バンコクの屋台を新潟で再現。移動販売のカレー屋さん。
食べる
2019.03.28
タイで出会った屋台の味と楽しさを、新潟でも再現したい。
イベントやスーパーの駐車場などでよく見かける移動販売車。今日ご紹介する「うめやんKitchen」も、カレーやエスニック料理を販売する移動販売車のお店です。オーナーの梅澤さんは、タイを旅行したときにバンコクの屋台に魅せられ、同じような屋台をやりたいと決心。帰国後に出会ったのが、キッチンカーを使った「移動販売」という方法でした。現在は、「うめやんKitchen直売所」という固定店舗をオープン。屋台、そしてカレー作りへの思いを聞いてきました。

うめやんキッチン
梅澤 俊広 Toshihiro Umezawa
1979年生まれ。高校時代はひとり暮らしをしながら、高校の学食でのバイトで家賃を払っていた。20歳の頃から収穫後の田んぼに籾殻を撒く暗渠(あんきょ)という季節労働に従事。その時期に経験したタイ旅行が現在の移動販売カレー店のきっかけとなる。仲間とのお酒がなによりの楽しみ。

時間とお金を有意義に使うために、タイへと渡った梅澤さん。
若い頃に田んぼの仕事をやっていたという「うめやんKitchen」オーナーの梅澤さん。それは日の出前から日没まで従事するハードな労働で、休みもろくにありませんでした。忙しくてお金を使う時間もないため、仕事の期間を終えた半年後にはまとまった現金が手元に残るものの、農閑期は毎日飲み歩いたり、ギャンブルに使ったりと遊びまくる生活。でもそんな暮らしが続いたある日、梅澤さんは考えます。「せっかくのお金と時間をもっと有効に使いたい。」そこでまずは自分の知らない世界を体験してみたいと、バックパッカーとして海外旅行に出かけます。以前から仏教に興味があったという梅澤さんが向かった国はタイ。バンコクの屋台での食事を体験した梅澤さんは、その味と、そしてなにより熱気のある楽しい雰囲気にあっという間に魅了されたのでした。

「このカレーをコシヒカリで食いてぇ!」
すっかりタイという国が気に入った梅澤さん。その後の旅行の予定をすべてキャンセルして、しばらくバンコクに滞在します。「新潟でカレーのお店をやろう」そう決心するのに時間はかかりませんでした。「タイの屋台で食べたこのカレーを、新潟のコシヒカリで食いてぇ!地元の食材で作りてぇ!」本気でそう思ったのです。ただ、調理に関してはずぶの素人。屋台で作るのを見よう見まねで学んだものの、知識や技術があるわけではありません。そんな梅澤さんの強い味方になったのが、奥さん・愛美さんでした。東京の料理専門学校で調理を学び、フレンチレストランで働いていた経験を持つ愛美さんのサポートを頼りに、「うめやんkitchen」はスタートします。カレーはもちろん、タイ料理のよさを生かしつつオリジナルのエスニック料理を考案。味は新潟に住む人の味覚に合うようにアレンジを繰り返しました。

