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気軽に立ち寄れる江南区の古民家風ギャラリー「小さな美術館 季」。

「美術館」や「ギャラリー」というと、みなさんはどんな場所をイメージしますか? モダンで先進的なデザインのクリエイティブな…そんな空間を想像する人が多いのではないでしょうか。今回ご紹介する「小さな美術館 季(とき)」は、一見、畑の中にある農家の古民家。一体どうしてこんなスタイルのギャラリーになったのか。オーナーの高橋さんに、囲炉裏端でお茶をいただきながらお話を聞いてきました。

 

 

小さな美術館 季

高橋 武昌 Takemasa Takahashi

1941年南魚沼郡湯沢町生まれ。小さな美術館 季オーナー。まつば保育園理事長。新潟大学教育学部卒業後、新潟市内の小学校で教員を務める。1976年、まつば保育園の立ち上げに参加し理事となる。2000年「小さな美術館 季」をオープン。70歳まで新潟大学で非常勤講師。趣味は読書。日本酒も愛する。

 

自転車でふらりと立ち寄れるような、気軽に入れる古民家風ギャラリー。

——いただいたお名刺に「まつば保育園理事長」と書かれてますね?

高橋さん:私はもともと教育関係の仕事をしていたんです。新潟大学教育学部を出て、新潟市内の小学校で教員をしていました。教員をやっているうちに、「子どもっていうのは学校や家庭だけじゃなくて、地域と一体になって育てるものだ」と考えるようになって、35歳のときに地域の協力を得て「まつば保育園」を立ち上げたんです。70歳までは新潟大学の非常勤講師もやっていて、学生達に地域教育論を教えたりしてました。

 

——以前は小学校の先生だったんですね。それがどうしてギャラリーを始めることになったんですか?

高橋さん:ずっと教育関係の仕事をしてきたから、それ以外の好きなことをやってみたいと思ったのがきっかけです。私は昔から芸術に興味があったし、うちの妻も陶芸をやっていたので、ギャラリーをやってみようと思って2000年にオープンしました。

 

——古民家っぽい建物なんですね。もともとあった建物を使ってるんですか?

高橋さん:いいえ。新築したんですよ。美術館や画廊って、ちょっと敷居が高く感じたり、お洒落すぎて入りにくい所も多いじゃないですか。そうじゃなくて、自転車に乗ってきてふらっと立ち寄れるような、誰でも気軽に入れるようなギャラリーにしたかったんです。だからあたたかみのある古民家を使いたかったんですが、古民家ってけっこうお金がかかるんですよ。そこで、近所の大工さんにお願いして、古民家風の建物を作ってもらったんです。

 

渡辺謙さんのお父さんによる個展や、志茂田景樹さんの講演会も。

——記念すべき第一回目はどんな展覧会をやったんですか?

高橋さん:私と同じ魚沼育ちの外山康雄さんという水彩画家の個展をやりました。季節の花々をみずみずしいタッチで描く作家さんで、女性を中心に花が好きな人たちがたくさん観に来てくれました。

 

——オープンから盛況だったんですね。今までやった展示や講演で印象に残っているものはありますか?

高橋さん:うん、たくさんありますよ。例えば、渡辺亮一さんという画家の個展ですね。この方は新潟県魚沼市(旧広神村)出身の俳優・渡辺謙さんのお父さんなんです。43歳のときの脳梗塞で右手がきかなくなって、左手でパステル画を描き続けたんです。うちで個展をやらせていただいたときは70歳でした。

 

——渡辺謙さんのお父さんって画家さんだったんですね。他にも有名な人の個展とかやってるんですか?

高橋さん:個展じゃないけど直木賞作家・志茂田景樹さんをお招きして講演会を開きました。知名度の高さもあって120人もの参加者が集まりましたね。

 

——一時期はバラエティー番組に出演してタレント業もやってましたもんね。他にも印象に残っている展示や講演はありますか?

高橋さん:私は宮沢賢治が好きなので、賢治の童話をモチーフに作品を作っている作家さんの展覧会は今までたくさんやってきましたね。小林敏也さんとか、佐藤国男さんとか。期間中、同時開催で宮沢賢治についての講演会もやったりしてるんですよ。

 

ギャラリー運営の苦労や喜び、そして今後のこと。

——ギャラリーを運営している上でのご苦労はあるんでしょうか?

高橋さん:個展で作品が売れなかったらどうしよう、という心配はしますね。以前、京都の有名な陶芸家の個展を開いたときは値の張る作品が多かったので、こんなに高額な作品を買う人なんているんだろうか…ってハラハラしました。でも、そういう心配をしているときに限って不思議と売れるんですよね。それも作品の持つ力なんでしょうね。

 

——出展する作家さんへの責任も感じるわけですね。では、ギャラリーをやっていて楽しいのはどんなときですか?

高橋さん:展示を観にきたお客さんには母屋に上がっていただいて、囲炉裏端でお茶を飲みながら感想とかお聞きしてるんです。じっくりとお話しすることで本音の感想を聞くことができて、それを参考にもう一度改めて作品を観てみると、自分では気づかなかったことに気づくことができるんです。ギャラリーでは作品が観る人にいろいろな喜びを与えるだけじゃなくて、観る人からもいろんな喜びを与えてもらってるんですよね。

 

 

——人それぞれに感じ方も違いますもんね。では作品を鑑賞する人に伝えたいことってありますか?

高橋さん:生活の中に、作家が思いを込めてつくった作品があると、日々の生活も変わってくると思うんです。確かに安い買い物ではないかもしれませんけど、一目見て惹かれたり、何か感じるものがあった作品っていうのは、できるだけ手に入れた方がいいと思います。

 

——今後はどのようにギャラリーを運営していきたいですか?

高橋さん:経費を度外視して考えてみると、月1回は県内外の作家さんの手応えのある展覧会をやっていきたいんですよね。私が作品に惹かれて、うちのギャラリーで個展をやってほしいっていう作家さんもたくさんいるんです。あとは人間の生と死っていう大事な問題をもっと深く考えていきたいって思ってます。地球環境や戦争の問題を若い人たちに伝えていくメッセージ性のある活動もやっていかなければって思ってます。

 

 

ギャラリーで作品を鑑賞した後は、オーナーの高橋さんに誘われて母屋の囲炉裏端でお茶を飲みながら作品談義。そこには美術館や画廊のような雰囲気とは違い、近所のお宅にお茶飲みにきたような気楽さを感じます。みなさんもぜひ気軽な気持ちで「小さな美術館 季」に立ち寄って、作品の感想を語り合いながらお茶飲みしてみてはいかがでしょうか。より深く作品の魅力に気付けるかもしれませんよ。

 

小さな美術館 季

〒950-0112 新潟県新潟市江南区松山112-4

025-276-2423

10:00-17:00

月曜休

 

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