。現在は同大学院自然科学研究科の建築系コースで建築や都市計画などを学んでいる。DIYが趣味。
懐かしくもあり、新鮮でもある。幅広い層が楽しめるのが「駄菓子屋」さん。
——九鬼さんは兵庫の高専から編入されて、2020年に新潟に来られたんですよね。
九鬼さん:そうなんです。でも編入してしばらくは、コロナ禍でオンライン授業だったので、引きこもりみたいな生活を送っていました。それで「そろそろ外に出ていろいろやりたい」と思って趣味のDIYができる場所を探していたら、「houkiboshi」がある建物「又蔵ベース」を学生たちが改装工事していて、そこに僕も加わったんです。
——「houkiboshi」さんはどんなメンバーでやっているんですか?
九鬼さん:新潟大学の学生15名弱で運営しています。改装工事で知り合ったメンバーもいれば、SNSを通じて仲間になった人もいるし、この前あった新大祭でメンバー募集をしたときに加わってくれた留学生もいます。

——九鬼さんはメンバー内で何を担当しているんですか?
九鬼さん:商品の発注や収支計算、あとは店番のシフトを組んでいます。でも店主ってわけではないです。「店主は決めずに、みんなでできる範囲でやっていこう」ってスタンスなので。
——そもそも、なぜ駄菓子屋さんをやろうと思ったのか知りたいです。
九鬼さん:旗振り役がいるんですけど、その人いわく、最初は「内野に学生を呼びたい」っていう思いがあったみたいです。でも、それだけじゃなくて「幅広い層に来て欲しい」とも思っていて。それで年配の方には懐かしくて、若い人にとっては新鮮な駄菓子屋にしました。

駄菓子屋を運営したからこそ、メンバーや地域との関わりが深まる。
——お店をやってみてどうでしたか?
九鬼さん:「自分たちでどんな商品を注文するか考えて、発注して、収支をまとめる」という一連の流れがすごく新鮮でした。それに、やっぱり仲間とみんなで取り組むことの面白さがありますね。
——というと?
九鬼さん:ひとりで作業する方がいいこともあると思うんです。ひとりだといろいろな調整をしなくていいし、起きたことを全部自分で把握できるから。でもみんなでやる方が断然楽しいし、「自分だけではできないだろうな」ってことが実現するんですよね。例えばイベントを企画するとなったとき、自分ひとりだったらひとつかふたつくらいしかアイディアが浮かばないけど、チームで考えたらアイディアのバリエーションが増えるし、人脈も広がるんです。そのおかげで、知らない人ともどんどんつながれるんですよ。
——それは確かに人と一緒に取り組むメリットですよね。
九鬼さん:それと「houkiboshi」に関わるようになって、メンバーの個性を前よりもよく知ることができました。「この人、実はイラストが得意なんだ」とか、「ドライフラワーやアクセサリーも作れるんだ」とか。一緒に活動をして気づけたことがたくさんありました。

——他にもいろいろな学びがあったのでは?
九鬼さん:駄菓子屋をはじめて、大学にいるだけじゃ関われない人とも接点を持つことができました。スタートしたばかりの頃は、お客さんの大半が大学生だったんですけど、だんだん小学生が来るようになって。しかもひとり来てくれたら、次は友達も、またその友達も、ってお客さんがどんどん増えていきました。そしたら今度は、お子さんと一緒に来るおじいちゃん、おばあちゃん、ご両親って、お客さんの層が変わっていったんですよね。地域のいろいろな人とつながれている感じがして、すごくいいなぁって。
——逆に「これは困った」ということも聞いていいですか?
九鬼さん:立ち上げ当初は、お店にソファとテーブルを置いていたんです。そしたらある子どもがそこで騒いでしまって、他のお客さまがお店に入りづらいということがありました。運営メンバーで話し合ってその子たちへの対応は済ませたんですけど、今でも「あんなふうに対応するしかなかったのかな」って考えるんですよね。普段、大学の設計課題で「人が集まる場所」を作っているのに、「実際にかたちにするのは難しくっていろいろな問題が生じるんだ」と勉強になりました。
——九鬼さんが場づくりを勉強されているだけに、いろいろ思うところがあったんですね。
九鬼さん:ただ、このことをマイナスには捉えていないんです。イレギュラーなことについてメンバーで議論する時間も好きだし、みんなで場所を育てていくことが大切なんじゃないかって、「houkiboshi」を通じて考えさせられました。

次に何かをはじめようとする学生のために準備したいこと。
——九鬼さんが大学院を修了されるまで、残り1年と数ヶ月ですね。それまでにやりたいことはありますか?
九鬼さん:「『houkiboshi』を絶対に存続させよう」とは思っていないんですけど、卒業して3年後、5年後にふらっと新潟に戻って来たとき、訪れたくなる場所があったらいいな、とは思うんです。「『houkiboshi』をそういう場所にしたいんだ」って後輩に押し付けたくはないんですけど……。

——じゃあ、結果的にそうなっていたらいいですね!
九鬼さん:立ち上げ当初からみんなで「学生生活の思い出として、いかに楽しむか」を大事にしてきました。バイトじゃないし、興味のあるメンバーが集まってやっているんだから、「いつお店を辞めてもいいんじゃないかな」って思っていました。でもお客さまがいるわけなので、「こちらの勝手な都合では辞められない」って最近すごく思うんです。仮にお店を閉めることになっても、そのときはどうやって辞めるかしっかり考えないといけないんじゃないかなって。
——そう思うようになったのはどうしてでしょう?
九鬼さん:急にお店がなくなったら、地域の人から「学生だから、続けていくのは難しかったんだろう」って見られ方をすると思うんです。そうなると次に何かをはじめようとする学生が動きづらくなるかもしれませんよね。それでは困るので、「終わり方をしっかり考えたい」って思うようになりました。もちろん僕たちが卒業してからも「houkiboshi」が続いてくれたら嬉しいですけどね。

駄菓子屋houkiboshi
新潟市西区内野町1356 又蔵ベース内
営業日、営業時間についてはInstagramかツイッターにてご確認ください。
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