屋台への思いが「移動販売車」というスタイルへ
タイで経験した屋台の楽しさがどうしても忘れられなかった梅澤さん。新潟でも当然、屋台のようなお店をやりたいと思いましたが、残念なことに新潟は屋台営業が禁止されています。そこで代替案として思いついたのが「移動販売車」でした。当時、移動販売車のスタイルは東京で流行りはじめたくらいの頃で、まだ一般的には普及していなかったそうです。それでも東京の専門業者に車両を加工してもらい、相棒となる移動販売車を準備しました。
スタート時に最も大変だったのは、定期出店するための販売スペースを確保すること。イベント出店だけではなく、平日のランチタイムは決まった場所で定期出店するつもりだったものの、それをさせてくれる場所がなかなか見つかりませんでした。「最初はどこも話すら聞いてもらえなかったですね」と梅澤さん。移動販売車そのものの認知度が低く、なかなか理解してもらうことすらできませんでした。
そんな中、チャンスがめぐってきます。ある会社の社長と知り合い相談したところ、「会社の屋根付駐車場を1台分空けてあげるから、やってみなさい」と協力してもらえることになったのです。新潟駅周辺など人の集まる賑やかな場所を想定していた梅澤さんのイメージからはかけ離れた場所でしたが、出店してみると、想像していた以上に注目を集めます。近所には地元テレビ局、病院、専門学校、その他いろいろな会社があり、実はランチタイムの需要を見込める場所だったのでした。こうしてクチコミで評判が伝わり、出店先も新たに増え、やがてイベント出店のオファーも舞い込みます。
「3年やってみて軌道に乗らなかったらあきらめようと思ってたんです」と言う梅澤さん。営業のコストを考えると、資金的には3年がリミットでした。実際、2年間続けてみたもののなかなか軌道に乗らず、もうあきらめようと思ったのが3年目でした。しかしその年、世の中で屋外イベントが爆発的に増え、移動販売のオファーがどんどん舞い込んでくるようになります。「もう1年早くはじめていたら、屋外イベントのブームに間に合わず、経済的な体力が持ちませんでした。自分は本当に運が良かったと思ってます。」

固定店舗をはじめた理由は、お客さんへの恩返し。
ずっと移動販売をやっていくつもりだったので、梅澤さんは固定店舗での営業なんてまったく考えていませんでした。しかし2017年、移動販売車「うめやんKitchen」は、「うめやんKitchen直売所」という名の固定店舗をオープンします。きっかけは、デパートでの催事出店での出来事でした。催事会場に、上越からわざわざ来てくれたお客さんいました。「私のように遠方から来るお客にとっては、そこに行けば必ず買えるっていう場所があると助かるんです。」その言葉を聞いて、目が覚めるような思いがしたのです。「今までは移動販売という自分の好きなスタイルでやって来たんですが、それもお客さんに支えられて続けてこそできたこと。今後は、そんなお客さんたちのことを考えた営業もしなくてはいけないと思ったんです。」それはまさに、お客さんへの恩返しの気持ちでした。



ちなみに、固定店舗で最もこだわったのが駐車場です。「遠方から足を運んでくださるお客さんが不自由を感じないよう、いつでも車が停められる大きな駐車場のある場所を選びました。見てください、まわり、駐車場だらけでしょう(笑)」。「うめやんKitchen直売所」のあるショッピングモールの駐車場は、共用ですが広大です。これなら「駐車場がいっぱいで行けない!」なんてことはありません。また、店作りで大変だったのは店内のレイアウト。元々クリーニング店だった店舗を使いつつ、少ない予算の中で飲食店に改造しなければなりませんでした。設計士さんにがんばってもらっただけでなく、できる作業は自分たちの手でDIY。こうして「うめやんKitchen」の固定店舗「直売所」がオープンします。



お客さんに安心して食べてもらえるカレーを。そしてまた、移動販売を。
厨房が窓越しに見える店の作りには、梅澤さんの料理への姿勢が反映されています。「お客さんの口に入るものだから、身体に何が良くて何が悪いのかを常に考えています。お客さんから厨房が見える作りにしたのも、体に悪い物を一切使っていないとこと、安全に調理していることを堂々と見てもらい、安心して食べてほしいという気持ちからなんです。」食材はできるだけ、国産、地場産を選び、そしてなによりとことん手作りにこだわっている梅澤さん。また、固定店舗での接客も移動販売の経験を活かし、お客さん一人ひとりとのコミュニケーションも大切にしています。「直売所の体制が整い次第、また移動販売を復活させたいと思ってます。お客さんからも『待ってる』っていう声をいただきますし。何より自分の原点ですから。」バンコクで魅せられた屋台への夢、これからもまだまだ続きます。


【閉店】うめやんKitchen 直売所
新潟市秋葉区程島1927-1
0250-47-7472
11:00−19:00 不定休
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