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北区で栽培される、シルクのような舌触りのサツマイモ「しるきーも」。

  • ものづくり | 2023.11.27

新潟市北区の特産品で、しっとりした食感が特徴のサツマイモ「しるきーも」。滑らかな舌触りと上品な甘さが魅力で、さまざまな加工品も作られています。そんな「しるきーも」を栽培しているという農家の熊倉さんに、「しるきーも」の魅力やおすすめの食べ方について聞いてきました。

 

 

農家

熊倉 健 Ken Kumakura

1985年新発田市生まれ。高校卒業後、製造業に従事。30歳のときに退職し、新潟市西区で農業の研修を受ける。3年後に独立し、北区白勢町で農業をはじめる。

 

見た目よし味よしのさつまいも。

――そもそも「しるきーも」ってどんなサツマイモなんですか?

熊倉さん:「シルクスイート」という品種で、シルクのような舌触りで滑らかな食感の、しっとり・ねっとり系のサツマイモです。最近だとホクホク系よりも、ねっとり系の芋が流行っていますよね。大人な甘さで美味しいんですよ。それに小さい芋でも筋がなくて滑らかなので、サイズ関係なく美味しく食べられるのもいいところですね。

 

――先ほど熊倉さんが掘っていたサツマイモを見ると、見た目もすごく綺麗ですよね。

熊倉さん:絵に描いたようなサツマイモですよね。他の芋だと表面がでこぼこしていることが多いんですけど、この品種は掘りたてでもすごく艶があって肌が綺麗なのも特徴です。見た目よし味よしなんです。

 

手間がかかる分、しっとり滑らかな食感に。

――熊倉さんは農業をはじめられてどれくらい経つんでしょうか。

熊倉さん:今年で独立して5年目です。それまでは工場で働いていました。高校を卒業した18歳のときから同じ職場に勤めていたんですけど、やりがいを感じられなくて「この仕事を定年まで続けるのはな……」と考えていました。

 

――そこから農業をはじめようと思ったのには、何かきっかけがあったんですか?

熊倉さん:若い人が新しく農業をはじめていることを雑誌やテレビで知って、「これだ」って思ったんです。それで30歳のときに退職して、西区で農業の修業をはじめました。

 

――農家は農家で大変なイメージがあるとは思いますが……。

熊倉さん:やっぱり「やりがいがあるだろうな」と思って。工場で働いていたときは、自分が作ったものを誰が使っているのか、分からないまま作っていたんです。でも農業は自分で作って売るわけなので、誰が買ってくれたのかが分かるんですよね。そこに魅力を感じました。

 

 

――独立したら「しるきーも」を作るつもりでいたんですか?

熊倉さん:作るつもりでした。西区で修業をしているときから「独立したら何を作ろうか」と考えていて、芋は作りたいと思っていました。ただ、西区と北区では別の品種の芋を作っているので、「しるきーも」を作るときは勝手が違って苦労しましたね。

 

――どういうところで苦労されたんでしょう?

熊倉さん:「しるきーも」の栽培って、すっごく難しいんです。まず、他の品種に比べて量が採れないんですよ。それに乾燥にすごく弱くて、乾燥しちゃうとまんまるになったり、小さくなったりしてしまうんです。だから苗を植えてから1ヶ月間は毎日水をやって、乾かないようにする必要があります。

 

――想像していた以上に手間がかかるんですね。

熊倉さん:最初、西区で別の品種を作っていたときと同じようにやってみたら全然だめで。今もいろんな人に聞きながら作っています。難しいですけどせっかくブランドがあるので、なんとか「しるきーも」を広められればと思って挑戦しています。

 

おすすめは、オーブンでじっくり焼いて焼き芋に!

――熊倉さんとしては、「しるきーも」をどうやって食べるのがおすすめですか?

熊倉さん:オーブンに「焼き芋」のボタンがありますよね。アルミホイルに包むとか面倒なことはせずに、洗って、オーブンに入れてボタンを押すだけ。それだけで十分美味しいですよ。160度で90分くらい焼くことになると思うんですけど、そういうふうに低温でじっくり時間をかけて熱を通すと美味しいです。

 

――じっくり熱を通すことがポイントなんですね。

熊倉さん:サツマイモはゆっくり熱を加えることで糖度が増すので、ふかしたり、あんまり急いで焼いちゃったりすると、思ったよりも甘みが出なくなってしまうんです。スーパーとかで出来上がった焼き芋を買う方が多いと思うんですけど、家でも面倒なく美味しい焼き芋が作れると思います。

 

――電子レンジで火を通すとパサついちゃうのって、そういう理由だったんですね。ためになります。

熊倉さん:あと実はサツマイモって、採れたてだとあんまり美味しくないんですよ。ちょっと甘い栗みたいな感じで、ねっとりしないんです。どれだけ寝かせたかで美味しさが変わるので、最低1ヶ月は寝かせて、それから市場に出しています。

 

 

――「しるきーも」のイベントもあると聞きました。

熊倉さん:年に1回、「しるきーもマルシェ」という、「しるきーも」を使ったお菓子を作っている北区のお店が大集結するイベントを開催されています。今年で4回目で、北区のちょっとした一大イベントみたいになってきていますね。今年は12月3日に、北区文化会館で開催されます。

 

――イベントを通じて「しるきーも」の魅力がもっと多くの方に伝わるといいですね。

熊倉さん:北区ではだいぶ浸透してきていると思っているんですけど、北区を出るとまだまだ知られていないなと感じています。イベントを機に「しるきーも」の美味しさを知っていただきたいですね。

 

 

 

第4回しるきーもマルシェ

日時 2023年12月3日(日) 10:00-15:00

場所 新潟市北区文化会館ロビー(北区東栄町1-1-5)

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